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平成26年度 第5回塗装入門講座を終えて

 第5回の塗装入門講座は9月11・12日の二日間、日本ペイント株式会社東京事業所センタービルで開催され79名の方が参加されました。今年は昨年、皆様方からいただいたアンケートも参考にして、新しく“粉体塗料の特徴と適用法について”と“長寿命を予測する促進耐候性及び耐食性評価技術”という2テーマを関西ペイント株式会社様とスガ試験機株式会社様にお願いして、講演は11テーマでわかり易い内容であったと思います。また、講演に先立つご挨拶では、本年度から新しく日本塗装技術協会の会長に就任された東京大学生産技術研究所教授・工藤一秋様から塗装入門講座に参加された皆様にかける期待、要望をお話していただきました。

第5回『塗装入門講座』 講演風景

 お客様が喜んでいただける塗膜を形成するためには、お客様の商品設計の時点で素材材質、前処理、塗料、塗装方法、乾燥方法を含めた工程を総合的に考えていかなくてはなりません。私は33年塗料メーカー、17年間を塗装機器メーカーに籍を置いていますが、塗料、塗装機器メーカー間でも優秀な塗膜をどうしたら得られるかをもう一度考える必要があると思います。塗料に合った塗装機開発が従来の考え方ですが、塗装機器(自動化し易い技術)に合った塗料開発も考えていただく事も必要です。いずれにしても塗装工程に含まれる多くの複雑な要因がある中で、もっと多くの技術開発者が共通する基礎知識、学問(理論考察)を持たなくてはなりません。研究開発の中で疑問を生じた時には“何故だろう?”と考えて下さい。一人でわからない時は入門講座でお知り合いになったお仲間も含めて考えましょう。入門講座でわからなかったことをそのままにしないで多くの人と相談できる懇談の場づくりを今後とも考えていきたいと思います。入門講座で得られた知識を職場に持って帰られて、より良い商品の開発に少しでも活用していただければ幸いです。
 ここで、先人達が考えられた塗料の“塗”という漢字を、私はこんなように考えています。“塗”とは地球上で余った水(サンズイ)と土(バインダー)が集合して出来ていることから、元々、塗料とは環境に優しいものであったと思います。塗料中に含まれる保健衛生上注意を要する有機溶剤、塗装時に発生するVOC量の削減、そしてお客様に喜ばれる素晴らしい美観、機能を持った塗膜をいかに創るかが私達、業界の責務であると思います。来年も引き続き、皆様から喜んでいただける第6回の入門講座を開催したいと思いますのでよろしくお願い致します。
以上
 
 
日本塗装技術協会・
塗装入門講座委員会委員長
旭サナック株式会社 伊藤春揮

プログラム
9月11日(木)

10:00 開会の挨拶     日本塗装技術協会 会長
10:05〜10:35 No.1 入門講座ガイダンスと塗料・塗装市場の現状について 
旭サナック株式会社
伊藤 春揮
アウトライン:
第5回入門講座の内容ご紹介と塗料・塗装市場(日本・世界)の現状、特にグローバル化が進む市場に進出する日本の塗料メーカー・自動車メーカー様の現状も含めて紹介したい。
10:35〜11:45 No.2 塗装概論 ―塗装の本質を理解するために― 
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
群馬職業訓練支援センター 
武井 昇
アウトライン:
塗装の本質を理解するために必要な基本的知識を概説する。液体の塗料から固体の塗膜まで、塗料は劇的に性質が変化する。この変化に加え、複雑な配合物からなる塗料を用いる塗装には、クレームが付きものである。しかし、常に本質は何か見極める姿勢をもって臨むとき、クレームは魅惑的なヴィーナスに変身する。
昼食休憩(55分間)
12:40〜13:40 No.3 塗装の色と見え方 
小林分散技研 
小林 敏勝
アウトライン:
塗料には種々の顔料や光輝材が配合され、様々な塗膜の見え方を実現している。発色の原理や機構、光の反射や散乱も含めた塗膜の見え方について、最近の開発動向も含めて、判り易く説明する
休憩 ( 10分間 )
13:50〜15:00 No.4 自動車用水性塗料と将来塗装系 
日本ペイント株式会社
自動車塗料事業本部 技術部 
瀬川 大介
アウトライン:
近年、環境保護の観点で水性塗料設計、導入が加速している。従来の溶剤塗料との相違点を中心に、水性塗料の設計の考え方と水性塗料を中心とした将来塗装の展望を説明する。

