10日(木)プログラムへ 11日(金)プログラムへ

平成27年度・第6回塗装入門講座を終えて

 第6回の塗装入門講座は9月10・11日の二日間、日本ペイントホールデイングス株式会社東京事業所センタービルAホールで開催され70名の方が参加されました。今年は昨年に引き続き、皆様方からいただいたアンケートも参考にして、新しく素材への前処理“塗装前処理用の表面処理技術動向について”と今後、東京オリンピックを迎えて需要が大きく伸びると期待される重防食塗装“構造物用の重防食塗装について”という2テーマを日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社様と(一社)日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会様にお願いして12講演とした結果、今回の入門講座では新しく勉強を始める人達に混じって塗装のベテラン技術者の参加が目立ちました。講演に先立つご挨拶では、昨年度に引き続き日本塗装技術協会の会長・東京大学生産技術研究所教授・工藤一秋様から塗装入門講座に参加された皆様に塗料塗装技術の重要性と幅広い技術開発を期待するとのお言葉をいただきました。

第6回『塗装入門講座』 講演風景

 お客様が喜んでいただける塗膜を形成するためには、お客様の商品設計の時点で素材材質、前処理、塗料、塗装方法、乾燥方法、さらに塗装しやすい形状を含めた工程を総合的に考えていかなくてはなりません。最近、数件の工業塗装ラインのお客様を訪問させていただく機会があり塗装現場を、ゆっくりと見させていただく中で、塗装の先端技術をいく素材・前処理剤・塗料・塗装機器を採用すれば誰でも優れた塗膜が簡単に出来ると思っているのではないのかと感じたことがありました。次々に新しく開発される材料(素材・前処理剤)・塗装設備・機器(ロボット等)を導入された塗装現場にライン管理に必要な情報が塗装管理者に正確に伝わっていないのではとの疑問を感じました。塗装現場で起こるクレームはどんな素晴らしい素材・前処理・塗料・塗装機器・乾燥機器があっても防止できません。入門講座の講演だけではなく10日夕方に開催された懇談会(フリーデイスカッション)では多くの講師、講演会に参加された異業種の方から多くの情報が得られたと思いますので、職場に持って帰られ、より良い商品の開発に少しでも活用していただければ幸いです。
 今回の入門講座での反省ですが、皆様のアンケートを含め、より多くの講演テーマを欲張って取り入れたため講演時間が短くなり、質疑応答の時間も少なくなってしまいました。来年は、さらに皆様から喜ばれる第7回塗装入門講座を企画、開催して行きたいと思いますのでよろしくお願い致します。
以上
 
日本塗装技術協会・
塗装入門講座委員会委員長
旭サナック株式会社 伊藤春揮

プログラム
9月10日(木)

10:00 開会の挨拶     日本塗装技術協会会長 工藤一秋
10:05〜10:50 No.1 地球環境問題対応とグローバル化
著しい塗料・塗装市場について 
旭サナック(株)
伊藤 春揮
アウトライン:
塗料・塗装と地球環境問題(VOC規制・地球温暖化対策)との関わりをもう一度勉強していきたい。さらに、グローバル化の著しい塗料・自動車市場の現状についても説明したい。
10:50〜11:50 No.2 塗料・塗装概論
―塗装の本質を理解するために―
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
群馬支部 ポリテクセンター群馬 
武井 昇
アウトライン:
塗料及び塗装の本質を理解するために必要な基本的知識を概説する。液体の塗料から固体の塗膜まで、塗料は劇的に性質が変化する。この変化に加え、複雑な配合物からなる塗料を用いる塗装には、クレームが付きものである。しかし、常に本質は何か見極める姿勢をもって臨むとき、クレームは魅惑的なヴィーナスに変身する。
昼食休憩(55分間)
12:45〜13:45 No.3 塗装前処理用の表面処理技術動向について 
日本ペイント・サーフケミカルズ(株)
技術本部 技術部 
平澤 秀公
アウトライン:
近年、環境配慮と経済性の観点より、次世代化成処理剤の開発と市場導入が進んでいる。現行のリン酸亜鉛処理剤との相違点を中心に、次世代化成処理剤の特徴や防錆機構を解説し将来の塗装前処理用の表面処理技術の展望を説明する。
13:45〜14:45 No.4 自動車用水性塗料と将来塗装系 
日本ペイント・オートモーティブコーティングス(株) 開発部 
稲垣 聡司
アウトライン:
近年、環境保護の観点で水性塗料設計、導入が加速している。従来の溶剤塗料との相違点を中心に、水性塗料の設計の考え方と水性塗料を中心とした将来塗装の展望を説明する。

