発表1 プレコートアルミニウム材の放熱特性と加工性に及ぼす塗膜中の含有成分の影響
研 究 者
○印発表者  
〇渡邉 博紀、加藤 治、京 良彦
所  属株式会社UACJ・マーケティング技術本部 R&Dセンター 表面改質研究室
概  要 放熱性プレコートアルミニウム材には、ポリエステル樹脂ベース塗料とエポキシ樹脂ベース塗料の2種類がある。前者は放射率が高い一方、耐高湿性など耐久性に劣る。後者は耐高湿性など耐久性が高い一方、放射率が劣るという課題がある。本報告では、エポキシ樹脂ベースの塗料を用いて塗料の含有粒子である黒鉛の粒径、濃度を調整することでプレコートアルミニウム材の放熱特性および塗膜耐久性への影響を調査した結果を紹介する。

発表2 新規モノマーを用いたUV硬化塗料の溶剤削減・無溶剤化への貢献
研 究 者
○印発表者  
〇佐々木 佑希、加藤 直也
所  属株式会社クラレ イソプレンケミカル事業部 スペシャリティケミカル開発グループ
概  要 近年、SDGsやカーボンニュートラルの観点から、塗装工程のCO2排出量削減の流れが生じている。UV硬化塗料は、排出量の大きい乾燥・焼き付け工程を削減できる塗料である。一方で、無溶剤塗料は塗工性や性能の課題から、溶剤を含むUV硬化塗料が一般的である。本発表では、性能と低粘度化を両立し、溶剤削減・無溶剤化に貢献可能な、反応性希釈剤モノマーを紹介する。併せて、塗料用途で特徴的な性能を示す材料も紹介する。

発表3 熱輸送時のエネルギーロスを防ぐ塗布式断熱材
研 究 者
○印発表者  
○泉 寛之、丸山 直樹
所  属 株式会社レゾナック 先端融合研究所 デバイス材料研究部
概  要 近年、カーボンニュートラルの実現に向けて省エネ、脱炭素化のニーズが高まっており、モビリティ分野では電動化の動きが加速している。本発表では、EVの熱マネジメントにも応用可能性のある断熱材料技術として、ナノ細孔構造により優れた断熱性を発現しかつ液状であるため複雑形状にも施工、密着可能な塗布式断熱材を紹介する。

発表4 省工程型建築外装用塗料 「NADポリマSi」の開発
研 究 者
○印発表者  
〇山本 哲史、水谷 勉
所  属 水谷ペイント株式会社 技術統括部
概  要 低粘度・高固形分の非水分散(NAD)樹脂を用いた塗料を開発した。この樹脂を用いることで上塗り工程を2工程から1工程に省略することが可能となった。塗装工程数の省略で、塗装作業者の人手不足を解消、有機溶剤量削減による環境負荷低減を実現した。また、1液型塗料の使い勝手の良さに加え、塗装後、大気に触れることで重合するシステムを導入し、2液型塗料に匹敵する耐久性に優れた塗膜性能が得られた。

講演5 自動車産業におけるカーボンニュートラル実現に向けてウレタン技術を活用したソリューション
研 究 者
○印発表者  
〇宗像 和紀、森田 寛
所  属 住化コベストロウレタン株式会社 塗料・接着剤事業本部 技術開発部
概  要 カーボンニュートラル実現に向けて化学業界ではサーキュラーエコノミを推進しており、塗料・接着剤産業においても、用途別に様々な技術開発が進められている。自動車産業においては、塗装工程から排出されるCO2の削減が課題であり、塗装工程のコンパクト化、低温化、塗装ブースの縮小化・削除などのアプローチが提唱され、本セミナーでは材料面からウレタンの特性を活かして、何ができるかご提言したい。

発表6 自動車塗装ラインの 80℃硬化への挑戦 〜新規硬化剤の開発〜
研 究 者
○印発表者  
〇井上 佳彦、東 孝一郎、高瀬 俊介、山内 理計
所  属 旭化成株式会社 機能性コーティング事業部 デュラネート技術開発部
新規事業開発グループ
概  要 ・ブロックポリイソシアネートは低温硬化性と水系1液塗料配合後の貯蔵安定性がトレードオフの関係にあり、その両立が望まれている。新規ブロック剤、多官能ポリイソシアネート、水分散技術をベースとした80℃硬化の可能性がある水系1液塗料向け新規硬化剤について報告する。
・TTIは、低分子量、低粘度、多官能という特徴を有する特殊イソシアネートであり、塗膜の物性向上、速乾性、低温硬化等が期待される。

