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 平成24年度 第3回『塗装入門講座』を終えて

 日本塗装技術協会主催の第3回塗装入門講座が9月13(木)、14日(金)の2日間、日本ペイント株式会社・東京事業所で開催され、54名の参加者があり熱心に聴講、質疑応答をいただきました。また、今回からは講師との交流を深めていただくために自己紹介はパワーポイント画面で講師自身が行うことにし、講演終了後の講師との懇談会をより密になるように設定しました。
第3回『塗装入門講座』 講演風景
 塗装環境規制がより厳しくなる中、また、塗装現場が急速に海外に移行し、グローバル化が進行する中で塗装の役割・使命をもう一度、各自がしっかり勉強しようという目的で開催されました。塗装は素材(被塗物)の美装・保護(耐久性・耐食性)を目的としてきましたが、最近では塗膜に特殊な機能性を与える技術開発(環境に配慮した技術)が進み、お客様が喜んでいただける塗膜を供給することが塗装に関わる技術者の重要な役割ですが、最近ではお客様の塗装ラインにおられた塗料・塗装に関わるプロフェッショナルの技術者が大巾に少なくなった気がします。今回は、塗料、塗装に関する技術講演に加えて、塗装ラインにおけるモノづくりの代表として再び、トヨタ自動車(株)様、また、皆様からご希望がありました住宅への塗装テーマとして(株)ミサワホーム様、さらに"塗装の色と見え方"というテーマで、色彩の専門家からわかり易くご講演いただきました。また、新たに塗料・塗装業界・市場についての情報を知りたいとの要望から、私の方から、日本塗料工業会様が講演、出版された資料情報の中からわかり易く説明させていただきました。
 今回の入門講座の講演テーマ・概要・講師については下記のとおりです。

@入門ガイダンスと塗料・塗装市場の現状について    旭サナック(株)伊藤春揮講師

A塗装概論  (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構  群馬職業訓練支援センター 武井昇講師
 塗料・塗装の基礎知識を勉強して塗膜の素晴らしさを認識していただく

B環境に優しい住宅づくりを目指して       (株)ミサワホーム総合研究所 壁谷英雄講師
 スマートハウス、住宅の省エネ・長寿命化への塗装の役割を学ぶ

C自動車用水性塗料と将来材料展望    日本ペイント(株)自動車塗料事業部技術部 小原浩一講師
 環境に優しい水性塗料を溶剤塗料と比較、将来の塗装系について勉強する

D自動車塗装工程の概要と課題        トヨタ自動車(株)塗装生技部 塗装計画室 稲垣朋子講師
 外観・意匠・高耐候性を重視する自動車塗装ラインの概要と生産技術から見た課題

E塗装・塗膜の欠陥とその対策          関西ペイント (株)高林 勇講師
 塗装時に起こる欠陥をビジュアルに観察、その原因と対策を学ぶ

F塗装機器の基礎と今後の動向         旭サナック(株)竹下直孝講師
 動画で各種塗装機器の原理・特徴、さらなる新しい開発動向を解説する

G霧化塗装と高品質塗面形成について     アネスト岩田(株) 森田信義講師
 霧化(スプレー)塗装による高品質な塗面を得るための技術的観察を紹介

Hコーティング材料の試験評価技術       (株)エー・アンド・ディ  田中丈之講師
 試験における塗料の特殊性・物性・塗膜の物性・耐久性を解説

I塗装と環境・安全                 BASFコーティングスジャパン(株)光宗真司講師
 環境汚染を防止のための法規制、環境に優しい塗料・塗装を紹介

J塗装の色と見え方                小林分散技研 小林敏勝講師
 発色の原理・機構、塗膜の見え方、最近の開発動向を含めて学ぶ

 塗装入門講座の主な対象は、新入社員をはじめとする塗装入門者ですが、新人を教育する立場にある中堅〜ベテラン技術者にとっても、今一度足許を見直し、固め、大きく飛躍するために役立つ講座として、皆様の要望も含め、さらに前進して行きたいと思います。厳しい目を持った塗装ラインの技術者(プロフェッショナル)を育てることによって、世界に真似の出来ない機能性にも優れた塗膜を生み出す若い人材を育てて行きたいと思います。
 一段と激しいグローバル化の波の中で塗装業界はどのようにしてさらなる拡大を目指すかが課題ですが、それには塗装という技術をもっと学問的に考察する若い技術者育成がさらに必要となってくると思いますので、この塗装入門講座が少しでも役立っていただければ幸いです。

以上
第3回『塗装入門講座』 講師との懇談会風景
日本塗装技術協会-
塗装入門講座委員会委員長
旭サナック株式会社 伊藤春揮

プログラム
9月13日(木)

