プログラム

<講演会報告>

令和3年度 第1回講演会を終えて

令和3年度 第1回講演会を「塗装のネックエンジニアリングへの挑戦パートU」〜塗装の欠陥対応に関する最新技術紹介〜 と題しまして、6月18日にウエビナー形式にてオンライン開催致しました。
現在のコロナ禍を受けオンライン開催となりましたが、当日 45名の聴講者に参加頂き、塗装の最新技術に関しての活発な情報交換の場となりました。
講師の方々におかれましては、ご多忙の中 執筆・ご講演と多大なるご協力を賜りましたことをこの場を借りまして改めて御礼申し上げます。

地球環境保護の為のカーボンニュートラルの実現は、我々塗装に携わる関係者にとっては喫緊の大きな責務として考えなければなりません。その観点より、再塗装によるエネルギー及び手直しにより発生するランニングコストを削減する為の塗膜欠陥対策の取り組みは、塗装においては重要かつ永遠のテーマと考え、本講演を開催させて頂きました。

第1講演は『蛍光性模擬粉体による薬塵封じ込め性能モニタリングシステム』と題しまして、清水建設株式会社 技術研究所環境基盤技術センター 上席研究員 田中 勲様より、抗がん剤等の高活性医薬品は人体への作用が強いために、生産装置や施設における封じ込め対策が重要であることから、オンサイトで結果を得られるモニタリングシステムについてご講演頂きました。
異分野と思っていましたが、技術アプローチは同じで、興味深く聞かせて頂きましたとのお声を頂いております。

第2講演は『自動車塗装における塗装及び塗膜不具合と対策』と題しまして、BASFジャパン株式会社コーティングス事業部 製品開発部 マネージャー 角田 剛様より、自動車用塗料のライン塗装における代表的な不具合と対策について紹介頂きました。
自動車塗装における塗装及び塗膜不具合と対策の講義がとても勉強になりました等の声が多く寄せられました。

第3講演は『塗装工程における異物不具合原因の可視化・定量化手法と”付着塵”の視点から考える改善アプローチ』と題しまして、CEL 代表 湯澤 智様より、塗装工程の異物不具合改善を効果的に進めるために必須の可視化・定量化手法の体系を紹介するとともに、数10μm以上の粗大異物である”付着塵”の存在に焦点を当て、その性質や挙動についての実験結果を交えながらご講演頂きました。塗膜欠陥を考えるときに、浮遊塵、付着塵という視点からみると、欠陥発生のプロセスがより想像できると思いますなど、非常に参考になった旨のご意見を多く頂いております。

第4講演は『塗装表面欠陥検査システムの紹介』と題しまして、リコーエレメックス株式会社産業機器事業部 事業企画部 営業G倉田 修二様より塗装品表面検査の自動化について「不良を見つける検査」から「問題解決につなげる検査」への転換についてご紹介頂きました。塗装欠陥検査の自動化を今後検討していきたいとの意見を多く頂きました。

第5講演は『車体塗装表面 自動欠陥検出装置開発』と題しまして、日産自動車株式会社 車両生産技術開発本部 生産技術研究開発センター塗膜形成Gr 担当 本田 武様より自動車塗装工場検査工程における自動車塗装面の欠陥検出システムについて紹介頂きました。これまで自動化が難しいと思っていましたが、業界の流れとして自動化に進んでいくと再認識できましたとの意見を頂いております。

開催後のアンケートでは、今回のオンラインでの開催について、会場への移動の必要がないので参加しやすい、映像・音声ともに良好で、進行もスムースであったという声を寄せていただき安堵いたしております。
次回もオンライン開催を計画しており、より一層の改善に努めて参ります。
その後の開催につきましては、コロナの状況を含めた社会事情を踏まえ、皆様へより魅力ある講演会にすべく対面方式や対面方式とウエビナー方式のハイブリッド方式なども候補として考えていきたいと思いますので引き続き宜しくお願いします。

次回の講演会は、令和3年度 アンコール講演会『進歩し続ける塗装技術(U)』 〜 塗膜機能と塗装に関する技術紹介 〜を2021年9月10日(金)にオンライン開催致します。
是非参加を検討いただけますと幸いです。
塗装技術協会セミナー委員会一同、皆様の参加をお待ちしております。

