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 <講座報告> 「第1回塗装入門講座」を終えて

 日本塗装技術協会として初めての「塗装入門講座」が、9月16,17日の2日間にわたって開催されました(会場:日本ペイント株式会社東京事業所)。
 本講座の趣旨を"塗装における確かなこと、本質的なことを塗装分野のプロフェッショナルが分かり易く講義する"と定めました。対象は主に新入社員をはじめとする塗装入門者ですが、彼らを教育する立場にある中堅からベテラン技術者にとっても、今一度足もとを見直し、固め、大きく飛躍する為に役立つ内容としました。
 
 入門講座にふさわしく、通常の講演会とは異なり20代のフレッシュな技術者の姿が目立ちました(約45%)。両日とも会場は110余名の聴講者はじめ、講師の方々、実行委員、スタッフと130余名全員の熱気で溢れました。

講座の構成〜本質と現状・課題を各分野から
 武井昇講師(職業能力開発総合大学校)は「塗装概論」で、複雑な液体の塗料から固体の塗膜まで劇的に性質が変化する塗装の過程を本質的に見極めることの重要性を概説なさいました。
 塗装に先立つ前処理に関しては、自動車ボディー塗装向け金属表面処理技術を例に千原裕史講師(日本ペイント)が目的・作用機構から工程管理までを説明されました。
 塗装機器に関しては、竹下直孝講師(旭サナック)が各種塗装方式の原理を含め今後の動向まで解説され、森田信義講師(アネスト岩田)は霧化塗装における塗面形成の本質的要素について基本的・本質的に詳しくレクチャーくださいました。
 工業ラインの塗装ブースと乾燥炉に関しては冨田浩講師が基礎知識、各設備の機能、システム構成を詳細に述べてくださいました。
 本間健吾講師(トヨタ自動車)は実際の自動車塗装工程の概要と課題について、動画を交え実に分かり易く説明してくださいました。
 一方建築物の塗装に関しては、本橋健司講師(芝浦工業大学)が建築塗装工事の標準仕様からシックハウス対策、高反射率塗料まで幅広く概説されました。
 光宗真司講師(BASFコーティングスジャパン)は塗料・塗装に関わる法規制だけでなく、具体的な作業時の安全対策、環境適合技術についても解説してくださいました。
 田中丈之講師(エー・アンド・デイ)は塗装・塗膜の試験評価に関し、ISO活動報告も含め情熱的に語ってくださいました。
  高林勇講師(関西ペイント)は実際に直面することの多い塗装・塗膜の欠陥について本質的な発生メカニズムと共に対策を実際の塗板を示しながら講義してくれました。

 以上のような充実した講義だけではなく、講師と聴講者、或いは聴講者同志が交流できる場も設けました。講師の先生方を囲んで、名刺交換に質問攻めと大いに盛り上がりました。

 人材教育は最も大切な課題 

 今回受講された皆さんは塗装に関する確かで本質的な知識・考え方・塗装の魅力を学んだだけでなく、本間講師が強調された「塗装をもっと判りやすくし、アピールする」ことの重要性も理解されたものと考えます。各々の職場で今回学んだことをベースに、研鑚を積み重ね、グローバルに通用する技術者として成長し、活躍されることと期待しています。
 聴講者の約80%の方々がアンケートに回答くださいましたが、本講座を評価し継続を望む声が殆どでした。このような、大学、材料・機器メーカー、ユーザーと、各分野のプロフェッショナルが一堂に会した教育の機会をさらに充実したものとし来年以降も継続していきたいと考えています。
 

第1回塗装入門講座
実行委員長 奴間伸茂

プログラム
9月16日(木)

10:15 開会の挨拶    日本塗装技術協会 会長 今井 八郎
10:30〜11:45 塗装概論
職業能力開発総合大学校
専門基礎学科
准教授 武井 昇
アウトライン :
塗装の本質を理解するために必要な基本的知識を概説する。液体の塗料から固体の塗膜まで、塗料は劇的に性質が変化する。この変化に加え、複雑な配合物からなる塗料を用いる塗装には、クレームが付きものである。しかし、常に本質は何か見極める姿勢をもって臨むとき、クレームは魅惑的なヴィーナスに変身する。
11:45〜12:30 自動車ボディー塗装向け・金属表面処理技術入門
日本ペイント株式会社
サーフ事業部 技術部 第一グループ
千原 裕史
アウトライン :
金属表面処理の目的・歴史 及び 現在主流であるリン酸亜鉛処理の脱脂・表面調整・化成 各工程の、目的・機構について、判りやすく説明します。

