プログラム

<講演会報告>

平成30年度第3回講演会を終えて

平成30年度第3回講演会を「自動車塗装から、塗装のこれからを語る」と題しまして、2月8日に日本ペイントホールディングス株式会社東京事業所センタービルAホールにて実施致しました。
当日は約120名のお客様に御聴講いただくことができ、交流会も含め大変盛況な講演会となりました。講師の方々におかれましては、ご多忙の中執筆・ご講演と多大なるご協力を賜りましたこと、この場を借りまして改めて御礼申し上げます。

昨年は価値創造をテーマとさせていただきましたが、今年はもっと広い視野で塗装技術のこれからを考えていくきっかけにしていきたいと思い、規制やコスト競合への対応、量産に至るための技術開発など、5つのトピックスをまとめて聴いていただくことに致しました。

第1講演は『ベル型静電塗装機における気液二相流解析』と題しまして、九州工業大学 大学院工学研究院 准教授 齋藤 泰洋 講師よりご講演頂きました。モデルの考え方やメカニズムの解析結果等を基に、自らの課題にどう使えるかを考えていただけたかと思います。

第2講演は『シャシ部品用高防錆粉体塗料の開発』と題しまして、日野自動車株式会社 材料開発部 金属材料・防錆塗装室 柴野 赳雄 講師 よりご講演頂きました。
より実践的に明確な目標設定がされ、材料選びからプロセス、実験内容までといった開発の流れをわかりやすく語っていただけました。

第3講演は『自動車塗装の質感定量化技術について』と題しまして、マツダ株式会社 技術研究所 上席研究員 久保田 寛師 講師よりご講演頂きました。
「匠」の眼を共有する光学評価技術の最先端をご紹介いただきました。量産塗装に反映した質感定量化技術の進化と評価指標作成のプロセスは、オンリーワンの価値観を確立したマツダ様ならではの非常に聴きごたえのある内容でした。

第4講演は『欧州塗装技術トレンド及び今後の開発方向性』と題しまして、日産自動車株式会社 エキスパートリーダー 後藤 丈志 講師 よりご講演いただきました。
技術トレンドは今何が開発されていて、さらにどのような方向に向かっているのか、磨かれたロジカルで明確な視点での紹介と高レベルの見解が多くの方々に新鮮な刺激を与えていただきました。

第5講演は『自動車塗装工程の概要と課題への対応容積とCO2排出を大幅に削減する塗装ラインの実用と、今後の自動車塗装の動向』と題しまして、トヨタ自動車株式会社 MS塗装生技部 室長 柴田 浩行 講師 よりご講演いただきました。
環境チャレンジ2050を目標に掲げ、現状の問題点を最新情報としてきめ細かくかつわかりやすく把握している資料に圧倒されました。そして一つ一つできることを積み上げていくことで、この高い目標の達成が夢ではないことがわかりました。
幅広い専門知識を各人が磨き、協力しあうことで乗り越えていく、そんな塗装業界であってほしいと強く願っていきたいと、会場に共感の輪が広がっておりました。

いただいたアンケートからは、「普段の業務では触れることのできない聞きごたえのある内容でした」「今後の業務に対してやる気が出た」「自分たちがどのような技術をどう使うか、さらにどのような技術を開発すべきか、深く考えるきっかけになった」など、ご好評の声を多くいただき安堵いたしました。

新しい元号がスタートする今年は塗装技術協会創立54年目を迎え、新たに一般社団法人としての歩みを始めることになりました。今後もいただいた声を反映しながらより塗装業界全体に有益な企画をして参りたいと思います。

次回の講演会は、2019年度第1回講演会「塗膜高機能化への技術展開 -360°からのチャレンジ-」、アンコール大阪講演会「進歩し続ける塗装技術 〜 今、そしてこれから我々が取り組む改革 〜 」を実施致します。是非参加を検討いただけますと幸いです。
塗装技術協会セミナー委員会一同、皆様の参加をお待ちしております。

平成30年度第3回講演会
実行委員長 若井 宏平

講演会場

主催日本塗装技術協会  
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
日本塗料検査協会高分子学会自動車技術会
材料技術研究協会静電気学会土木学会
日本印刷学会粉体工学会日本金属学会
日本建築学会日本建築仕上学会日本粉体工業技術協会
日本レオロジー学会腐食防食学会日本油化学会
国際工業塗装高度化推進会議

 
期日平成31年 2月 8日(金) 10:20〜16:45
会場日本ペイントホールディングス株式会社 東京事業所 センタービルAホール
東京都品川区南品川4−1−15

参加費日本塗装技術協会 及び協賛学協会 会員16,200円
非会員21,600円
学生参加者3,240円

プログラム

10:20〜10:30 開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 セミナー委員会
10:30〜11:30 「ベル型静電塗装機における気液二相流解析」
九州工業大学 大学院工学研究院
准教授 齋藤 泰洋
概要:
自動車用噴霧塗装では、防錆や美観などの機能を付与するため多岐にわたる塗装が行われている。そのなかでも発色や光沢等の仕上りに影響を与える回転霧化塗装は重要である。本講演では、ベル型静電塗装機のベルカップ表面における自由表面流れを解説し、その数値解析例を紹介する。

11:35〜12:15 「シャシ部品用高防錆粉体塗料の開発」
日野自動車株式会社 材料開発部
金属材料・防錆塗装室 柴野 赳雄
概要:
車両寿命の長期化と凍結防止剤散布量の増加に伴い、トラックシャシ部品においては、防錆性能の更なる向上が求められている。今回、新規にシャシ部品用高防錆粉体塗料を開発したので、その内容について紹介する。

昼食休憩(60分間)
13:15〜14:15  「自動車塗装の質感定量化技術について」
マツダ株式会社 技術研究所
上席研究員 久保田 寛
概要:
自動車塗装の質感定量化技術として、面歪パターン測定やイメージ分光測定による評価/解析技術の概要と具体的な自動車塗装開発への展開事例について紹介する。

14:20〜15:20 「欧州塗装技術トレンド及び今後の開発方向性」
日産自動車株式会社
エキスパートリーダー 後藤 丈志
概要:
Surcar, Automotive circle等の海外技術会議及び各種ベンチマーク情報より得た最新の技術トレンドを共有すると共にそこから考える技術開発の方向性について紹介する。

休憩(15分間)
15:35〜16:45 「自動車塗装工程の概要と課題への対応容積とCO2排出を大幅に削減する塗装ラインの実用と、今後の自動車塗装の動向」
トヨタ自動車株式会社 MS塗装生技部
室長 柴田 浩行
概要:
わずか数十ミクロンの塗膜で美しい外観意匠や高耐候機能を発揮する自動車塗装について、その生産工程の概要を説明すると共に、それを支える生産技術開発の取り組みとその実用化、及び今後の塗装の動向について説明する。

17:00〜18:00 交流会(名刺交換会) 於:2階 食堂 


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