発表7 燃焼ガス成分が電着塗膜に及ぼす劣化メカニズム解明
研 究 者
○印発表者  
〇栗山 直樹、饗庭 健
所  属 日産自動車株式会社 材料技術部
概  要 電着塗装は焼付方法によって塗膜の劣化が発生することが知られている。今回、耐候性試験後の電着と上塗りの密着性が焼付方法によって変化する点に着目し、焼付における電着塗膜の劣化メカニズムを調査した。結果、燃焼ガスに含まれるNOxの影響によって電着の酸化劣化が発生し、上塗りとの密着性が低下することが確認された。本発表では劣化分析および台上での再現手法とメカニズムの考察について報告する。

発表8 粉体塗料物性評価に基づく塗装条件最適化へのアプローチ
研 究 者
○印発表者  
〇本山 祐、服部 竜樹、川合 伶奈
所  属 旭サナック株式会社 塗装機械事業部 塗装技術本部 開発部
塗装技術センターソフト開発課
概  要 近年、塗装業界においてもSDGsやカーボンニュートラル等の環境負荷低減化が注目され、 VOC削減や廃棄物量低減によって、溶剤塗装から粉体塗装に置き換わっている。当社は、これらのニーズに応えるべく、高塗着効率及び高塗膜品質となる粉体塗装機を開発してきた。本報告では、粉体塗料の物性を分析し、塗料物性が塗装性能に及ぼす影響を報告する。

発表9 質感と質感ワードによる塗色分類法の研究
研 究 者
○印発表者  
〇前田 賢司、藤枝 宗、権谷 晴之
所  属 関西ペイント株式会社 技術開発本部 第1部
概  要 自動車塗色は使用顔料の組み合わせで様々な質感を得る事が出来る。
デザイナーの感性に頼るところが大きかった質感の評価であるが、その質感を定量的に類別、可視化する手法を研究。類別した質感毎に質感ワードを与え、質感ワードに値する代表的な塗色の紹介と、その質感を得るために用いる色材と塗装工程について発表する。

発表10 軟X線分光によるりん酸鉄化成皮膜の組成および構造解析
研 究 者
○印発表者  
〇宮澤 悠介、中島 圭一、板本 航輝、福島 颯太、内山 瑛、安藤 美来
  田口 秀之、福士 英一、二宮 翔、西堀 麻衣子
所  属 日本パーカライジング(株) 総合技術研究所第二研究センター
東北大学
概  要 化成処理の一つに鉄鋼材料を対象とするりん酸鉄化成処理が挙げられる。りん酸鉄化成皮膜は膜厚が数十〜数百nmの極薄膜非晶質皮膜で、ラボレベルの分析装置では皮膜構成元素の化学状態を詳細に解明することが困難だった。そこで本研究では放射光軟X線分光により皮膜構成元素の化学状態を詳細に解析することで、組成や構造の膜厚依存性を議論した。その結果、化成皮膜中の鉄酸化物の組成比と膜厚に相関が認められた。

発表11 電着塗装の欠陥見本の製作
研 究 者
○印発表者  
〇吉田 龍一
所  属 コニカミノルタ株式会社 センシング事業本部ADS事業部 技術部
概  要 自動車の塗装欠陥の目合わせに使うサンプルは、これまで現場で出来なりで製作されていた。これに対し、機械加工で金型コアをつくり、それをもとに成形・塗装する方法で、意図した形状を安定してつくれることを第37回の塗料・塗装研究発表会で報告した。このときの発表はクリア塗装であったが、今回、拡散性も調整可能な電着塗装欠陥の製作方法を開発したので、これについて報告する。

発表12 市場再現性の高い促進耐候性試験方法の開発
研 究 者
○印発表者  
〇松田 健
所  属 関西ペイント株式会社 研究開発部門 技術開発本部
概  要 光/水/熱は屋外暴露における材料劣化の3大負荷因子だが、酸/塩/ダストといった降りかかり汚染物質の影響も無視できない。考案した促進耐候性試験法は「汚染物質の種付け」と「キセノン促進試験機を用いた光照射」を複合化したもので、ISO/JIS等で規格化された既存の試験法に比べて屋外暴露における塗膜劣化の再現性が飛躍的に向上する。屋外暴露における降りかかり汚染が塗膜劣化に及ぼす影響について報告する。

特別講演 カーボンニュートラル実現の鍵握る水素エネルギー
− 世界の最新動向と普及への課題 −
研 究 者西脇 文男
所  属 武蔵野大学客員教授・環境エコノミスト
概  要 カーボンニュートラル達成には水素エネルギーの利活用が不可欠との認識が広がり、本格的な社会実装に向けて世界は大きく動き出した。
水素は、EVでは力不足な大型・重量車両や船舶、航空機等に、また火力発電や鉄鋼、化学工業の脱炭素化に、化石資源に代る原・燃料として利用できる。
更に、水素には化石燃料の代替という以外に「エネルギーキャリア」という、将来のエネルギー社会の中核となる機能も期待されている。
本講演では、水素を巡る世界の最新動向、日本の取り組み状況、将来展望などについて解説します。



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