昼食休憩(45分間)
13:15〜14:45 塗装機器の基礎と今後の動向
旭サナック株式会社
塗装機械事業部 技術開発部
竹下 直孝
アウトライン :
液体塗料や粉体塗料を被塗装物に塗装するための各種塗装機器の原理や特徴の説明と、動画によりいろいろな被塗物の現状の塗装方法について紹介したのち、今後の塗装機器の開発動向や塗装の進むべき道について解説を行う。

14:45〜15:30 塗装ブースと乾燥炉の紹介
株式会社 大気社
塗装システム事業部 設計・開発統括部 設計部 設計課
冨田 浩
アウトライン :
塗装ブースとは、製品を塗装する上で最適な環境を提供する装置であり、乾燥炉とは、塗装された製品の塗膜を乾燥させるための装置です。ここでは、塗装ブースと乾燥炉の基礎知識、機能、システム構成についての基本を紹介します。

休憩 ( 15分間 )
14:45〜15:30 自動車塗装工程の概要と課題
トヨタ自動車株式会社
塗装生技部 塗装計画室
本間 健吾
アウトライン :
わずか数十ミクロンの塗膜で美しい外観意匠や高耐候機能を発揮する自動車塗装について、その生産工程の概要を説明すると共に、生産技術の視点から見た様々な課題や将来を担う若手エンジニアへの期待を語る。

17:15〜18:30 懇  親  会
日本ペイント株式会社 東京事業所
2階食堂
名刺交換程度の懇親会を開催いたします。 

プログラム
9月17日(金)
9:15〜10:45 建築塗装工事の現状と課題
芝浦工業大学
工学部 建築工学科
教授 本橋 健司
アウトライン :
塗装は代表的建築仕上げの一つであり、美観性を付与し、構造躯体を保護している。建築設計者にとっては、多様な塗装仕様の中から、要求、環境条件等にあったものをいかに選択するかが重要であり、施工者にとっては適切な施工管理が重要である。更に、最近は、環境問題への対応が求められている。このような建築塗装の現状と課題について紹介する。
休憩 ( 15分間 )
11:00〜12:15 各種霧化塗装機と霧化塗装における塗面形成の本質的要素
アネスト岩田株式会社
塗装機部工業塗装グループ
森田 信義
アウトライン :
それ以前の刷毛塗りに較べ、塗装の生産性と仕上がり性を飛躍的に向上させた霧化塗装機について、その種類、霧化のメカニズムと特徴、ならびに、エアスプレー塗装をもとに、良好な塗面を形成する本質的要素について説明する。

昼食休憩(45分間)
13:00〜14:00 塗装機器の基礎と今後の動向
BASFコーティングスジャパン株式会社
研究開発本部 塗料研究所
光宗 真司
アウトライン :
1. 塗料を安全に使用するためには
2. 塗料・塗装と環境保護、遵守しなければならない法規制
3. 環境 に優しい(VOC,CO2排出量削減) 塗料・塗装とは

14:00〜15:30 塗装・塗膜の試験評価
株式会社 エー・アンド・デイ
営業本部 販売促進部
田中 丈之
アウトライン :
@塗膜は必ず基材に付着した状態で機能を発揮する材料である。基材との関わりを考慮した試験技術
A塗装によって、塗料は基材に濡れ、付着する。その後、揮発成分が蒸発しながら 乾燥・硬化する。これらの挙動における試験技術
B硬化膜における、物性試験技術
C耐久性試験技術とISOにおける動向

15:30〜16:45 塗装・塗膜の欠陥と対策
関西ペイント株式会社
R&D本部 SD研究所 第2研究部
高林 勇
アウトライン :
塗装時、塗装後に発生する塗膜の欠陥について、実際のパネルを見ながら、そのメカニズムおよび対処方法を簡単に説明する。一種のトラブルシューティングガイドとして参考にしてほしい。

16:45 閉会の挨拶     関西ペイント株式会社  奴間 伸茂


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