プログラム

平成21年度第3回講演会を終えて

 平成21年度第3回講演会が、日本ペイント株式会社東京事業所センタービルAホールにて2月5日に開催されました。テーマは昨今の厳しい経済情勢を受けて"コストリダクション"に焦点を絞り、『塗装工場のコストリダクション 〜持続性あるコスト競争力の実現に向けて〜』と題して企画しました。
 塗装業界を取り巻く課題は山積しており、重要な課題のひとつに環境問題があります。しかしながら今回は敢えて"環境両立"をキーワードとせず、コストに特化したテーマとしました。材料の歩留まり向上、省エネルギーなど、コスト低減の諸方策の多くは結果として環境にも貢献すると考えられるためです。また、副題の意味は、投資環境が厳しい状況下におけるコスト低減は"ムリ"、"ムダ"、"ムラ"の排除が基本ですが、この最も基本的な改善を地道に実行してゆくことにより、コストリダクションにおける将来の飛躍に繋がる基礎体力を付けましょうという思いを込めました。

 講演の構成は、大別して、@現場で即実践可能な改善事例、Aコスト低減に繋がる新技術紹介、B最新自動車塗装工場事例の3部構成とし、@では、平田技術士事務所の平田講師より「見える化」によるゴミブツ源流対策の紹介、株式会社日立グローバルストレージテクノロジーズの佐々木講師からは周辺視目視検査法による流出防止効果について、そして川崎重工業株式会社の南講師からは2輪のカウリング塗装の事例紹介がありました。これらの講演を通じて、塗装工場のコスト悪化の主要因のひとつがゴミブツであり、コスト削減の最も基本かつ即効性のある方策は品質対策であるということを改めて認識させられました。またAでは、塗装工場の省エネルギーに繋がる可能性を秘めた技術として注目されている誘導加熱に関して、島田理化工業株式会社の石間講師から紹介していただきました。そして最後の講演では、ホンダエンジニアリング株式会社の多田講師より、当日の講演の総括として、ホンダのインディアナ新工場におけるコストダウンへの取り組みについて大変興味深い講演がありました。
 経済環境が厳しい時期にも関わらず、90名弱の方々に参加していただき、また活発な質疑もあり、皆さんの関心の高さがうかがえました。今回の講演を通じて、すぐにできる事から将来のコスト戦略に至るまで、幅広く考えるきっかけを掴んでいただけたならば幸いです。セミナー委員会ではこれからも時流にあったテーマを選定し、情報提供して行きますので今後ともよろしくお願い致します。

第3回セミナー実行委員長 相澤昭彦

主催日本塗装技術協会
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
日本塗料検査協会( 順不同 )

 
期日平成22年 2月 5日(金)
会場日本ペイント株式会社 東京事業所 センタービルAホール
東京都品川区南品川4−1−15

参加者 87名
参加費(消費税込)当協会会員・協賛学協会会員15,750円
学生3,150円
非会員21,000円

プログラム
9:50〜10:00 開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 セミナー委員会
講演1 「ゴミ不良を無くせ!「見える化」による塗装現場のゴミブツ対策」
10:00-11:00 社名 : 平田技術士事務所
役職・氏名 : 代表 平田 政司
塗装工程における品質不良はコスト悪化の主要因となっている。その外観不具合の大半がゴミ・ブツによるものであり、この克服は永遠の課題である。今回は工業塗装におけるゴミ・ブツ退治に有効な、「見える化」手法を軸に、現場で即役立つノウハウを紹介する。悪さ加減が見えるようになると、対策が取りやすくなる。

休憩(5分間)
講演2 「周辺視目視検査法による見逃し削減と検査生産性アップ」
11:05-12:05 社名 : 株式会社 日立グローバルストレージテクノロジーズ
部署 : HDD製造・生産技術統括本部
役職・氏名 : IEプログラムマネージャー 佐々木 章雄
従来の目視検査は「集中力の持続」「よく見る」ことが検査員の資質とされていたが、これを1日中続ける能力は人間にはない。そこで永年培った動作分析法を駆使してベテラン検査員の検査方法を分析し、これを更に、人間の機能にあった方法として開発したのがこの検査方法である。

昼食休憩(55分間)
講演3 「Kawasaki2輪カウリング塗装におけるコストダウン事例紹介」
13:40-14:00 社名 : 川崎重工業株式会社 汎用機カンパニー
部署 :生産技術部 表面処理技術課
役職・氏名 : 主事 南 修介
2輪車は趣味性が高い商品であり、外観部品の意匠性や品質に対するユーザーの目が厳しい。特に樹脂カウリングは、立体的な複雑形状である上、キャンディ色が多く採用されており、塗装難易度が高い部品である。本講演では、09年3月より稼動している新カウリング塗装工場での直行率向上施策及びコストダウン事例を紹介する。

休憩(5分間)
講演4 「コスト削減に向けたIH塗装乾燥新技術の紹介」
14:05-15:05 社名 : 島田理化工業株式会社
部署 : 高周波応用機器部
役職・氏名 : 部長 石間 勉
IH(誘導加熱)は昔から工業加熱分野に広く使われている技術であるが、塗装乾燥用途としては一部に限定されていた。理由は、均一加熱が難しいこと、装置のイニシャルコストが高いことなどがある。今回、低コスト均一加熱技術と、半導体の進歩によりコンパクト化したIHインバータを紹介する。

休憩(10分間)
講演5 「自動車塗装工程におけるコストダウン取組み 〜インディアナ新工場の事例〜」
15:15-16:15 社名 : ホンダエンジニアリング株式会社
部署 : 車体生産技術部車体設備生産技術BL
役職・氏名 : 技師 多田 映彦
本田技研工業(株)における製造コストダウンについては開発、生産技術、製造部門それぞれの日々の尽力により継続しているが、今回は特に生産技術から見た自動車塗装工程に対する取組みを紹介する。


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