プログラム

平成22年度第3回講演会を終えて
 

 2月4日、平成22年度第3回講演会を「自動車塗装の最新技術動向とStrategy」のテーマで、日本ペイント(品川)において開催しました。
 自動車塗装に携わる方々だけでなく、多くの方面から150名の御参加を頂きました。また、日本塗装技術協会主催講演会では、初めての試みとして、講演会後の交流会を企画しました。交流会参加者も100名を越え、盛況のうちに終えることができました。


講演風景
 講演会に先立ち、セミナー委員会から、講演会のガイダンスがありました。ヨーロッパで開催される自動車塗装技術の国際会議:SURCAR&ベルリン国際会議は、最新技術動向の宝庫です。日本でも常に情報調査が必要であり、グローバルな技術情報交流の機会としても重要です。しかし、日本の自動車塗装技術は、世界トップクラスであるにも関わらず、日本国内で自動車塗装技術の国際会議は、開催されておりません。このような状況より、日本塗装技術協会では、「自動車塗装の最新技術動向のテーマを本格的に取り組む必要があるのでは。」との背景説明がありました。そして、本講演会は、「自動車塗装」に焦点を当て、材料・塗料・塗装設備・海外動向・カラーデザインからの最新技術動向とStrategyの特集であり、「『2015、2020年の自動車塗装は、どうあるべきか?』を会場の皆様で一緒に考えていきましょう。」との説明がありました。

 第1講演は、「自動車塗料の技術動向」のテーマで、関西ペイントの加佐利講師から、自動車塗料の変遷・動向から始まり、CO2削減に対するショ−トプロセス対応の塗料開発をご説明して頂くと共に混乱している業界の用語に対する提言、さらに「塗料開発は、機能開発が最重要であり、そのためには、自動車/設備/材料 各メーカーのコラボレーションが必要である。」と、熱いメッセージが伝わってきました。
 第2講演は、大気社の石田講師から、「自動車塗装設備のCO2削減と最新技術」のテーマで、自動車塗装設備における環境負荷低減(CO2排出量削減)の流れと技術動向と共に設備側からの最新技術提案として、塗装ブース・空調器への「ヒートポンプ技術」の適用と効果について説明して頂きました。
 第3講演は、BASFコーティングスジャパンの柴藤講師から、「自動車塗装の海外動向」のテーマで、海外における法規制、環境対応、省工程、コスト削減等に基づき、各種自動車塗装プロセスならびに塗料タイプの導入状況、動向について、SURCAR、ベルリン国際会議での報告事例を挙げながら、判り易く概説して頂きました。さらに耐擦り傷性などの機能性の付与についても紹介して頂きました。
 第4講演は、「新しいトレンドを生み出せ!100%電気自動車LEAFのカラー戦略と想い」のテーマで、日産自動車の吉冨講師から、「自動車メーカーのカラーは、誰が決めるの?」から、始まり、カラートレンド・デザイン戦略・プロセスと続き、電気自動車LEAF のボディー色アクアブルーの開発・量産の御苦労話しを判り易く説明して頂き、デザイナーのカラー開発に対する熱い思いが伝わってきました。
 最後の第5講演は、トヨタ自動車の石井講師から、「自動車塗装の動向と将来展望」のテーマで、自動車塗料・塗装を取り巻く環境の変化への対応と塗装により自動車の魅力を上げるために何をすべきかについて、材料を中心とした最近の開発事例と将来の開発の方向性を説明して頂き、本講演会の総括をして頂きました。

 各講演は、背景、基本理論、現状説明だけでなく、最新技術情報・最新事例・今後の方向性、さらに今後の業界全体の取組みに対する提言までと、深い内容でした、聴講者も自動車塗装に直接/間接に携わる中堅の方々が半数以上を占め、講演内容に対して深い理解を示され、活発な質疑・応答が行われました。
 

 講演会終了後、会場2階の日本ペイント食堂にて、講演会参加者の交流会を開催しました。当協会において、交流会の開催は、長年の悲願であり、今回、やっと達成することができました。講師を囲んだ名刺交換、質問から始まり、さらに廻りの方々との交流を深めて頂く機会となりました。アンケートでは、「自動車メーカーのカラーデザイナーさんから、直接、お話を聞く機会がなかったので、すごく楽しい時間を過ごせました。」と、好評でした。交流会は呉越同舟の状況であるため、トラブルがあってはと、主催者側は心配しましたが、皆様、大人の対応であり、全く杞憂でした。今後の講演会においても交流会開催を前向きに検討していきたいと思います。


交流会風景

 最後に日本でも「将来の自動車塗装の戦略、方向性」という大きな命題に対して、自動車/設備/材料 各メーカー間で本当に議論する必要があると思います。その一つの手助けとしてこの講演会・交流会を企画しました。今後もディスカッションできる場として、定例化していきたいと考えています。

第3回セミナー実行委員長 光宗真司

主催日本塗装技術協会
協賛日本化学会色材協会日本塗装工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
日本塗料検査協会( 順不同 )

 
期日平成23年 2月 4日(金)
会場日本ペイント株式会社 東京事業所 センタービルAホール
東京都品川区南品川4−1−15

参加者 144名
参加費(消費税込)主催、協賛学協会会員15,750円
学生参加者3,150円
非会員21,000円

プログラム

10:00〜10:10 開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 セミナー委員会
10:10〜11:10 自動車塗料の技術動向
関西ペイント株式会社
自動車塗料本部 第3技術部
部長 加佐利 章
アウトライン :
自動車塗料(特に中・上塗り)に求められる性能、機能は、その時々の世の中の状況に大きく影響をうけている。そこで、従来の材料変遷を振り返りながら、今後の中・上塗り塗料に求められる技術について考察する。

11:10〜12:10 自動車塗装設備のCO2削減と最新技術
株式会社 大氣社
塗装システム事業部 技術企画室
石田 浩三
アウトライン :
自動車塗装設備における環境負荷低減(CO2排出量削減)の流れと技術動向。特に設備側からの最新技術提案として、塗装ブース・空調器への「ヒートポンプ技術」の適用とその効果について説明する。

昼食休憩(60分間)
13:10〜14:10  自動車塗装の海外動向
BASFコーティングスジャパン株式会社
研究開発本部
本部長 柴藤 岸夫
アウトライン :
海外における法規制、環境対応、省工程、コスト削減等に基づき、各種自動車塗装プロセスならびに塗料タイプの導入状況、動向について概説する。また耐擦り傷性などの機能性の付与についても触れる。

14:10〜15:10 新しいトレンドを生み出せ!
100%電気自動車LEAFのカラー戦略と想い
日産自動車株式会社
グローバルデザイン本部 カラーデザイン部
デザインマネージャー 吉冨 京
アウトライン :
1908年に大量生産が始まった自動車産業は、大きな転換期を迎えている。日産自動車は世界にいち早くゼロエミッションカーを大量生産化すべく、100%電気自動車LEAFを市場投入した。LEAFではアクアブルーというボディカラーを新世代カーの象徴色として開発してきたが、その戦略的、且つエモーショナルな開発ストーリーを紹介する。

休憩(15分間)
15:25〜16:25 自動車塗装の動向と将来展望
トヨタ自動車株式会社
車両材料技術部 塗装設計室
グループ長 石井 正彦
アウトライン :
自動車塗料・塗装を取り巻く環境の変化への対応と塗装により自動車の魅力を上げるために何をすべきかについて、材料を中心とした最近の開発事例と将来の開発の方向性を説明する。

16:35〜18:00 交流会  講師、講演会参加者、委員  於:2F 食堂


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