プログラム

<講演会報告>

2021年度(令和3年度)第3回講演会を終えて

 2022年2月18日に「進化する自動車塗装技術」〜デザイン、生産技術、環境への最適化の取り組みと革新〜と題した講演会を、コロナウイルス感染防止を考慮して前回に引き続きZOOMによるオンラインのウエビナー形式にて行いました。当日は86名のご参加をいただき、盛況な講演会となったことに厚く御礼申し上げます。

今回は、自動車に関わる最新動向として、外板色のトレンドから、塗装ロボットシステム、開閉作業を要するスライドドア内板、塗装工場のカーボンニュートラルの取り組みといった様々な話題をご提供することができました。講師の方々におかれましては、ご多忙の中、資料のご準備からご講演まで多大なるご協力を賜りましたこと、この場を借りまして改めて御礼申し上げます。

第1講演は、「自動車の外板色の傾向とこれから」との題目で、BASFジャパン株式会社 コーティングス事業部 シニアマネージャー/チーフデザイナー・アジアパシフィック 松原 千春様に講演して頂きました。日本と海外のカラーデザインの傾向と違いをわかりやすく解説してくださり、聴講者からは「現在の自動車外板色に求められる機能や意匠が多様化していることが良く理解でき大変参考になった。」という反響を多くいただきました。「トピックスとして現在最も活気がある中国の電気自動車メーカーのチャレンジングなカラーの動向も勉強になった。」という声もいただきました。

第2講演は、「塗装ロボットシステムの最新技術動向」との題目で、ABB株式会社 代表取締役社長 兼 ロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部 事業本部長 中島 秀一郎様に講演をして頂きました。
最新の塗装システムやロボットの機能について動画を交えてわかりやすく紹介していただき、「既に大きな話題になっているPixelPaintについても理解が深まった。」という声や、「IoTについての進化と、今後の開発に期待する。」などの反響をいただきました。

第3講演は、「スライドドア内板塗装自動化の取り組み」との題目で、本田技研工業株式会社 車体生産技術部 古野 賢也様に講演して頂きました。「スライドドアへのアクセス手法の難易度の高さに対する様々なアプローチを継続し検討されている姿勢に学ぶところがたくさんあった。」、「工場内の工夫等、勉強になることが多かった。」、「塗装における治具の重要性が良く分かる内容だった。」、「工法が進化していく過程がワクワクした。」、「内板塗装の難易度がよく理解できた。」などの大きな反響をいただきました。

第4講演は、「塗装工場カーボンニュートラル(工場CN)の取り組み」との題目で、トヨタ自動車株式会社 車両生技開発部 部付き環境G GM加藤 大雄様に講演をして頂きました。トヨタ自動車様での幅広い取り組み内容についての紹介でした。「CO2削減に対する対処(日常改善、ものつくり革新、再エネ・水素)の具体的な対処について参考になった。」との声や、「まずはお金をかけずに実施できる小さな取組から、会社としてのカーボンニュートラル意識向上に向けて取組んでいく姿勢や、ヒートポンプなどの活用などの既存設備の積み重ねだけでなく、将来の技術開発についても隙なく取り組んでいることに賛同する。」との声が多く寄せられました。

今回は、前回までのチャットでの質問形式から直接音声で質問する形式に切り替えました。質疑応答が活発になったと好評でした。一方、音声トラブルなどにより、質問者と講師との間で意思疎通ができなかった場面などもあり、運営方法の見直しをしなければならない点も浮き彫りになりました。今後はリハーサルや講演寸前の確認、準備など、セミナー委員全員で再発防止に取り組み、参加いただける皆様により良い講演会をお届けできるよう取り組んでまいります。
今後も日々の皆さまの技術活動に少しでも貢献できるような話題を提供していきたいと考えております。

次回の講演会は、2022年度第1回講演会「コーティングにおけるSDGsの考え方とアクティブなアプローチを目指して(II)」〜環境取り組みへの従来塗装のヤリキリと革新技術〜と題しまして、2022年6月17日(金)にオンライン開催を予定しています。
塗装技術協会セミナー委員一同、皆様のご参加をお待ちしております。

令和3年度 第3回講演会
実行委員長 若井 宏平

主催一般社団法人日本塗装技術協会  
協賛日本化学会色材協会日本塗装工業会
日本塗装機械工業会高分子学会日本工業塗装協同組合連合会
日本自動車車体工業会日本防錆技術協会材料技術研究協会
日本レオロジー学会日本印刷学会日本建築仕上学会
日本塗料検査協会日本油化学会腐食防食学会
自動車技術会静電気学会日本粉体工業技術協会
国際工業塗装高度化推進会議エポキシ樹脂技術協会

 
期日2022年 2月 18日(金) 10:45〜16:30
会場オンライン開催(ZOOM)

参加費日本塗装技術協会及び協賛学協会会員16,500円
非会員22,000円
学生参加者3,300円

プログラム

10:45 開会の挨拶とガイダンス 日本塗装技術協会 第3回講演会実行委員長
10:55〜12:00
(Q&A含む)
「自動車の外板色の傾向とこれから」
No.1 BASFジャパン株式会社
コーティングス事業部
シニアマネージャー/チーフデザイナー・アジアパシフィック
松原 千春
概要:
情報伝達や市場の成長の速度が上がるにつれ、外板色傾向はグローバル化しているようにも見えるが、地域別の特徴も明らかに存在する。大変革期を迎える自動車産業において、多様な要素が影響し合い、外板色に求められる要素もより複雑化してきている。主要市場の特徴を紹介しながら、これからの傾向と、開発に求められる要素を探る。

昼食休憩(60分間)
13:00〜14:05
(Q&A含む) 
「塗装ロボットシステムの最新技術動向」
No.2 ABB株式会社
代表取締役社長 兼
ロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部
事業本部長
中島 秀一郎
概要:
ABBは、市場黎明期より蓄えた塗装自動化の実践的知見とお客さまの現場の現在の声に基づき、常に最新技術の探求を行なっている。本講演では最新技術動向として、環境負荷、設備投資、運用コストの低減といった視点を交え、塗装機などの既存技術の進展、デジタル技術の活用状況、PixelPaintに代表される技術革新をご紹介する。

休憩(5分間)
14:10〜15:15
(Q&A含む)
「スライドドア内板塗装自動化の取り組み」
No.3 本田技研工業株式会社
車体生産技術部
古野 賢也
概要:
内装塗装自動化技術について過去から取り組んでおり、拠点特性/生産機種により自動化方案を最適化してきた。スライドドア機種にあたっては、ドアを別体とすることで自動化生産しているが、ボディ一体とする自動化技術の確立は難易度が高かった。そこでドア治具と開閉ツールを自社開発し、これを実現した。
本講演では、これまでの内装自動化への取り組みを紹介する。

休憩(5分)
15:20〜16:25
(Q&A含む)
「塗装工場カーボンニュートラル(工場CN)の取り組み」
No.4 トヨタ自動車株式会社
車両生技開発部
GM
加藤 大雄
概要:
トヨタでは脱炭素機運の向上から、2035年カーボンニュートラル(CN)達成を目指している。低CO2生産技術の開発・導入によるCO2排出量の削減を、CNをモノづくり改革のチャンスと捉え、積極的に取り組んでいる。トヨタの取り組みと塗装工場のCO2削減について例を挙げてご紹介する。

16:25〜16:30 閉会の挨拶と今後のご連絡


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