プログラム

<講演会報告>

平成27年度第1回講演会を終えて

 平成27年度第1回講演会は7月17日に日本ペイントホールディングス株式会社東京事業所センタービルAオールに於いて、多くの方々にご参加頂き、開催しました。
 今回は最新の講演会でのアンケートで、ご要請が多かった『ゴミブツ・塗膜欠陥対策』を取り上げました。同講演は過去に何回か取り上げられているテーマで、平成19年度第1回講演会のテーマを受け継ぎPart-2としました。このゴミブツ・塗膜欠陥の問題は、広範囲で発生し、原因は複雑かつ重層的で、塗装現場を携わる関係者の方々には、難解で頭の痛い問題です。
 今回も多岐で様々な切り口・技法の中から、カテゴリーを3つの枠で各々2名の講師に講演を頂きました。1つ目は塗膜欠陥の関係を、東海鋼管(株)坪田実講師より猿団子現象やインスタント味噌汁といった事例を用いて良好な仕上がり肌を得るための表面張力や流動性の説明とこれらの作用による欠陥・対策を、日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株)の泉宮耕二講師より高耐熱絶縁電着塗料の開発でピンホールや局部的薄膜化の欠陥を少なくした制御方法で高絶縁化を図る取組内容の解説がありました。 2つ目はゴミブツ対策の手法として、原田産業(株)の豊田博講師より異物を持ちこまない・排除する方策で静電気対策の観点からイオナイザーの活用事例と効果の内容について実演を交え、東和酵素(株)内山貴識講師より実際の塗装現場でのゴミブツの分析・対策と効果の実例内容の紹介を含めクリーニングの困難な乾燥炉壁面のヤニやコンベアの塗料ミストの汚れ等を簡易なコールドジェッターでの無排水高圧洗浄の内容について動画を用いての紹介がありました。 さらに3つ目はゴミブツの見える化で、関西ペイント(株)の鎌苅剛敏講師より塗装現場診断での調査結果・事例を基にゴミブツ削減のアプローチ手法について、平田技術士事務所の平田政司講師よりお金をかけず安価で簡単なツール(デジタルマイクロスコープ・ダストサンプラー・ネプライザー等)を用いた不良発生メカニズムの見える化と具体的な泥臭い対策事例について解説して頂きました。
 今回は塗料特性の視点から塗装現場でのゴミブツ事例内容や見える化に役立つ計器・器具・装置等の紹介から即現場で活用・役立つ内容を短い時間で解かり易く解説して頂き、多くの聴講者の方より大変充実した解りやすい内容で有意義であり、学んだ内容を実務に生かしていきたいとの評価も頂戴し、少しは頭痛も和らいで頂けた講演と思いました。
 講演終了後は、多くの聴講者の方々が交流会に参加頂き、講師の方々を囲んでの交流も活発に行われました。
 本講演を開催にあたり、講師の方々にはご多用中の中、非常に興味深い、工夫を凝らした内容のご講演を頂きました事を、厚く御礼申し上げます。
 平成27年度第2回講演会は、『機能性塗料・塗装の新展開』と題して、10月23日の開催予定です。将来展望や特色ある機能を有する塗料・塗装の紹介等の内容となっておりますので、多くの方々のご参加をお願い申し上げます。

平成27年度第1回講演会 実行委員長 高橋徹哉

主催日本塗装技術協会  
協賛日本化学会色材協会日本塗装工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
日本塗料検査協会国際工業塗装高度化推進会議(順不同)

 
期日平成27年 7月 17日(金)
会場日本ペイントホールディングス株式会社 東京事業所 センタービルAホール
東京都品川区南品川4−1−15

参加申込者 62名
参加費(消費税込)主催、協賛学協会会員16,200円
非会員21,600円
学生参加者3,240円

プログラム

10:20〜10:30 開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 セミナー委員会
10:30〜11:20 「塗装面の仕上がり欠陥に関与する表面張力や流動性の作用」
東海鋼管株式会社
技術顧問 坪田 実
アウトライン :
良い仕上がり面を得るために必要な物性である表面張力と流動性を取り上げ、これらの作用による欠陥と対策について説明する。また、対流現象を利用したハンマートーン模様の出現を例に、表面張力と流動性の作用を解説する。

休憩(5分間)
11:25〜12:15 「高耐熱絶縁電着塗料における欠陥レスへの取組み」
日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社
技術本部 開発部 係長 泉宮 耕二
アウトライン :
電着塗装は、複雑形状でも均一に緻密な膜を形成できるので古くから使用されているが、近年、塗膜を高耐熱化する事で適応範囲を広げている。欠陥を少なくし高絶縁化をはかる取組みについて紹介する。

昼食休憩(50分間)
13:05〜13:55  「静電気対策による異物低減」
原田産業株式会社
アドバンストツールチーム 豊田 博
アウトライン :
塗装工程における塗膜欠陥やゴミ欠陥の原因となる異物対策の基本原則は、以下の4点です。@異物を持ち込まない。A発生させない。B蓄積させない。C排除する。 方策に関して、静電気対策の観点からご提案させて頂きます。

休憩(5分間)
14:00〜14:50 「ドライアイスブラストによる塗装ラインの洗浄」
東和酵素株式会社 営業技術部
部長 内山 貴識
アウトライン :
ドライアイスブラストを使った、乾燥炉のヤニとり及びオーバーヘッドコンベアーといった通常では洗浄しづらい個所の洗浄方法を紹介する。

休憩(10分間)
15:00〜15:50 「塗装現場のゴミブツ削減アプローチ」
関西ペイント株式会社 R&D本部 CM研究所
課長  鎌苅 剛敏
アウトライン :
塗装現場のゴミブツ削減は、ます現状を知ることから始まる。塗装環境、塗装工程、設備、被塗物という項目に区分けし、それぞれの場所での調査結果事例を基にゴミブツ削減アプローチ手法について紹介する。

休憩(5分間)
15:55〜16:45 「お金をかけずに現場改善!知恵と工夫のゴミブツ対策」
平田技術士事務所
平田 政司
アウトライン :
改善に携われる人や予算が限られている塗装現場で、低予算で実施できるゴミブツ対策について紹介する。安価で簡単なツールを用いた不良発生メカニズムの見える化の方法と、具体的な泥臭い対策事例について解説する。

17:00〜18:00 交流会(名刺交換会)  於:2階 食堂
講師、講演会参加者、セミナー委員(講師の方が都合により参加頂けない場合もあります。)


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