この度は、 塗料・塗装研究発表会優秀賞という栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。選考委員の皆様をはじめ塗装技術協会の皆様には、厚く御礼申し上げます。 　今回発表したシラン系ネットワークポリマーを用いた熱硬化樹脂は、熱硬化塗料における市場ニーズから開発をスタートした樹脂で、熱硬化プロセスでUVハードコート並みの耐久性を有する塗膜を作ること、更に従来の熱硬化プロセスよりも低温・短時間でそれを達成できることというチャレンジングなテーマを達成できた弊社でも期待している新規な硬化機構を有する樹脂でございます。目標として当初たてた物性は達成できた一方で、まだ認知活動にまで手を広げられていない状況でございましたので、本発表会において多くの方にご紹介させて頂けたことを非常に嬉しく存じております。

　実用化には作業性等、まだ課題が残っておりますが、今回の受賞を励みとし、熱硬化塗料の常識を塗り替えられるような商品に仕上げられるよう努めてまいります。最後になりましたが、本発表にあたり多大なる尽力とご協力を頂いた関係者の皆様には深く感謝いたします。誠にありがとうございました。

株式会社カネカ

深海 洋樹

この度は、塗装工学編集委員長賞という、栄誉ある賞をいだきまして誠にありがとうございます。協会関係者の方々に厚く御礼申し上げます。 　本原稿は、私共の研究成果について、「ミリ波・5G・Beyond 5G用高性能電磁波吸収薄膜の開発」と題しまして、紹介させていただいたものです。ミリ波といいますのは、30~300 GHzの周波数の高い周波数の電磁波でして、いわゆる5 GやBeyond 5Gといわれる次世代、次々世代の高速無線通信用の電磁波として期待されているものです。

我々は、化学的合成によって「イプシロン酸化鉄」という新しい磁性材料を見出したのですが、さらにイプシロン酸化鉄が「ミリ波」領域に電磁波吸収を示すことを観測しまして、これを社会に活かせないかということで、研究を行ってまいりました。
　研究を始めた当初は、周波数が高すぎるといわれていたのですが、共同研究者と協力して、ミリ波吸収シートやインクを開発して参りました。本原稿では、その研究成果を紹介させていただいた次第です。その内容を高く評価していただきましたこと、たいへんうれしく感じております。社会的にもミリ波の実装が進み、周波数もミートするに至りまして、いよいよこれからだと感じております。本受賞を励みに、ミリ波ノイズを低減し、安全・安心な社会に貢献できるような、ミリ波吸収体の開発を続けていく所存です。
　最後になりましたが、日本塗装技術協会と関係者の皆様のますますのご発展を祈念して御礼の言葉とさせていただきます.

東京大学大学院

大越 慎一

この度は「塗装工学編集委員長賞」という大変栄誉ある賞をお授け頂き，誠にありがとうございます。協会関係者の方々に心よりお礼申し上げます。 　大学院生（博士課程後期）の頃，ひょんな失敗から偶然に生まれたハスの葉のように水をはじく超撥水性材料がきっかけとなり“ぬれ”と“バイオミメティクス（生物模倣技術）”に興味を持つようになりました。それ以来，早いものでかれこれ25年近くの月日が経ちました。ハスの葉の超撥水性模倣はバイオミメティクスの代表的な研究事例としてとりわけ注目されており，未だに毎年800報以上の論文が発表されている盛況ぶりです。しかし，生物のように自ら傷を修復し，ぬれ性を回復させる自己修復技術が確立されていないため，超撥水性材料の多くは耐久性を必要としない使い捨て用途としての利用が主流です。

　今回，塗装工学誌に紹介させて頂いた超撥水性材料は，表面に物理的/化学的なダメージを与えても，材料内部にあらかじめ導入しておいた補修物質により微細構造や表面組成が自発的に再構築され超撥水性が回復します。現在，3ヶ月程度ですが生物なみに自己修復機能が持続することを確認しています。最初の論文発表（1997年）から25年がかかりましたが，ほんの少しだけ生物の仕組みを人工的に模倣できたような気がしています。残された研究者人生も残りわずか。悔いを残さないよう，今回の受賞を励みとし，これまで以上に研究活動に邁進していく所存です。
　最後になりましたが，本協会と関係者の皆様のますますのご発展を祈念して御礼の言葉とさせていただきます。この度は誠にありがとうございました。

