プログラム

<講演会報告>

2024年度 第1回講演会を終えて

 2024年度の第1回講演会を「バッテリーテクノロジーとコーティングの最新動向 〜電池製造と塗装技術の関わりを探す〜」と題して、6月21日(金)にオンラインのウェビナー形式で開催しました。当日は66名の皆様にご参加いただき、厚く御礼申し上げます。
 今回は、蓄電池およびペロブスカイト型太陽電池について、5名の講師にご講演いただきました。講師の皆様にはご多用のところ、執筆・講演と多大なご協力を賜りました。この場をお借りして、改めて厚く御礼申し上げます。

 第1講は「高エネルギー密度型次世代電池およびその材料に関する研究開発」と題しまして、国立大学法人 山形大学 有機エレクトロニクスイノベーションセンター 研究専任教授 森下 正典様にご講演いただきました。リチウムイオン電池の動向、原理、構造などの基本情報から、電池製造プロセスにおける塗装の役割を詳細にご説明いただきました。また、半固体電池や全固体電池等の最新技術動向についてもご紹介いただきました。
 第2講は「塗工の自動化」と題しまして、株式会社テクノスマート 技術統括部 研究開発部 部長 市川 太空美様にご講演いただきました。二次電池の製造に欠かせない塗工について、ダイコーターによる自動塗装を中心にわかりやすくご説明いただきました。
 第3講は「熱伝導性材料の機能と特性 EVへの液状ギャップフィラーの適用について」と題しまして、ヘンケルジャパン株式会社 オートモーティブコンポーネンツ事業部 アプリケーションエンジニア 奥原 昴様にご講演いただきました。熱伝導材料の特徴およびEV車の熱マネジメントに貢献する液状ギャップフィラーの機能についてご報告いただきました。
 第4講は「バッテリー市場へのソリューション」と題しまして、Sames Automotive Business Development SpecialistであるSebastien SALZE様にご講演いただきました。バッテリー製造時の塗布工程で使用されるポンプ、塗工機についてご紹介いただきました。
 第5講は「ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた基盤技術開発」と題しまして、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター 研究チーム長 村上 拓郎様にご講演いただきました。現在のペロブスカイト型太陽電池が誕生した意外なエピソードも交えて、特徴、性能、技術動向について丁寧にご説明いただきました。

 講演後に、参加者の皆様から数多くの質問をいただきました。講演会の予定時間では全てに回答できず、後日メールで回答させていただきました。質問の多さから、参加者の皆様にとって興味深い、素晴らしい講演だと改めて感じました。
 参加者の皆様のアンケートでは、「リチウムイオンバッテリについて基礎的なところから最新動向を知ることができた」、「今注目されている技術分野であり、現状と今後が分かり易かった」、「素晴らしい内容の講演会の企画に感謝」などの嬉しいコメントをいただきました。今後も皆さまの業務に貢献できる講演会を企画していく所存です。

 次回、2024年度 第2回講演会は防食、耐候性をテーマにした企画を進めています。2024年10月25日(金)にオンライン形式での開催を予定しています。日本塗装技術協会セミナー委員一同、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

2024年度 第1回講演会
実行委員長 柴尾 史生

主催一般社団法人日本塗装技術協会  
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本塗装機械工業会高分子学会日本工業塗装協同組合連合会
日本自動車車体工業会日本防錆技術協会材料技術研究協会
日本レオロジー学会日本印刷学会日本建築仕上学会
日本塗料検査協会日本油化学会腐食防食学会
自動車技術会静電気学会日本粉体工業技術協会
国際工業塗装高度化推進会議エポキシ樹脂技術協会

 
期日2024年 6月 21日(金) 09:45〜16:05
会場オンライン(ZOOMウェビナー)

参加費日本塗装技術協会及び協賛学協会会員16,500円
非会員22,000円
学生参加者3,300円

プログラム
講師の方の敬称は略させていただきます。

09:45 開会の挨拶とガイダンス  日本塗装技術協会 第1回講演会実行委員長
09:55〜10:55
(Q&A含む)
「高エネルギー密度型次世代電池およびその材料に関する研究開発」
No.1 国立大学法人 山形大学
有機エレクトロニクスイノベーションセンター
研究専任教授 森下 正典
概要:
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、軽量であることから携帯用機器や電気自動車など様々な機器の電源として広く使用されている。電池のさらなる高エネルギー密度化のため、当研究室では高容量材料およびそれらを用いた次世代電池の研究開発に取り組んでいる。本講演では高容量正極・負極材料を使いこなすための周辺材料や電極設計の方法、またその特性について紹介する。

休憩(5分間)
11:00〜12:00
(Q&A含む) 
「塗工の自動化」
No.2 株式会社テクノスマート
技術統括部 研究開発部
部長 市川 太空美
概要:
私たちの身の回りには多くの二次電池が存在し、持続可能なエネルギー供給と環境保護に欠かせない存在となっている。今回はモビリティ、エネルギーストレージ、デバイス駆動など幅広く利用される二次電池の高速生産、高精度塗工、塗工の自動制御の現状についてご紹介する。

昼食休憩(60分間)
13:00〜14:00
(Q&A含む)
「熱伝導性材料の機能と特性 EVへの液状ギャップフィラーの適用について」
No.3 ヘンケルジャパン株式会社
オートモーティブコンポーネンツ事業部
アプリケーションエンジニア 奥原 昂
概要:
ヘンケルは幅広い種類の熱伝導性材料(放熱材)を取り扱う材料メーカーであるため、種類別の製品特性に精通しておりユーザーの希望に最も合致する製品を提案することができる。本講義では熱伝導性材料の選定の仕方と機能、特に次世代エネルギー車への適用が本格化している二液性液状ギャップフィラーについてその特性を説明する。

休憩(5分間)
14:05〜15:05
(Q&A含む)
「バッテリーパック製造向けアプリケーションのソリューションについて」
※日本語通訳あり
No.4 Sames
Automotive
Business Development Specialist Sebastien SALZE
概要:
バッテリーの安全性、容量、コスト削減、アセンブリなどの技術革新に応えるために、バッテリーの製造工程は進化し続けています。弊社サメスでは塗料、パウダー、シーリング、接着剤など様々な種類の材料に適用する塗布アプリケーションをポンプから塗布機まで提供しております。新開発の二液材料等の様々な塗布適用例をご紹介します。

休憩(5分間)
15:10〜16:00
(Q&A含む)
「ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた基盤技術開発」
No.5 (国研)産業技術総合研究所
ゼロエミッション国際共同研究センター
研究チーム長 村上 拓郎
概要:
ペロブスカイト太陽電池は次世代型太陽電池として注目を集めているが、実用化には、長期耐久性と量産を可能にする成膜プロセスの開発が必要である。産総研ではペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた塗布技術、高耐久化技術、セル解析技術等の開発に取り組んでいる。本発表では、産総研の取組みを紹介する。

16:00〜16:05 閉会の挨拶と今後のご連絡


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