10:00 開会の挨拶     日本塗装技術協会 会長 今井 八郎
10:05〜10:35 No.1 入門講座ガイダンスと 
塗料・塗装市場の現状について 
旭サナック株式会社
伊藤 春揮
アウトライン :
第3回入門講座の内容ご紹介と塗料・塗装市場(日本・世界)の現状、特にグローバル化が進む市場に進出する日本塗料メーカーの現状も紹介したい。
10:35〜11:50 No.2 塗装概論 
―塗装の本質を理解するために― 
独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構
群馬職業訓練支援センター 
武井 昇
アウトライン :
塗装の本質を理解するために必要な基本的知識を概説する。液体の塗料から固体の塗膜まで、塗料は劇的に性質が変化する。この変化に加え、複雑な配合物からなる塗料を用いる塗装には、クレームが付きものである。しかし、常に本質は何か見極める姿勢をもって臨むとき、クレームは魅惑的なヴィーナスに変身する。

昼食休憩(45分間)
12:35〜13:50 No.3 環境に優しい住宅づくりを目指して 
株式会社ミサワホーム総合研究所 
壁谷 英雄
アウトライン :
3.11以降、太陽光発電パネル、HEMS(家庭内エネルギー管理システム)、蓄電池等の環境技術を搭載したスマートハウスが注目され、住宅の省エネと長寿命化が強く求められている。塗料は、快適で長持ちする住まい造りに不可欠な材料であり、塗膜に期待する性能の現状と将来動向について解説する。
休憩 ( 10分間 )
14:00〜15:15 No.4 自動車用水性塗料と将来塗装系 
日本ペイント株式会社
自動車塗料事業本部 技術部 
小原 浩一
アウトライン :
近年、環境保護の観点で水性塗料設計、導入が加速している。従来の溶剤塗料との相違点を中心に、水性塗料の設計の考え方と水性塗料を中心とした将来塗装の展望を説明する。

休憩 ( 15分間 )
15:30〜17:00 No.5 自動車塗装工程の概要と課題
トヨタ自動車株式会社 
塗装生技部 塗装計画室 
稲垣 朋子
アウトライン :
わずか数十ミクロンの塗膜で美しい外観意匠や高耐候機能を発揮する自動車塗装について、その生産工程の概要を説明すると共に、生産技術の視点から見た様々な課題を若手エンジニアの皆さんと一緒に考えたい。

17:10〜18:50 懇  談  会

プログラム
9月14日(金)
9:15〜10:30 No.6 塗装・塗膜の欠陥とその対策
関西ペイント株式会社
高林 勇
アウトライン :
塗装・塗料に従事する者は、塗装に関する欠陥に出会わないということはまずない。これらの欠陥は、塗装方法や塗料の種類,素材,塗装環境等により様々であり、その原因も複雑であることが多い。この講座では、それぞれの欠陥について、実際のパネルを交えながら、その原因と対策方法について解りやすく説明する。
休憩 ( 15分間 )
10:45〜12:00 No.7 塗装機器の基礎と今後の動向
旭サナック株式会社
竹下 直孝
アウトライン :
液体塗料や粉体塗料を被塗装物に塗装するための各種塗装機器の原理や特徴の説明と、動画によりいろいろな被塗装物の現状の塗装方法について紹介したのち、今後の塗装機器の開発動向や塗装の進むべき道について解説を行う。

昼食休憩(45分間)
12:45〜13:45 No.8 霧化塗装と高品質塗面形成について 
アネスト岩田株式会社
森田 信義
アウトライン :
現在、工業塗装で最も多く用いられている霧化塗装の各プロセスの中でどんな現象が起こっているのか、また、高品質な塗面を形成するには何が大切かを、技術的に、分かりやすく説明する。

13:45〜14:45 No.9 塗料・塗膜の実用的試験技術
株式会社 エー・アンド・デイ
田中 丈之
アウトライン :
塗料における試験技術はJIS等規格化されたもの、非常に操作の困難なものなど非常に多くある。
それらの中で基本的で塗料の特性に合致する試験法について次の特性に分けて解説する。
@試験における塗料の特殊性A塗料の物性B塗膜の物性C塗膜の耐久性(耐候性劣化を中心に)

休憩 ( 15分間 )
15:00〜15:45 No.10 塗装と環境、安全 
- 塗料を安全に使用するためには -
BASFコーティングスジャパン株式会社
光宗 真司
アウトライン :
塗料を安全に使用するには、正しい情報を入手し、多くの知識が必要である。塗料・塗装による環境汚染を防止するために遵守しなければならない法規制を説明する。さらに現在の環境に優しい(VOC,CO2排出量を削減する)塗料・塗装について、実例をあげて紹介する。

15:45〜16:45 No.11 塗装の色と見え方 
小林分散技研
小林 敏勝
アウトライン :
塗料には種々の顔料や光輝材が配合され、様々な塗膜の見え方を実現している。発色の原理や機構、光の反射や散乱も含めた塗膜の見え方について、最近の開発動向も含めて、判り易く説明する。

16:45 閉会の挨拶     入門講座委員会副委員長 原川 浩美
16:50〜17:15 講師との名刺交換及びQ&A


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