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 第32回塗料・塗装研究発表会レポート

講演風景

 第32回塗料・塗装研究発表会が平成29年3月3日に東京大学生産技術研究所コンベンションホールにて開催されました。今回も昨年同様100名を上回る方々にご参加をいただき、熱のこもった発表と質疑応答が行われました。
 日本塗装技術協会 工藤会長の開会挨拶に続き、午前の部6件、午後の部7件の計13件の研究発表が行われました。午前の初めの4件は塗装に関する研究で、塗装時の塗料物性に関する測定・解析についての研究、静電塗装機に関する研究、回転霧化塗装に関する研究の4件の発表が行われました。続いて、塗膜についての電気的、光学的測定・評価に関する研究の発表が行われました。午後には、塗料の機能性や品質の向上に関する3件の研究に続いて防錆・防食用塗料に関する3件の研究、最後に塗装ブースの塗料ミストの処理に関する発表が行われ、今回も塗料・塗装に関連した多岐にわたる分野の学術的な研究から実用性の高い材料や機器についての最新の研究成果が紹介され、塗料・塗装の裾野の広さを感じる研究発表会となりました。また、各研究発表に対して参加者から、高度で専門的な質問や意見が出され、発表者との間で内容が濃く活発な質疑応答が行われました。
 今年は、特別講演として 「ウェットプロセス機能性薄膜による超親水、超撥水」 という演題で、慶應義塾大学理工学部理工学研究科教授 白鳥世明先生にご講演を行っていただきました。ナノスケールの薄膜形成技術の応用により、浸漬やスプレー塗布といった塗料・塗装になじみのある比較的簡便な手法を用いて超親水性、超撥水性の膜が形成できることに驚愕を覚えました。講演では学術的な内容から我々の身近なモノへの実用化の実例までご紹介いただきました。参加者へのアンケートでも 「表面形状のみで様々な機能付与は興味深い、自己組織化で種々の膜形成は驚きだ、生体模倣による研究開発がすばらしい、内容が高度だったがよい刺戟を受けた、実験動画が多くわかりやすかった、モノづくりの過程が明快だった」 といった声をいただきました。この場をお借りして、改めて白鳥先生に御礼申し上げます。
 研究発表終了後、研究発表委員による審査が行われ、予稿集の内容と当日の発表内容を総合的に評価した結果、「漆喰塗料の機能性について〜抗ウイルスを中心に〜」を発表された関西ペイント株式会社 沼澤様に研究発表優秀賞を送ることが決定されました。
 次いで、場所を発表会場横のホワイエに移し交流会が行われました。交流会の中で、研究発表優秀賞の表彰が行われ、その後引き続き、皆様にご交流いただきました。今回の交流会には特別講師の白鳥先生や発表者も含め、例年にない多数の皆様のご参加をいただき、発表会にも増して活発な質疑応答や意見交換、情報交換が行われたことを、主催者一同大変喜ばしく思っております。
 今回も盛会のうちに終えることができましたことを、発表者の皆様、共同研究者の皆様、ご関係の皆様に心より御礼申し上げます。次回もまた、塗料・塗装の多岐にわたる最新の成果に関する多くの研究発表が寄せられ、多数の参加者の皆様と活発で高度な討議が行われることを期待しております。

研究発表委員会委員長:本田康史

主催日本塗装技術協会
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本塗装工業会表面技術協会日本塗装機械工業会
日本工業塗装協同組合連合会日本防錆技術協会日本自動車車体工業会
高分子学会日本建築学会日本油化学会
土木学会日本鉄鋼協会腐食防食協会
自動車技術会日本金属学会応用物理学会
材料技術研究協会日本レオロジー学会日本印刷学会
粉体工学会静電気学会日本粉体工業技術協会
日本塗料検査協会日本建築仕上学会国際工業塗装高度化推進会議
(順不同)

期日平成29年 3月 3日(木)
会場東京大学 生産技術研究所 (駒場リサーチキャンパス)
コンベンションホール (An棟2階)
〒153-8505 東京都目黒区駒場4−6−1

発表申込締切平成28年10月14日(金)一般発表13件
参加登録費当協会会員・協賛学協会会員8,640円
同35歳以下6,480円
学生会員・研究室学生会員1,080円
非会員10,800円

プログラム

[開会挨拶]
09:40-09:50
日本塗装技術協会 会長  東京大学 生産技術研究所 教授 工藤 一秋 

[一般講演]
09:50-10:50
座長  畠隆行 (アネスト岩田)
1)
レオロジー解析によるローラー塗装の塗料飛散抑制
 (日本ペイントホールディングス)〇小池謙太、石田聡
2)
カーテンコーターにおける空気同伴に及ぼす塗料物性影響
 (新日鐵住金)〇古川博康、(現・日鉄住金鋼板)金井洋
3)
新型エアラップ静電ハンドガンの開発と用途拡大
 (旭サナック)〇洞戸翔太、白松憲一郎
10:50〜11:05
休 憩 
11:05〜12:05
座長  河村保明 (新日鐵住金)
4)
回転霧化塗装のモデルとしての回転基板から放出される液滴の飛行方向
 (慶應義塾大学)〇宇野純平、伴野太祐、朝倉浩一
5)
コロナ帯電と表面電位測定による塗装膜厚推定方法の開発
 (山形大学)〇杉本俊之、(春日電機)野村信雄
6)
メタリック塗装の光輝材分布解析
 (リコー) 〇相馬孝吏、岩松明宏
12:05〜13:15
昼 休 憩 
13:15〜14:15
座長  安達陽一(日本ペイントホールディングス)
7)
ナノ粒子ディスパージョンによる耐スリキズ性向上と反りの抑制
 (ビックケミー・ジャパン)〇谷泰輝、日野真司、松井正和、若原章博
8)
漆喰塗料の機能性について 〜 抗ウイルスを中心に 〜
 (関西ペイント)〇沼澤昭、赤須理紗子、高野亮、(長崎大学)安田二郎
9)
構造制御された分散剤による塗料適性の向上
 (ビックケミー・ジャパン)〇日野真司、谷泰輝、松井正和、若原章博
14:15〜14:30
休 憩 
14:30〜15:50
座長  上野圭一 (日本パーカライジング)
10)
クロメートフリー塗装鋼板の初期端面耐食性改善
 (新日鐵住金)〇河村保明、古川博康、松本雅充、植田浩平
11)
一液反応硬化型弱溶剤エポキシ下塗り塗料の開発
 (関西ペイント)〇木村友哉、水島健太郎、柳口剛男
座長  檜原篤尚(関西ペイント)
12)
粘着テープを用いない簡便な4枚ボックス電着試験方法
 (東京工業大学)〇志村彩夏、大西有希、天谷賢治
13)
電気分解による強アルカリ水を用いた塗料ミスト処理法の開発
 (ユーブイ・テクニカ)〇池ヶ谷智博、菅野誠司、久留嶋武男
15:50〜16:00
休 憩 
注)一般講演の氏名○印は発表者とします

[特別講演]
16:00〜17:00
座長  本田康史(BASFジャパン)
 
演題
「ウェットプロセス機能性薄膜による超親水、超撥水」
 慶応義塾大学 理工学部 理工学研究科 教授
 白鳥 世明 先生

[交流会]
17:10〜19:00
於 発表会場横ホワイエ


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