第12回塗装入門講座を終えて
第12回塗装入門講座は新型コロナウィルス禍のため第11回に引き続き2021年10月7日、8日の2日間、オンライン講演方式で開催しました。前回は初めてのオンライン方式のため、講演テーマ数、時間も半分に絞って開催しましたが、参加していただいた皆様から講演時間を延ばしてほしいとの要望が多くいただきましたので、講師の皆様にお願いして従来行ってきた講演テーマ数、講演時間に戻し、特別講演を含めて12講演で実施しました。
今回も引き続きオンライン本部を東京大学生産技術研究所工藤教授にお願いして、研究室の学生の皆様にも応援いただきありがとうございました。講演後の質疑応答(Q&A)も短時間でしたが活発であったと思います。
初日の特別講演は第一回講演からトヨタ自動車株式会社にお願いしていますが、今回はトヨタ自動車株式会社の塗装成形生技部の山田康浩様から“自動車塗装工程の概要と課題”というテーマで自動車ボデー塗装の概要、塗装工程の概要、自動車塗装の課題、さらにアニメーション動画を駆使してわかり易くご講演いただきました。ご講演のおわりに塗装分野の更なる発展に向けて、将来を担う若手エンジニアのみなさんの心に留めておいて欲しい、それは“塗装をもっと論理的に判りやすくアピールすることである”とのご提言をいただきました。
2日目の特別講演は本田技研工業株式会社二輪事業本部の都築正世様から“夢の塗装工場を求めて”というテーマで講演をいただきました。高外観性を追求する中での失敗談、世界一のバイク塗装を目指しての開発研究、そして環境に優しい夢の塗装工場を求めてでは基本に戻って何が必要かという技術課題(TE−100,乾燥レス、CO2削減、代替加飾技術、工程短縮)の提言がありました。
2日間の講演で素材、前処理、塗料(VOC・地球温暖化対策に期待される水性・粉体塗料)、塗装(静電塗装・塗装の無人化)、塗膜特性、工業塗装市場の塗装仕様の現状と将来、環境安全、塗料・塗膜欠陥の原因と対策等を幅広く勉強していただきました。
塗装の目的はお客様が喜んでいただける塗膜を提供することですので、お客様、素材メーカー、塗料メーカー、塗装機器設備メーカー等の皆様との積極的な異業種間交流、情報交換がさらに必要となって来ますので塗装入門講座を単なる講演ではなく気楽に意見交換できる環境づくりを目指して頑張って行きたいと思います。
次回の第13回入門講座は皆様から頂いたご意見、ご要望をもとにさらに進化した講演にして、塗装をもっと身近な学問として共有できる環境づくりに挑戦して行きたいと思います。
以上
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2021・10・25 日本塗装技術協会 塗装入門講座委員会 委員長 旭サナック株式会社 伊藤春揮 |