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11月22日、50周年記念講演会を工学院大学・新宿キャンパスにおいて開催しました。日本塗装技術協会に携わる方々だけでなく、多くの方面から、さらに50周年ということでOBの方も駆けつけてきて下さいました。100名を超える方の御参加を頂き、盛況のうちに終えることができました。
昨年9月、50周年記念行事委員会がキックオフされ、記念式典・記念講演会・祝賀会の記念行事を同日に開催することが決定しました。委員一同は、「50周年を飾るに相応しい講演会にしたい。」と、考えました。そのためには、「経営トップの方に今後の業界の取組みについてお聞きしたい。」「塗料・塗装50年の歴史を語れる方に講演をお願いしたい。」「学術関係の方から、コーティング技術に関する最新技術情報・最新事例のトピックをお聞きしたい。」「古くからの伝統あるものを塗装で保護し、伝統を継承する講演もお願いしたい。」「50周年に相応しいインパクトのある塗装事例の講演もお願いしたい。」と、数多くの案が出されました。内容を精査して、講師の方々へのアプローチを開始し、プログラムが完成しました。 第1講演は、「塗料産業の50年と今後の事業戦略」のテーマで、関西ペイントの神門常務から、「日本の特許1号は、船底塗料から始まった。」と塗料業界の50年間の変遷を説明して頂きました。さらに今後の塗料業界の課題は、世界標準となるベストミックスを如何に構築していくかとの提言まで話して頂き、深い内容でした。 第2講演は、「環境に優しい塗装を目指して」のテーマで、旭サナックの伊藤常務から、「日露戦争の日本海海戦は、船底塗料の勝利によるものである。」と、塗装の重要性から始まりました。塗装の塗着効率向上を目指した50年間の変遷を海外での実用事例の動画を数多く駆使しながら、説明して頂きました。さらに「今後は、塗装の重要性を認識し、興味をもって勉強する若手技術者が出てきて欲しい。」と、メッセージを頂きました。 第3講演は、「文化財建造物における伝統的な塗装材料と修理施工上の課題」のテーマで、東京文化財研究所の北野室長から、塗装工学創立50周年記念号にも投稿して頂いた内容の御講演です。文化財を保護するために、国、文化財研究所の皆様が、大変な御努力をなされていると実感しました。最新の機器分析GC−MSを用いて、過去の塗膜の組成を分析するなど、現代の塗装技術と密接に関連していると思いました。やっていること、アプローチのやり方は、同じであり、興味深く聞かせて頂きました。日本人として文化財保護の重要性を認識し、塗装技術協会でも何らかのお手伝いができるのではと、思います。 第4講演は、「超分子ネットワークによる自己修復性塗装」のテーマで、東京大学大学院の伊藤教授から、まず、ポリロタキサン構造によって架橋点が自由に動く滑車効果について、基本的な内容を判り易く説明して頂きました。その後、NTTドコモや自動車の耐擦り傷性クリヤーへの機能性の付与についても紹介して頂きました。今後も医療など他の分野への応用展開も検討中であるとの夢があり、最新技術の楽しい御講演でした。 第5講演は、「東京スカイツリー?に適用された塗装技術」のテーマで、大林組の堀上級主席研究員から、冒頭、東日本大震災のビデオを見せて頂きました。あの大震災を克服して、世界ナンバー1の電波塔を建設した皆様の御努力に感動しました。100年間美しくあり続けるために最新の工法・防錆技術・塗料・塗装技術の結晶であると思いました。 最後は、新日鐵住金の友野社長による特別講演「技術と経営」です。まず、「金属の王なる哉:鐵」から始まり、鉄は錆との戦いであり、表面処理鋼板の開発、自動車の防錆・軽量化、塗装フリー化へ至る技術開発の変遷を話して頂きました。さらに技術者からの視点と経営者の考えから、「持続的な研究開発は最も重要である。」取り巻く環境の変化への対応し、今後何をすべきかの事業戦略については、「長期の視点で考える。見えない資産は極めて大切である。研究開発においても基礎・基盤研究も重視する。」との熱いメッセージを頂き、本講演会の総括をして頂きました。 今回は、講師の方々に経営者の方が多く、時間調整に厳しい状況でしたので、残念ながら、各講演時間内に質疑・応答時間を設けることができませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。 日本塗装技術協会は、創立50周年を節目として、さらなる発展を目指し、皆様の期待にお応え出来るニーズに適応した講演会を提供させて頂きたいと考えています。 次回は、2月14日、「自動車塗装の最新動向:3Wet塗装を中心として」のテーマで、自動車塗装の特集です。皆様、是非とも御参加下さい。 記念講演会実行委員長 光宗真司
50周年記念講演会プログラム
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