（国研）産業技術総合研究所

穂積 篤

この度は、研究発表優秀賞という栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。選考委員の皆様をはじめ、塗装技術協会の皆様には、厚く御礼申し上げます。 　本発表の「リチウムイオン電池用導電助剤ペーストへの分散技術の応用」では、計算科学を用いた解析により分散剤の吸着メカニズムを明らかにすることで、塗料の要素技術の一つである分散技術を、リチウムイオン電池の製造プロセスという塗料以外の分野へ展開しました。塗料には分散技術だけでなく、他にも多くの要素技術がありますので、他の分野における様々な課題に対して、その状況におけるメカニズムをよく理解することで、塗料技術に立脚した、これまでにないソリューションを提案できる可能性があると思っています。 　今回の受賞を励みとし、今後も技術の根本であるメカニズムの理解をさらに深めるとともに、特にカーボンニュートラルの動きにつながる領域に積極的に展開し、塗料・塗装技術の発展に少しでも貢献できるよう努めてまいります。

　最後になりましたが、本研究に多大なるご尽力とご協力をいただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。誠にありがとうございました。

関西ペイント株式会社

塚本 敦史

この度は日本塗装技術協会、特別賞という素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。 　既に、3年前に現役を退いておりますが、今回いただきました賞は、これまで行ってきた仕事を改めて振り返る貴重な機会となりました。これまでの長い年月の間に多くの方々との出会いがあり、多くのご支援、ご協力をいただきながら、塗装、表面処理に関係する方々の交流、そして技術力の向上や問題解決を図るために、いろいろ活動をしてきたことを、ご評価いただき、感謝しているところでございます。

　10年も前になりますが、東北大震災の翌年に、日本塗装技術協会様のご支援をいただき、東北復興支援セミナーを岩手県盛岡市で開催することができました。武井先生を始め多くの講師の方々を派遣いただき、被災した企業様を含め、100名を超える参加者で盛り上がったことを記憶しております。このセミナーを機会に、岩手県をはじめとし、東北地方の塗装業界の人的な交流や情報交換等の活発な活動を図ることができ、塗装業界のレベルアップに繋げることができたと思っております。この場をお借りしまして、改めまして、日本塗装技術協会様のご支援に対し、厚く御礼申し上げます。また、これまでの活動に一人の研究者として関われたこと、そして多くの方々と交流できたことは、ひとえに皆様方のご理解とご協力の賜物と深く感謝申し上げます。
　この2年間は、コロナ渦ということもあり、なかなか活動することができませんでしたが、この受賞を励みに、これまで培ってきた知識や技術を生かし、今後も皆様方に少しでも恩返し出来るよう、また、少しでもお役に立てるよう、頑張ってまいりたいと思っております。
　最後になりましたが、日本塗装技術協会様、塗料・塗装業界の皆様の、ますますのご発展を祈念して御礼の言葉とさせていただきます。

元（地独）岩手県工業技術センター

穴沢 靖

この度は、日本塗装技術協会論文賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に感じております。 　今回の受賞対象となった論文「メタリック塗装における色ムラ計測法」は 、自動車外装塗装の色ムラを定量評価するための技術開発に関するものです。色ムラは塗装面の外観を損ねる欠陥の一つであり、品質の管理が求められています。従来の計測器では、塗装面への接触を必要とする、非接触であっても曲面の計測が困難であるなどの課題が存在しました。そこで我々は、上記課題を解決するための新規計測手法を提案し、さらにムラ成分のみを抽出することで塗装面の形状によらず定量化可能な評価モデルを構築しました。その結果、目視での主観評価実験のスコアと非常に相関が高い色ムラ計測法を開発することができました。本成果が塗装評価に携わる皆様の一助となれば幸いです。

　最後になりましたが、本研究に多大なるご尽力とご協力をいただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。誠にありがとうございました。

