プログラム

平成20年度第3回講演会 『環境総決算!』 を終えて

 第3回講演会が日本ペイント株式会社 東京事業所 センタービルAホールにて2月13日開催されました。今回は幅広く環境をテーマとして捕らえた講演会であり参加される企業の方も当セミナーに初めて参加される多く見受けられました。現在の市況動向から参加される方が少ないかもと当初は懸念されておりましたが92名参加と第1回、第2回の参加者数には及びませんが多数来場の中で開催されました。
 第3回講演の企画理由として次のようなコンセプトから実施しました。近年、地球規模の環境破壊が進み、エネルギー消費増加、工業化、自動車普及等による大気汚染、酸性雨問題、それらに付随しCO2増加による地球温暖化等の問題、工業排水生活排水による水質汚染、土壌汚染、フロンガスによるオゾンホール、紫外線増加などの問題が報告されています。

 国内でもそれらに対する規制、法制化が進んでおりそれら法的規制と共に企業イメージとしての要求にもなっています。
 塗装業界への環境対策実現のためには1.塗装工法、塗装機器の対応、2.材料開発による新技術、3.塗装現場での改善研究が必要と考え、それら各分野のエキスパートによる講演を企画しました。
 また、現在非常に厳しい市況の中での講演のため特に"儲かる、元気の出る環境対策"の点で各講師に講演をお願いしました。講演の際、講師による @;実現場でのコスト削減の実例、考え方、A;映像、実例を駆使した自動車ロボット塗装事例、B;現在開発が進み導入が進みつつある水性塗料の開発事例、映像を使った塗膜性状、C;実証プラントを使用した水性塗装での水質対策例、D;自動車部品生産現場での環境対策実例、E;自動車車体メーカーによる環境対策実施例、将来動向など日本が得意とする分野での最新の技術動向の講演だったかと思います。
 講演時の反響は講師への質問や休憩時の会話などにも現れ、当日実施したアンケートに大きく現れているように感じられました。講演の際の各講師の方の熱のこもった説得力のある説明、考え方、前向きな姿勢、所属される会社の考えなど、コストの面から環境対策は後回しにするのではなく、出来ることはどんどんやっていくという前向きな姿勢が良く出ていたと思います。そのような取り組みが技術の進歩を押し進め、新たな知恵を生むものと思います。
 世界を見ると環境対策はアメリカ新政権での目玉ともなり、日本国内でも同様な流れが起きつつあります。全ての産業活動、生活スタイルに対して新たな道が開けてくるのではと思われます。塗装業界では現在の基礎となる塗装方法が確立し数十年経過した現在、新たな要求や模索する動きが出来つつあるのではないでしょうか。今回講演された内容もその流れの中の通過点ではと考えます。
 新たな新技術、考え方を紹介できる場やホットな話題を提供できる場として日本塗装技術協会セミナー委員会としては、今後も皆様が知見やヒントを得ることのできる講演会をタイムリーに企画していく所存です。
 次回の講演会は、『分析技術を駆使した塗装の解明(見えないものが診えた)』と題して、皆様に様々な知見やヒントがご提供できる様、準備を進めております。是非ご来場下さい。

                                  20年度第3回講演会 実行委員長 町田 竹雄

主催日本塗装技術協会
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
( 順不同 )

 
期日平成21年2月13日(金)
会場日本ペイント株式会社 東京事業所 センタービルAホール
東京都品川区南品川4−1−15

参加者 92名
参加費(消費税込)当協会会員・協賛学協会会員15,750円
学生3,150円
非会員21,000円

プログラム

9:50〜10:00 開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 セミナー委員会
講演1 「儲かる塗装工場への変身と環境対策技術」
10:00-10:50 社名 : 株式会社 エスジー
役職・氏名 : 代表取締役 奥山 岑長
塗装工場は、最近の世界経済の落ち込みにより、生産量の減少とエネルギーコストの上昇,原材料費の高騰により、利益の出しにくい状況にある。この時に、いかに付加価値を上げながら環境対応を進めてゆくからの考え方、進め方、ケーススタディについて紹介する。

講演2 「ロボット塗装システムが可能にする環境への負荷低減」
10:50-11:40 社名 : ABB株式会社
部署 : ロボティクス事業部 ペイントラボグループ
氏名 : 岩田 琢
天井吊りロボット塗装システム導入により、自動塗装ブース面積を大幅に減らし、塗装工場で最も電力を消費するブース空調エネルギーを大幅に減らすことが出来る。さらに、新型塗装機を用いた塗装プロセスにより塗料使用量、塗料ロスを削減することができる。これらの実施例を紹介しながら環境問題の負荷低減への貢献を概説する。

昼食休憩(60分間)
講演3 「環境対応型塗料の技術動向」
12:40-13:30 社名 : 日本ペイント株式会社
部署 :自動車塗料事業本部 中上塗料技術部
役職・氏名 : 第2開発部長 金倉 顕博
環境大規制の潮流の中にあって、塗料・塗装の開発対応は最も重要な社会的使命である。本講演では、自動車用塗料を事例に、特に環境対応型塗料の代表である水性塗料の 粘性制御方法、さらに工程短縮に不可欠なウェットオンウェット塗装の制御方法を解説し、最後に将来動向などを紹介する。

講演4 「塗料水性化に向けた排水処理システムの紹介」
13:30-14:20 社名 : アタカ大機株式会社
部署 : 環境研究所
氏名 : 宮前 博子
水性塗料化により、親水化した含有成分が増加することから、これらが排水へと流入してBOD・COD負荷が高まり、放流先の水質規制によっては、その対応が課題となっている。塗料メーカーとの共同開発をはじめ、自動車工場や印刷メーカー等の水性塗料排水の処理試験から、水性化に伴う水質の変化や、その処理方法および課題について紹介する。

休憩(20分間)
講演5 「部品表面処理の環境負荷低減」
14:40-15:30 社名 : 株式会社 デンソー
部署 : 材料技術部
氏名 : 菅原 博好
自動車部品表面処理の環境課題としては環境負荷物質としての六価クロム、鉛、VOC、フロン、また地球温暖化防止としてのCO2削減がある。それらに対応する実例を紹介する。

講演6 「自動車塗装における環境対応への取り組みについて」
15:30-16:20 社名 : トヨタ自動車株式会社
部署 : 車両材料技術部 塗装設計室
氏名 : 桑野 一幸
自動車塗装は美観の付与とその保護という役割を担っている一方で、生産環境だけでなく製品環境も含めて、いくつかの環境問題に直面しており、これまでに塗料の開発、設備の改良、工程の見直しなどにより、それらの問題に対応してきた。ここでは、VOCおよびCO排出量の低減に向けたこれまでの取り組み状況ならびに今後の塗料開発について紹介する。



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