講演1 リチウムイオン電池用導電助剤ペーストへの分散技術の応用
研 究 者
○印発表者  
〇塚本 敦史、長野 千尋、岡本 好広、檜原 篤尚
所  属関西ペイント株式会社 研究開発部門R&D本部基礎研究所・上級研究員
概  要 リチウムイオン電池の電極は、スラリー塗布工程により製造されており、生産性向上のためには、スラリーの塗装作業性の向上、すなわち低粘度化が求められている。本報告では、スラリー粘度に影響の大きい導電助剤カーボンに対し高い分散性を示す分散剤について、分散剤がカーボンに吸着する機構を計算より推定した。また分散手法を最適化することで、導電性に対して適切なカーボンの分散状態とし、生産性及び性能に寄与した。

講演2 新車OEM 3wet塗装工程による複層塗膜系におけるポリイソシアネート染み込み定量化
研 究 者
○印発表者  
山内 理計、光宗 真司、〇原 和之、竹野 聡志
所  属旭化成株式会社 機能性コーティング事業部 デュラネート技術開発部
概  要 新車OEM複層塗膜系において、2液ポリウレタンクリアコートに適用される硬化剤ポリイソシアネート(以下PI)の下層への染み込み量の定量化に成功し、PI種による特異的な染み込み挙動を確認した。定量化に際して、3wet塗装膜をミクロトームカットすることにより、高精度で断面を切り出し、赤外分光法で分析を実施した。同時に、複層塗膜の硬度・耐擦り傷性・外観性・耐候性を評価し、染み込み同様、各種PIに特徴的なデータが得られた。

講演3 塗装アルミ板の耐食性とZr化成皮膜重量の関係
研 究 者
○印発表者  
○馬場 洋輔
所  属 日産自動車株式会社 材料技術部
概  要 リン酸亜鉛化成皮膜とAlの耐食性の関係は従来豊富に報告されてきたが、近年自動車への適用が進むジルコニウム(Zr)化成皮膜については知見が不足している。そこで塗装Al板の耐食性に及ぼすZr化成皮膜重量の影響を複合的な腐食試験で調査した。結果、塗装Al板の耐食性はZr化成皮膜重量の増加にしたがって向上することが確認された。本発表では試験結果と腐食現象の考察について報告する。

講演4 親水性フィルムの強力超音波振動を用いた誘導帯電式静電塗装法
研 究 者
○印発表者  
〇杉本 俊之、内山 優志
所  属 山形大学大学院理工学研究科・情報エレクトロニクス専攻・准教授
概  要 回転カップ型や二流体型の静電塗装法は、微粒化した塗料を静電気力によって被塗装物に塗着させるものであるが、アシスト気流によるオーバースプレーが問題となる。本研究では、強力超音波ホーンの先端に親水性の樹脂フィルムを貼り、そのフィルムの表面に塗料を供給しながら高電圧を印加することにより、気流を用いることなく帯電・微粒化した塗料を生成し、静電気力のみで被塗物に100%塗着させる方法を開発した。

講演5 自動車用高耐久クリアの開発
研 究 者
○印発表者  
〇角田 剛
所  属 BASFジャパン株式会社 コーティングス事業部 製品開発部 マネージャー
概  要 自動車用クリアは1990年以降に日本でも問題になった酸性雨によるエッチング対策のクリアが開発され、その後、洗車や走行時に生じる塗膜表面の擦り傷に高い耐性をもつクリアが開発されてきた。しかしながら、耐擦り傷性を向上させるためにクリア塗膜の硬度を低下させると汚れ性や屋外暴露での水シミ性が低下する問題がある。本研究は耐酸性雨性、耐擦り傷性を維持しながら耐汚れ性を向上し、屋外暴露でも良好な塗装外観を維持する高耐久クリアを開発するために行った。

講演6 トンネル型 自動車塗装欠陥の検査装置の開発
研 究 者
○印発表者  
〇長井 慶郎、吉田 龍一、Jorge Broto、Jesus Belda
所  属 コニカミノルタ株式会社 センシング事業部 外観計測事業推進部
概  要 自動車の塗装欠陥の検査は、熟練した人による目視検査が行われている。この現状に対し、我々は人員不足対応、品質の安定化のため、トンネル型の自動検査装置を提案している。
従来から広く開発されているロボット型に対し、トンネル型とすることで、設置が容易で、安全性が高く、ラインの一時停止不要なシステムを実現することができる。このトンネル型での技術課題とその解決策について報告する。

講演7塗装欠陥検査の「ものさし」と「欠陥見本」の検討
研 究 者
○印発表者  
〇吉田 龍一、長井 慶郎、柏原 将人
所  属 コニカミノルタ株式会社 センシング事業部 外観計測事業推進部
概  要 自動車の塗装欠陥は目視検査が基準である。そして検査機メーカーへの基準となる見本サンプルは、製造工程に準じ埃や油を使って製作し提供されることが多い。しかしサンプル製作方法では、同じサンプルが供給できず基準に誤差が生じやすい。我々は、この基準の誤差を減らすため、金属板への機械加工し、それを金型として成形し、塗装することで、再現性の高い塗装欠陥サンプルを製作したので報告する。

講演8 水性3Wet用空調緩和中塗りの開発
研 究 者
○印発表者
〇安保 啓司、成田 義則、西田 崇
所  属 トヨタ自動車梶Eモビリティ材料技術部・主幹
概  要 気候変動への危機感が世界的に強まっており、温室効果ガスの削減、2050年実質ゼロを目指し各国取り組んでいる。弊社としても2050年工場CO2ゼロ目標を2035年に前倒しすることを宣言し、各ショップで鋭意推進中。本研究では、塗装工程におけるCO2排出の多くを占めるブース空調に着目し、より幅広いブース温湿度領域で塗装可能な水性中塗りを開発し、展開することでCO2排出を大きく削減したその内容について報告する。

講演9 自補修水性塗装システムに適した新コンピュータ調色技術の開発
研 究 者
○印発表者
○武部 恭祐
所  属 関西ペイント株式会社
・日本事業部門 汎用塗料事業本部 車両技術統括部 車両第1技術部
概  要 近年、環境や人に配慮したサステナブルな企業活動が求められ、塗料を扱う自動車補修業界としても安全・安心な働きやすい環境(水性塗装システムの導入)、誰もが活躍できるやりがいのある職場づくり(作業効率化・標準化)を推進している。
今回、多様化が進む業界に先駆けて、自補修水性塗装システムに適した新たなコンピュータ調色技術の開発に成功した。

講演10 シルバーメタリックの自動車修理調色における熟練技術者の作業工程
研 究 者
○印発表者
〇高井 由佳、池元 茂
所  属 大阪産業大学・デザイン工学部・講師
ボデーガレージイケモト
概  要 自動車修理塗装の調色工程における熟練技術者が有する暗黙知を明確化するため、調色工程の工程分析を行った。トヨタ指定のシルバーメタリック色をベースにしたサンプル色を仕上がり色として、塗装技術者に職場にて調色作業を行わせた。この間の様子を動画で撮影するとともに、作業の意味や判断の理由をヒアリングした。動画より調色工程を細分化し、熟練技術者と非熟練技術者が選択する作業や判断の差異を明確化した。



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