株式会社リコー　デジタル戦略部　デジタル技術開発センター

後藤 隆之

曽根 拓郎

この度は、塗装工学編集委員長賞という栄誉ある賞をいだきまして誠にありがとうございます。協会関係者の方々に厚く御礼申し上げます。 　今回の論文で紹介した本州四国連絡橋は、国民のかけがえのない財産であり、私どもは管理を託された会社として200年以上の長期にわたり利用される橋をめざし、維持管理を行っています。橋は大半が鋼部材で作られているため、その防錆手段は塗装が中心で有り、必要不可欠なものとなっています。本州四国連絡橋の塗装は、建設時より当時の最も優れた耐久性を持つ塗料を用い、また維持管理段階に入っても、高耐久性ふっ素樹脂塗料や省工程型ふっ素樹脂塗料を塗料メーカーと共同して開発し、規格化するとともに、現地で施工してきました。施工した塗装については、経年変化についての調査を継続的に行っており、情報提供しているところです。 　これからも、塗料メーカーをはじめとする関係者に協力して新たな塗料および効率的な施工法の開発に取り組み、もって塗装技術の発展に貢献できればと存じます。

最後になりましたが、塗装技術協会と関係者の皆様のますますのご発展を祈念して御礼の言葉とさせていただきます

このたびは　日本塗装技術協会協会賞（編集委員長）をお贈り下さり心よりお礼申しあげます。受賞研究は、低分子量のアゾベンゼン化合物が金色光沢液晶を形成するというもので、この研究を発表した2010年代初めは、極めて認知度が低く、論文の投稿先の学会から、審査できない旨の返事が多かったことを記憶しています。 　それ以降、私自身は考えを改め、ニッチな研究ゆえに理解していただける人が少ないのだと考えるようになっておりました。誇張して申し上げれば、面白くない研究であるために取り上げていただけないのだろうと肩を落とす時期もありました。 　今回、賞をいただいたことで、当該研究も漸く少しずつですが、ニッチな世界から社会での利活用に向けて歩んでよいとの励ましをもらったような気がしております。当該研究を応用するには、まだニッチと応用との間の深いキャズムを渡る必要がありますが、今回の受賞を機に、気分を新たに研究に邁進して参りたいと存じます。

　今回の授賞に関わってくださった、すべての皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

東京理科大学

近藤 行成

この度は、研究発表優秀賞という大変栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。選考委員の皆様をはじめ協会関係者、ご推薦いただいた皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。 　今回着目致しました密着性は、重要な塗膜物性の一つです。しかし、現行の定量化手法はいずれも課題があるため、定性的な評価法である碁盤目試験が主流となっております。そこで新たな密着性の定量化法を開発し、本発表「DCB（Double Cantilever Beam）法による定量評価手法の検討」にて報告いたしました。DCB法は、碁盤目試験では難しい細かな差異の定量評価、再現性の良いデータの取得並びに剥離部位の特定が可能となります。まだ解決すべき課題はございますが、我々が得た知見が少しでも密着性評価にお役にたてれば幸いに存じます。

　今後は今回の受賞を励みとし、日々の技術開発を通じて、塗料・塗装技術の発展に少しでも貢献できるよう努めてまいります。最後になりましたが、本発表にあたり多大なるご尽力とご協力を頂いた関係者の皆様には深く感謝いたします。誠にありがとうございました。

日産自動車株式会社

本橋 侑子

この度は日本塗装技術協会賞 技術賞という大変名誉な賞を頂くことができ、誠に光栄に存じます。選考委員の皆様をはじめ、ご推薦いただいた皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。また、本開発の推進に当たり、実務設計を担当し、実用化に結びつけた弊社技術の加藤瑞樹氏に感謝の意を表します。 　今回ご評価頂いた「塗装ロボットティーチングシステム」は、自由度の高い多関節ロボットのティーチングを簡易な方法で実現する一つの手段ですが、この方式の普及により今までロボット導入に踏み切れなかった塗装現場の自動化への突破口を開くものとなることを願っております。

