プログラム

<講演会報告>

2023年度 第2回講演会を終えて

 2023年度 第2回講演会を本講演では『SDGsに向けた国内外の塗料・塗装技術と周辺動向』と題して、11月17日(金)にウエビナー形式にてオンライン開催しました。当日には46名の方々にご参加頂き誠にありがとうございました。
 今回、SDGs(持続可能な開発目標)が日本国内においてもその活動内容が企業評価につながるまで注目が高まっている中で、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの活用、枯渇資源である水使用の最小化は製造業界が直面する大きな課題として捉え、幅広い分野から本テーマについてご講演頂きました。講師の皆様におかれましてはご多忙の中、執筆・ご講演と多大なるご協力を賜りましたことをこの場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。

 第1講は「塗料における欧州の最新動向について」と題しまして、ビックケミー・ジャパン株式会社 塗料添加剤部 課長 桜木啓介様より、欧州の塗料業界における、環境保護や塗料・塗膜への要求事項の最近の動向について、取り組み事例を交えてご講演頂きました。各分野での塗料トレンド、省人化開発プロセス、ロバスト性の高い製造プロセスなどをご紹介頂き、短期間での製品化に繋がる、非常に重要な取り組みであると感じました。

 第2講は「FROSIO塗装検査員認定制度のご紹介」と題しまして、株式会社日本ピーエッチバリュー 代表取締役 結城吾郎様より、資格のある塗装検査員の起用が日本でも高まる中で高い評価と信頼を得ているFROSIO認定検査員資格の教育と認定制度についてご講演頂きました。検査員になるための訓練、資格要件、本検査が海上構造物のみではなく輸出部品まで求められようになる事、今後、海上発電などの需要が増える見込みであり、検査員の必要性・重要性が高まると感じました。

 第3講は「近年の塗装ブース処理技術と新たなソリューションについて」と題しまして、栗田工業株式会社 産業・社会インフラ本部 CE事業開発部門 資源循環技術部 排水技術課 齋藤梨絵様、イノベーション本部 Acorn開発部 技術課 進邦周子様より、前処理・電着工程のブツ削減システムと塗装ブース循環水処理包括プログラム、省ケミカルな純水供給システム、機能材の省資源化ソリューション等をご講演頂きました。
 塗装ブース循環水包括プログラムにて安定的に管理することができ省人化、廃棄物の低減につながること、フィルター、水処理剤の適用により前処理・電着工程のブツ削減による生産性向上に繋がるだけでなく、フィルター寿命、使用水の低減につながること、RO膜装置の最適運転ソリューションによりモーター電力の低減、RO膜交換頻度の低減につながることなど、DXを交えた取り組みは興味深いものでした。

 第4講は「微生物による廃塗料の資源化技術」と題しまして、一般財団法人 Inbound Japan 所属 微生物応用研究所 主幹 宮崎利久様よりホンダ技研における肥料化技術、日産自動車における微生物製剤化技術及び分解菌の製造、菌の同定に至るプロセスの事例に挙げてご講演頂きました。
 塗料スラッジを種類に応じた微生物の選定、バイオリアクター条件の適正化により固形燃料、肥料、微生物製剤への資源化を実現された実例を踏まえて分かりやすく説明頂き、SDGSに向けたサスティナブルな技術であり更なる適用拡大が期待できると感じました。

 第5講は「Durrの自動車塗装コンセプトと設備・アプリケーションについて」と題して、デュル・ジャパン株式会社 代表取締役社長 佐藤文勇様より自動車業界の塗装においては、EV化、環境対策、デザイン塗装、効率化、柔軟性、デジタル化など、かつてないスピードで変化が求めている中で、これからの塗装工場に求められるターンキーコンセプト、そして先進設備、アプリケーション、ソリューションの概要についてご講演頂きました。初期投資を減らし生産量に応じて製造能力を追加できるモジュールコンセプト、塗装プロセスでは消費エネルギーの低減可能なEco Paint Boothなどの組合せ最適化によりエネルギー効率を高める取り組みは興味深いものでした。

 本講演会の情報が少しでもご参加いたただいた皆様の役立つものとなれば幸いに存じます。一部の講演で動画音声などの不具合があったことについては、セミナー委員会で事前確認作業の徹底など再発防止に取り組み、より良い講演会をお届けできるよう取り組んでまいります。また、アンケートにご協力いただき誠にありがとうございました。皆様のご意見は今後の講演会の企画、運営に役立てて参ります。