休憩 ( 15分間 )
15:00〜16:30 No.5 自動車塗装工程の概要と課題
トヨタ自動車(株) 
塗装生技部 塗装計画室 
柴田 浩行
アウトライン:
わずか数十ミクロンの塗膜で美しい外観意匠や高耐候性機能を発揮する自動車塗装について、その生産工程の概要を説明すると共に、生産技術の視点から見た様々な課題を若手エンジニアの皆さんと一緒に考えたい。

16:45〜18:30 懇  談  会
講演会会場2階食堂にて
講師、講演会参加者による名刺交換程度の懇談会を開催いたします。
(講師の方が都合により参加いただけない場合もありますので、あらかじめご了承ください。) 

プログラム
9月11日(金)
9:15〜10:15 No.6 粉体塗料の特徴と適用法について
関西ペイント(株) 
工業塗料本部
佐川 千明
アウトライン:
粉体塗料は環境対応型塗料の雄と言われて久しいが、その適用に関しては得手不得手をあわせ持つ。 本講では粉体塗料の種類や特徴を基に、適用方法について概説する。
10:15〜11:15 No.7 構造物用の重防食塗装について
(一社)日本橋梁・鋼構造物
塗装技術協会
中野 正
アウトライン:
橋梁、タンク、港湾施設等の大型構造物に適用されている重防食塗装の設計の考え方と使用塗料および塗装の現状と課題について説明する。

休憩 ( 10分間 )
11:25〜12:25 No.8 塗装機器の概要と今後の課題 
旭サナック(株) 塗装機械事業部 
技術開発部
加藤 雅宏
アウトライン:
各種の塗装機器・システムの特長や夫々の現場でどのように使用されているかを動画を用いて紹介するとともに塗装機器の発展の歴史や環境問題がクローズアップされる中での今後の課題について概説する

昼食休憩(50分間)
13:15〜14:15 No.9 塗装・塗膜の欠陥とその対策
関西ペイント(株)
グローバル調達本部
高林 勇
アウトライン:
塗装・塗料に従事する者は、塗装に関する欠陥に出会わないということはまずない。これらの欠陥は、塗装方法や塗料の種類,素材,塗装環境等により様々であり、その原因も複雑であることが多い。この講座では、それぞれの欠陥について、実際のパネルを交えながら、その原因と対策方法について解りやすく説明する。

14:15〜15:15 No.10 塗料塗膜の物性試験法
 (株)エー・アンド・デイ
田中 丈之
アウトライン:
塗装塗料の・塗膜の一般的な物性と粘弾性の実用的な試験技術,および耐候性試験と早期劣化の評価技術について講演する。

休憩 ( 10分間 )
15:25〜16:10 No.11 塗装と環境、安全
−塗料を安全に使用するためには− 
BASFジャパン(株)
コーティングス事業部
光宗 真司
アウトライン:
塗料を安全に使用するには、正しい情報を入手し、多くの知識が必要である。塗料・塗装による環境汚染を防止するために遵守しなければならない法規制を説明する。さらに現在の環境に優しい(VOC,CO2排出量を削減する)塗料・塗装について、実例をあげて紹介する。

16:10〜17:10 No.12 塗料用顔料と色彩設計 
塗料塗装技術研究所
日本塗料工業会アドバイザー
前関西ペイント(株)  奴間 伸茂
アウトライン:
塗料には種々の顔料や光輝材が配合され、社会インフラから身の回りの品々まで美しく彩っている。発色の原理や機構、光の反射や散乱も含めた塗料用顔料の初歩から色彩設計まで、最近の開発動向も含めて、判り易く説明する。

17:10〜17:15 閉会の挨拶     入門講座委員会
17:15〜17:35 講師との名刺交換及びQ&A


Copyright(C); 2006, Japan Coating Technology Association. All Rights Reserved.