　今回の受賞を励みに、今後も塗装技術の発展に微力ながらお役に立てるよう新技術の開発に取り組んでまいります。今回は誠にありがとうございました。

旭サナック株式会社　塗装機械事業部　技術開発部

加藤 雅宏

この度は日本塗装技術協会賞特別賞を頂戴し大変栄誉に感じております。 　「塗料における顔料分散技術の向上・普及への貢献」ということで頂戴した訳ですが、この受賞は、顔料分散技術に携われた多くの先人や、共に取り組んだ日本ペイントの技術者諸氏、並びに、時には競い・切磋琢磨させていただいた塗料産業やインク産業の技術者諸氏を代表しての受賞と思っております。 　改めて、思い起こしてみると、私が入社した1980年当時の自動車塗装は有機溶剤型の低固形分塗料が全盛でありました。爾来、大気汚染防止法の制定等、塗装から排出されるVOCの削減が必要となり、自動車用塗料は高固形分化、水性化と変遷し、バインダーシステムや溶剤組成がダイナミックに変化しました。また、ブロック型の高分子顔料分散剤が出現したのも1980年代です。 　顔料分散技術もこれらの変化に合わせて、新しい概念や材料を導入しながら進化した訳ですが、この時期に一人の技術者として関われたのは、私にとって幸運であり、大きな財産と感じています。

　この度の受賞は、第1回プロフェッショナルセミナーへの貢献も考慮していただいたとのことですが、今後も、微力ながら顔料分散技術を中心として皆様のお役に立てればと念じております。末尾となりましたが、日本塗装技術協会と関係者の皆様の、ますますのご発展を祈念して御礼の言葉とさせていただきます。

小林分散技研代表、東京理科大学理工学部客員教授

小林 敏勝

この度は論文賞という名誉ある賞を与えて頂き、そして本研究を紹介させて頂くことができ、感謝しています。ありがとうございます。 　石の粉である無機顔料粒子は剛体であり、変形できない。この粒子をポリマー相に分散させることで、色彩を有する塗料になって居ます。両者には無機物-有機物という界面が存在しており、この界面の相互作用を向上させることが顔料効果の研究でした。私は古くから顔料がどれだけ樹脂を吸着するかを実験し、吸着量と相互作用は比例するという考えでした。吸着すると、吸着点が架橋ポイントになって硬化した塗膜は丈夫になったり、付着性が向上します。ココまで分かって来た段階で、何とか顔料表面で架橋するサイトをあらかじめ設計出来ないかと考えていました。この頃に、CVD法という画期的な表面改質技術を開発された共同研究者の福井さんと出会いました。彼は顔料を1ヶずつみかんのネットのような網状ポリマーで被覆し、さらにこの上に各種官能基を植え付けることを発明していました。私は福井さんと話をして、チタン白に反応性の高いエポキシ基を植え付ける事を依頼しました。

ココではＧ粒子と呼びます。典型的な塗料用樹脂で実験を進めるうちで、本論文のアクリル樹脂とメラミン樹脂の組み合わせが顔料表面と樹脂が一番顕著に反応することが判りました。Ｇ粒子の顔料分散性はとても良好で、焼付け前には高光沢を示しますが、焼き付けると光沢が一気に落ちてしまいました。これは顔料と樹脂が化学反応をする為です。塗膜構造をSEMで観察すると、Ｇ粒子を密に取り込んで構造体を作っている部分と、樹脂だけからなる部分との相分離構造になっていることが分かりました。非常に面白いことは、Ｇ粒子の構造体部分は樹脂の反応基を沢山含んでいるので、焼付け温度を上げると橋かけ反応がどんどん進行します。一方、樹脂相部分は低温で焼き付けると、その段階で橋かけ反応が止まってしまいます。両相が上手くバランスして、丈夫な塗膜になっています。 Ｇ粒子の集合した構造体部分は特徴的な塗膜物性を与えます。それは、膨張・収縮を起こさせない塗膜を形成する事です。 　本論文で明らかになった事は、剛体粒子がポリマーとの橋かけ点になった場合、硬化速度が速まると同時に、相分離構造を有する塗膜になることです。粒子が造る構造体は塗膜の膨張・収縮を抑制する役目をします。低温焼付けを行いたいとか、熱応力を低下させたいという目的があれば、この発想は有効です。熱応力を発生させたくない宇宙船のコーティング材料や半導体の封鎖材料に利用できれば良いなと思います。