休憩 ( 10分間 )
15:10〜16:40 No.5 自動車塗装工程の概要と課題
トヨタ自動車株式会社 
塗装生技部 塗装計画室 
森 輝久
アウトライン:
わずか数十ミクロンの塗膜で美しい外観意匠や高耐候機能を発揮する自動車塗装について、その生産工程の概要を説明すると共に、生産技術の視点から見た様々な課題を若手エンジニアの皆さんと一緒に考えたい。

17:00〜18:50 懇  談  会
日本ペイント株式会社 東京事業所
2階食堂 名刺交換程度の懇談会を開催いたします。
(講師の方が都合により参加頂けない場合もありますので、予めご了承下さい。) 

プログラム
9月12日(金)
9:15〜10:25 No.6 粉体塗料の特徴と適用法について
関西ペイント株式会社 
工業塗料本部
佐川 千明
アウトライン:
粉体塗料は環境対応型塗料の雄と言われて久しいが、その適用に関しては得手、不得手をあわせ持つ。本講では粉体塗料の種類や特徴を基に、適用方法について概説する。
休憩 ( 10分間 )
10:35〜11:45 No.7 塗装・塗膜の欠陥とその対策
関西ペイント株式会社
高林 勇
アウトライン:
塗装・塗料に従事する者は、塗装に関する欠陥に出会わないということはまずない。これらの欠陥は、塗装方法や塗料の種類,素材,塗装環境等により様々であり、その原因も複雑であることが多い。この講座では、それぞれの欠陥について、実際のパネルを交えながら、その原因と対策方法について解りやすく説明する。

昼食休憩(45分間)
12:30〜14:00 No.8 長寿命を予測する促進耐候性および耐食性試験評価技術 
スガ試験機株式会社 
日高・川越工場 製造部
金原 英司
アウトライン:
物は劣化する運命があり、製造者はその寿命を保障する義務がある。寿命予測の道具である促進耐候性および耐食性試験方法について、装置と評価方法を紹介する。

14:00〜14:50 No.9 塗料・塗膜の物性試験
株式会社 エー・アンド・デイ
田中 丈之
アウトライン:
数多くの試験法がある。塗料状態、造膜過程、成膜物性、劣化過程の物性試験を取り上げる。これらの手法比較と原理について解説し、有効性評価を行う。ISOで取り上げられている試験法も取り上げる。

休憩 ( 10分間 )
15:00〜15:45 No.10 塗装と環境、安全 - 塗料を安全に使用するためには -
BASFジャパン株式会社
光宗 真司
アウトライン:
塗料を安全に使用するには、正しい情報を入手し、多くの知識が必要である。塗料・塗装による環境汚染を防止するために遵守しなければならない法規制を説明する。さらに現在の環境に優しい(VOC,CO2排出量を削減する)塗料・塗装について、実例をあげて紹介する。

15:45〜16:55 No.11 塗装機器の基礎と今後の動向 
旭サナック株式会社
加藤 雅宏
アウトライン:
液体塗料や粉体塗料を被塗装物に塗装するための各種塗装機器の原理や特徴の説明と、動画によりいろいろな被塗装物の現状の塗装方法について紹介したのち、今後の塗装機器の開発動向や塗装の進むべき道について解説を行う。

16:55 閉会の挨拶     入門講座委員会
17:00〜17:20 講師との名刺交換及びQ&A


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