 次回の講演会は、2023年度 第3回講演会「自動車産業におけるカーボンニュートラル実現に向けた取り組み」〜 ビジョンとテクノロジーの最新動向 〜を2024年2月9日(金)に日本ペイントホールディングス株式会社様 東京事業所センタービル1Fホールでの会場開催となります。塗装技術協会セミナー委員会一同、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
2023年度 第2回講演会
実行委員長 吉田誠二
(日本パーカライジング梶j

主催一般社団法人日本塗装技術協会  
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本塗装機械工業会高分子学会日本工業塗装協同組合連合会
日本自動車車体工業会日本防錆技術協会材料技術研究協会
日本レオロジー学会日本印刷学会日本建築仕上学会
日本塗料検査協会日本油化学会腐食防食学会
自動車技術会静電気学会日本粉体工業技術協会
国際工業塗装高度化推進会議エポキシ樹脂技術協会

 
期日2023年 11月 17日(金) 09:50〜16:15
会場オンライン開催(ZOOM)

参加費日本塗装技術協会及び協賛学協会会員16,500円
非会員22,000円
学生参加者3,300円

プログラム
講師の方の敬称は略させていただきます。

09:50 開会の挨拶とガイダンス  日本塗装技術協会 第2回講演会実行委員長
10:00〜11:00
(Q&A含む)
「塗料における欧州の最新動向について」
No.1 ビックケミー・ジャパン株式会社
塗料添加剤部
課長 桜木 啓介
概要:
経済発展のみならずサステナビリティにも焦点を当てた企業活動がグローバル規模で必要となっており、塗料業界においても、地球環境保護に対する様々な活動が実施されてきています。今回、欧州の塗料業界における、環境保護や塗料・塗膜への要求事項の最近の動向について、当社の取り組み事例を交えて紹介します。

休憩(5分間)
11:05〜12:05
(Q&A含む) 
「FROSIO塗装検査員認定制度のご紹介」
No.2 株式会社日本ピーエッチバリュー
代表取締役 結城 吾郎
概要:
海外では様々な塗装検査員の教育と認定制度が存在し、品質検査をはじめ、各種プロジェクトでは、資格のある塗装検査員の起用が必須と言っても過言ではなく、日本国内でも要求される案件が確実に増加している。なかでも高い評価と信頼を得ているFROSIO認定検査員資格の教育と認定制度について、その必要性と併せてご紹介する。

昼食休憩(55分間)
13:00〜14:00
(Q&A含む)
「塗装工程および純水製造工程の環境ソリューション」
No.3 栗田工業株式会社
産業・社会インフラ本部 齋藤 梨絵
イノベーション本部 進邦 周子
概要:
当社はお客様における環境問題の解決をサポートすべく、水資源問題の解決や廃棄物の削減等を軸にソリューションを提供している。
今回は前処理・電着工程のブツ削減システム、塗装ブース循環水処理包括プログラム、純水供給システム、RO膜装置の最適運転ソリューション等を説明する。

休憩(5分間)
14:05〜15:05
(Q&A含む)
「微生物による廃塗料の資源化技術」
No.4 一般財団法人 Inbound Japan 所属 微生物応用研究所
主幹 宮崎 利久
概要:
微生物の分解能力を応用した廃塗料の資源化技術を確立した。今回はホンダ技研における肥料化技術、日産自動車における微生物製剤化技術及び分解菌の製造、菌の同定に至るプロセスを報告する。そして、廃塗料の資源化による温室効果ガス(GHG)排出量の削減への貢献度についても言及したい。

休憩(5分間)
15:10〜16:10
(Q&A含む)
「Durrの自動車塗装コンセプトと設備・アプリケーションについて」
No.5 デュル・ジャパン株式会社
代表取締役社長 佐藤 文勇
概要:
自動車業界の塗装においては、EV化、環境対策、デザイン塗装、効率化、柔軟性、デジタル化など、かつてないスピードで変化が求められています。
これからの塗装工場に求められるターンキーコンセプト、そして先進設備、アプリケーション、ソリューションの概要についてご紹介します。

16:10〜16:15 閉会の挨拶と今後のご連絡


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