この度、一般社団法人日本塗装技術協会の協会賞表彰（編集委員長賞）を受け謝意を表します。受賞対象は、塗装工学誌 54巻7号から第55巻12号に発表した「微粒子の機能構築と界面制御の技術に関する連載記事　計16報」です。対象記事が多いことを説明したいと思います。 　実は、執筆の発端は、平成30年度第2回講演会「微粒子・粉体の塗装技術最先端を学んで次世代への展開を考えよう ?」(主催：日本塗装技術協会、2018年10月5日）のなかで、「特別講演：微粒子の機能構築と界面制御技術」を講演したからです。 　丁度、工藤一秋会長も出席されており、講演を受講いただきました。その後、編集委員会から執筆依頼をいただきましたが、編集委員長兼務の工藤先生より複数回以上の記事執筆を期待されましたので、連載１７報：最終回は2021年2月（56巻2号）になりました。 　連載記事のタイトルは、�@微粒子の機能構築と界面制御の技術、�A機能性付与微粒子膜と界面制御の技術、�Bコロイド化学からみた微粒子の配列設計、�C表面処理技術と界面制御の技術、�D微粒子の機能的配列と界面制御の技術、�E微粒子の高機能化のための粉体混合技術（２回記事）、�F微粒子の高機能化のための粉体加工技術（１０回記事）＊全１７回記事

　以上、編集委員長賞受賞（多数回、連載記事）の経緯を説明し、受賞のお礼の言葉といたします。有難うございました。

東京理科大学

小石 眞純

この度は、塗装工学編集委員長賞という栄誉ある賞をいだきまして誠にありがとうございます。協会関係者の方々に厚く御礼申し上げます。 　まず、今回の賞の対象である「用途に適した濡れ性評価方法の選択とその発現機構　�T・�U報」について説明します。筆者は1991年にダイキン工業　化学事業部に入社以来、一貫して表面機能材の開発に携わっておりました。当時、この業界では、濡れ性の評価方法として「大気中」で測定される「静的」接触角が代表的でしたが、これがほとんど実用特性を反映していないことが課題となっておりました。筆者は共同研究者と共に、学術論文・学会発表から選定したヒントとなる測定方法に改良を加えることにより、実用特性を表面科学的に解明し、製品開発の指針としてきました。2020年に定年退職するまで、社内外で開発された新シーズを最新の手法で評価してきましたが、多くの場合、当初の予想は覆され、何でも分かったつもりでいた自分を恥じることが多い研究生活でした。 　現在は、装置メーカーの技術者として、素材メーカーの皆様と共同で素材を開発しており、まだまだ発見の日々が続きます。

　最後になりましたが、本協会と関係者の皆様のますますのご発展を祈念して御礼の言葉とさせていただきます。

元ダイキン工業株式会社

森田 正道

この度は、編集委員長賞という大変栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。自動車修理塗装という大変ニッチな研究を評価いただきましたことに深くお礼申し上げます。また、日本自動車車体整備協同組合連合会の関係者の皆様を始め、今回の受賞対象となりました実験の実現にご協力いただきました全ての方に感謝の意を表します。 　今回、受賞の対象となった研究は、自動車の製造工程塗装ではなく修理塗装を対象としています。製造工程の塗装と修理塗装は全く異なり、修理塗装は日々異なる対象物に塗装を行う事から属人的な知識が仕上がりに大きく影響を及ぼすことが分かっております。今回の研究では、様々な身体運動測定機器を使用する事により熟練技術者の属人的知識を数値化することを試みました。このことにより、初心者向けの塗装の教科書で言われていた内容とは少し異なる、費用対効果を考慮した熟練技術者の動きが可視化・数値化されて参りました。一方で、高輝度系塗料や特殊な塗料が次々と開発され、技術者は一層高いレベルを日々求められており、研究の対象が多岐に渡ることに気づかされます。

　研究を通して、世界的にも優れた日本の修理塗装技術者の技を目の当たりにしました。この技を余さず次世代に引き継ぐ一助となるよう、今後も修理塗装の研究を続けて参ります。さらに、全ての塗装技術者の社会的評価が高まるよう発信を続けていく所存です。この度は誠にありがとうございました。

大阪産業大学　デザイン工学部

高井　由佳

この度は、塗装工学編集委員長賞という栄誉ある賞をいだきまして誠にありがとうございます。実は、今回の受賞は平成26年度の受賞に続き２回目の受賞ということでとても光栄に感じております。会長をはじめ、協会関係者の方々に厚く御礼申し上げます。 　さて、今回の賞の対象である「量子電気化学から塗膜下腐食まで(�T、�U報)」ですが、第一報は塗膜下で起こる酸素還元反応を量子力学の応用により解析することで塗膜下腐食の考察を行ったものであります。さらに、第二報はオリジナルに考えだした化成皮膜のポロシティーモデルを用いて塗膜下腐食を数学的に考察したものであります。どちらの報文も数式が多く出現し読みにくい内容であったにもかかわらず、このようなご評価をいただけたことをたいへんうれしく思っております。今後もさらに精進して関連する内容を進歩させた報告をしていきたいと思っております。 　筆者は現在すでに定年を過ぎて再雇用の身分です。表面処理に携わるようになってから40年近くとなりました。最近とくに思うことは、塗装や表面処理に関係する技術をサイエンスとして体系化していくことが大きな課題として残っているのではないかということです。

