要旨
第1回 プロフェッショナルセミナー開催報告
テーマ:「塗料・塗膜の性質に及ぼす顔料分散の影響」
令和2年11月6日、第1回プロフェッショナルセミナーは、日本塗装技術協会にとって初めてのオンライン方式によって開催された。以下、聴講者の「生の声」を元に報告する。
■嬉しい予想外の結果
顔料分散技術のオーソリティである小林敏勝氏を講師にお招きし、じっくりと時間を掛けてお話しいただき、質疑応答の時間、双方向のディスカッションの時間を十分に確保するために、当初、聴講者は30名程度の規模で開催することを考えていた。したがって、日本塗装技術協会の会員限定で募集を行った。しかしながら、会員以外の多くの方々から、「素晴らしい内容です。非会員にも是非参加させていただきたい。」との強い要望が多数寄せられた。より多くの方々に協会の活動を知っていただき、会員になっていただくためにも、非会員まで参加の枠を広げることにした。その結果、60名ほどの参加者を得て開催することになった。
今回は、コロナ禍により会場での開催を断念しオンライン開催とした。協会にとって初めての開催であり、事務局長を先頭に念入りに準備を進めたが、開催直前まで不安であった。しかし、参加者からは、「音声の聞き取りや画面表示も問題がなかった。」、「出張の必要がなく非常にありがたかった。」、「今後もWEB開催にして欲しい。」という声を多数いただいた。
■期待通りの反響
講師への質問はチャット機能を使って行われた。講演中、あるいは休憩時間中であっても書き込み可能である。何と40件以上の質問が寄せられた。「Q&Aの時間を1時間以上確保していただいたので心置きなく質問させていただいた。」、「会場開催ですと気後れし質問を控えてしまうのですが安心して質問できた。」、「小林先生は一問一問丁寧に答えてくださった。理解が深まった。」という声が多く、WEB開催でもface-to-face的な質疑応答、議論は可能であると意を強くした。
■今後も開催したい!
「この道の達人である小林先生のお話は非常に分かり易く、話すテンポも絶妙であっという間の4時間でした。」、「本当のプロフェッショナルに長年の疑問を尋ね、納得行く回答が得られ満足。」というような声が多数寄せられた。また、続編を望む声も寄せられた。
さらに、Q&Aの進め方、今後取り上げてほしいテーマなど貴重なご意見も多数寄せられた。プロフェッショナルセミナー実行委員会としては大変心強く、今後毎年、出来れば年に複数回開催していきたいと考えている。
プロフェッショナルセミナー実行委員長 奴間 伸茂(塗料塗装技術研究所)
左側:講師 小林 敏勝 氏、右側:ファシリテーター 奴間 実行委員長 |
主催 | 日本塗装技術協会 | | |
協賛 | 日本化学会 | 色材協会 | 日本塗装工業会 |
| 日本塗装工業会 | 表面技術協会 | 日本塗装機械工業会 |
| 高分子学会 | 日本工業塗装協同組合連合会 | 日本自動車車体工業会 |
| 日本防錆技術協会 | 材料技術研究協会 | 日本レオロジー学会 |
| 日本印刷学会/td> | 日本建築仕上学会 | 日本塗料検査協会 |
| 日本油化学会 | 腐食防食学会 | 自動車技術会 |
| 静電気学会 | 粉体工学会 | 日本粉体工業技術協会 |
| 国際工業塗装高度化推進会議 | | |
期日 | 2020年11月 6日(金) 午後1時〜午後4時45分 |
会場 | オンライン開催 |
参加資格・参加費 | 日本塗装技術協会会員 | 15,000円 |
要旨 |
塗料製造工程における顔料分散工程は塗料ビヒクル中で顔料粒子を所望の粒子径に微粒化する工程である。微粒化の程度は、塗料の光沢値や隠ぺい力、着色力などの光学的性質の支配要因である。また、せっかく微粒化しても、粒子の分散安定化が不十分であると、粒子間のフロキュレーションによる流動性の低下や、凝集体(ブツ)の発生などの不具合現象を生じる。
今回は、顔料分散過程をミクロな視点で解説するとともに、塗料・塗膜の光学的性質や流動性と、顔料の分散状態との関係について説明する。
さらに、塗料の水性化が進行しているが、溶剤を水に変更することについて、顔料分散(の配合設計)の立場から、注意するべき事柄について考えてみたい。
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1. 塗料製造工程における顔料分散 |
@塗料製造工程の概要
A顔料分散は顔料凝集体の解凝集であり、顔料粒子の破砕ではない。
B分散安定化のメカニズムと分散剤の役割
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2. 顔料の分散状態と塗料・塗膜の性質 |
@光学的性質
‥隠ぺい力、表面光沢値、漆黒性、着色力、ヘイズ
A流動性
‥そもそも粘度とは、フロキュレーションと擬塑性流動、ダイラタント流動
B不具合現象のメカニズムと対策
‥色分かれ、色浮き、沈降、離漿、沈降、希釈ショック
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3. 塗料の水性化と顔料分散 |
@溶剤としての水の特異性と顔料分散設計における留意事項
A水性塗料用顔料
B水性顔料分散における分散安定化のメカニズムは有機溶剤系と異なる
‥疎水性相互作用による高分子吸着、無機顔料の分散安定性
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