令和3年度 第1回講演会
実行委員長 吉岡 秀久

主催一般社団法人日本塗装技術協会  
協賛日本化学会色材協会日本塗装工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
日本塗料検査協会高分子学会自動車技術会
材料技術研究協会静電気学会日本印刷学会
粉体工学会日本金属学会腐食防食学会
日本建築仕上学会日本粉体工業技術協会日本レオロジー学会
日本油化学会国際工業塗装高度化推進会議 

 
期日2021年 6月 18日(金) 10:00〜16:25
会場オンライン開催

参加費日本塗装技術協会及び協賛学協会会員16,500円
非会員22,000円
学生参加者3,300円

プログラム

10:00 開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 日本塗装技術協会
10:10〜11:10 「蛍光性模擬粉体による薬塵封じ込め性能モニタリングシステム」
No.1 清水建設株式会社 技術研究所環境基盤技術センター 上席研究員 田中 勲
概要:
抗がん剤等の高活性医薬品は人体への作用が強いことから、生産装置や施設における封じ込め対策が重要である。薬塵漏洩量の測定にもとづく封じ込めの性能評価には数日を要するため、演者らは蛍光性模擬粉体と蛍光粒子検出装置から構成され、オンサイトで結果を得られるモニタリングシステムを検討してきた。本講演ではシステムの原理,蛍光性粉体の諸特性,実機による検証例を紹介する。

休憩(5分)
11:15〜12:15  「自動車塗装における塗装及び塗膜不具合と対策」
No.2 BASFジャパン株式会社コーティングス事業部 製品開発部 マネージャー 角田 剛
概要:
自動車用塗料のライン塗装における代表的な不具合と対策について解説する。又、クリヤーコートの硬化形式と形成される塗膜の耐久性について解説し、従来技術では到達困難であった優れた耐傷付き性と屋外暴露外観を両立させる有機・無機ハイブリッドクリヤーを紹介する。

昼食休憩(60分間)
13:15〜14:15 「塗装工程における異物不具合原因の可視化・定量化手法と、”付着塵”の視点から考える改善アプローチ」
No.3 CEL 代表 湯澤 智
概要:
塗装工程の異物不具合改善の難しさは異物自体が小さく目に見えにくい事に加え、その発生地点が工程全体に及ぶ事から、改善が行き詰まったり誤った方向に進みがちな点にある。今回はこうした改善を効果的に進めるために必須の可視化・定量化手法の体系を紹介するとともに、改善の思わぬ落とし穴になる事が多い数10μm以上の粗大異物である”付着塵”の存在に焦点を当て、その性質や挙動についての実験結果を交えながら解説する。

休憩(5分)
14:20〜15:20 「塗装表面欠陥検査システムの紹介」
No.4 リコーエレメックス株式会社 産業機器事業部 事業企画部 営業G 倉田 修二
概要:
塗装品表面検査は目視検査されており多くの課題があるなかで流出防止/品質管理/検査員育成の課題を検査自動化で解決します。
塗装表面に発生するブツ、ハジキ等の欠陥を特殊な目(撮像機器)と脳(判定ソフト)を使い自動検査が可能になっています。さらに検査結果データを自動集計/分析する事で塗装工程へ改善のフィードバックを行います。「不良を見つける検査」から「問題解決につなげる検査」への転換で収益改善のお役立ちを狙います。

休憩(5分)
15:25〜16:25 「車体塗装表面 自動欠陥検出装置開発」
No.5 日産自動車株式会社 車両生産技術開発本部 生産技術研究開発センター
塗膜形成Gr 担当 本田 武志
概要:
自動車塗装工場検査工程における品質保証度向上および検出作業者の直労低減を目指し、縞投影型の画像認識技術を活用し、自動車塗装面の欠陥検出システムの開発および実ラインへの導入を行った。
当社では、縞投影を移動させながら複数枚画像を撮影した後、強調化処理を実施することで、微小サイズの凸および凹形状の欠陥形状を安定的に検出することを可能としたバイスリープロジェクツ(株)製の表面欠陥検査ユニットに着目し、塗装検査工程への応用および実ラインへの適用を実施した。


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