役にたつ技術は便利ではありますがすぐに忘れ去られます。逆にサイエンスはすぐに役にはたちませんが、技術を後世に残していくためには技術をサイエンスとして体系化することが必須だと思います。将来、大学の学生たちが塗装工学や表面処理工学などという 講義を当たり前に受講できるような日がくること期待して今後も努力していきたいと思います。最後になりましたが、本協会と関係者の皆様のますますのご発展を祈念して御礼の言葉とさせていただきます。

日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社

島倉 俊明

この度は，日本塗装技術協会賞　編集委員長賞という大変栄誉ある賞をいただき，誠に光栄に存じます。本論文を評価いただいた選考委員の方々をはじめ協会関係者の皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。 　今回、塗装工学誌に報告させていただいた「光照射により可逆的に生成する超撥水性表面と超親水性表面」は，光で可逆的に色と分子構造を変えるフォトクロミック化合物、特にその中でも両異性体が共に熱的に安定で、結晶状態でも光異性化が起きるジアリールエテンの結晶を用いたものです。光照射により生成する異性体間の極性には、それほど大きな差異はないのですが、表面に形成する凸凹構造が、濡れ性の差異を決定的なものにすることを明らかにしました。その結果，これまでにない濡れ性の変化が光で誘起させることができました。

　本来、光照射による分子の極性変化が小さなジアリールエテンで、このような結果が得られたことは驚きですが，合成が多段階に及ぶ誘導体であるため、このままでの実用化は難しいと考えています。表面構造を他の安価で安定な物質に移し替える等の方法を検討し、汎用性を高めると同時に、新たな表面機能の探索を行っていきたいと思います。
　最後に，今回の受賞を励みとし、より一層研究活動に邁進したいと思います。本研究は，多くの共同研究者と龍谷大学の学生諸君の長年の協力と研鑽の賜物です。この場を借りて深く感謝いたします。この度は誠にありがとうございました。

龍谷大学 先端理工学部 応用化学課程

内田 欣吾

このたびは研究発表優秀賞という栄えある賞を賜り誠にありがとうございます。選考委員会の皆様ならびに協会関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。 　今回発表させて頂いた「塗装プロセス現象解明に関する研究」は、ベル塗装において起こっている様々な現象を観察・計測・シミュレーションといった可視化手法で捉え、得られた知見や理論を塗装機器開発に役立てようというものです。噴霧された塗料液滴の複雑な挙動を流体シミュレーションで可視化した事例や、粗大な液滴の生成がベルカップ表面を流れる塗料の液膜厚さのバラツキに起因することを明らかにし、塗装品質の向上に貢献できたことを報告いたしました。 　一方で長年本研究を続けていますが、明らかにされていない現象はいまだ多くあると痛感しております。発表メンバー一同この賞を励みとして引き続き研究を重ね、塗装プロセスの現象解明に挑み続ける所存です。

　本発表にあたって様々な関係者の皆さまから多大なご尽力とご協力を頂き大変感謝しております。誠にありがとうございました。

ホンダエンジニアリング��

福野 純一

この度は、研究発表優秀賞という大変栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。選考委員の皆様をはじめ協会関係者、ご推薦いただいた皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。 今回、報告させていただいた『自動車補修用「オール水性 有機則フリーシステム」の開発』のテーマでは、塗料設計技術のポイントおよび調色時間を大幅に短縮するコンピューター調色システムを紹介させていただきました。諸先輩方が蓄積してきた技術を基に、技術開発検討を重ね、市場展開できるレベルに達することができました。 　このシステムにより、従来の溶剤系塗料並みの性能を有し、かつ人体への影響の低減やVOC量を大幅に削減することを可能にしました。本システムは、塗装技術や塗装・乾燥機器などの最新の技術と組み合わせることで、様々な分野に横展開をすることが可能であると考えています。今後ともお力添えいただきますよう心よりお願い申し上げます。

　今回の受賞を励みに、今後も塗装技術の発展に役立てる技術開発に取り組んで参ります。この度は誠にありがとうございました。

関西ペイント株式会社

汎用塗料本部車両技術部

堀　雅司

この度は，日本塗装技術協会賞　論文賞という大変栄誉ある賞を頂き，誠にありがとうございます。 本論文を評価いただいた選考委員の方々をはじめ協会関係者の皆様にはこの場をお借りしまして，厚くお礼申し上げます。 　この度ご報告させて頂いた「多層塗膜中の光輝材分布ならびに塗装外観の評価」では，メタリック塗装等の仕上げ評価を塗膜中の光輝材分布だけでなく，外観評価を同時に行う手法として提案したものです。 これにより塗膜乾燥条件により異なる塗装外観の評価を，塗膜中の光輝材の３次元的分布と塗膜表面形状計測より定量化でき，より多くの関連要素を結び付けて検討できる方法を提案できたと思います。 　しかしながら，実用面や現場での評価となると課題も多いのが現状です。より実用的な計測法とするため，さらなる知見の蓄積や解析法の高度化を果たすべく今後も頑張って行きたいと思います。引き続きご指導の程どうぞよろしくお願い申し上げます。

島根大学 総合理工学研究科

横田　正幸

この度は、塗装工学編集委員長賞をという大変栄誉ある賞を頂き誠にありがとうございます。選考委員会の皆様ならびに協会関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。 　塗膜に代表される、三次元ネットワーク構造を形成して不溶化した高分子は、適用できる分析手法がきわめて限定されるため、その解析は非常に難しい課題となっています。今回受賞対象となりました技術資料「特異な分解反応を利用するアクリル系硬化樹脂の硬化反応および架橋ネットワーク構造の解析」は、超臨界メタノール分解法などを利用してこうした不溶性高分子の解析を可能にした方法の開発と応用についてまとめたものです。

この方法が実際の塗膜解析などに幅広く活用されることを期待しつつ、今回の受賞を励みに新たな解析手法の開発に引き続き取り組んで聞きたいと考えております。

名古屋工業大学

大谷　肇

この度は、平成３０年度日本塗装技術協会賞編集委員長賞という大変栄誉ある賞を頂くことができ、本研究をご評価いただきました選考委員の皆様をはじめ協会関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。 　本論文では、従来からニーズの高い「透明」、「高硬度」、「しなやかさ」、「回復性」を同時に併せ持つ材料の開発について報告させて頂きました。一般的に、「硬さ」と「しなやかさ」はトレードオフの関係です。両特性を共存させ、透明性と回復性を担保するためには、それぞれの要素が特性を発揮できるようポリマーネットワーク構造の制御が重要となります。我々は優先的に環構造を形成する二官能アクリレートモノマーとポリエチレングリコール鎖から成る自由架橋構造をキーの要素として、コモノマーの選択や配合により「透明」、「高硬度」、「しなやか」、「回復性」の両立した材料を開発致しました。これまで「脆い」か「柔らかい」に偏りがちであった樹脂材料に「硬いがしなる」特性を付与できることで、これまでにない製品の設計、用途に繋がることを期待しております。

本受賞式では、塗装技術を中心とした様々な分野の先生、技術者の方々と交流の時間を持つことができ大変有意義なものとなりました。今回の受賞を励みに塗装業界の多様なニーズに応えられる材料の開発に励んで参ります。

山形大学理工学研究科

千葉　一生

松村　吉将

落合　文吾

この度は、令和元年　一般社団法人日本塗装技術協会　第一回総会にて、記念すべき特別賞をいただき、御礼申し上げます。また、社団法人化にご尽力いただいた、協会関係の皆様にも厚く御礼を申し上げます。 　乾燥機の技術開発から始まり、塗装自動機、専用ロボット、塗装システム。スプレーガンやブース、塗料供給装置、塗料に至る数々の塗装に関わる機器を中心に約44年余り取り組んでまいりました。 独自に開発した塗装ロボットによる回転塗装「Rの技術」は、あっという間に世界を駆け巡り、塗装経営にまた、環境対策に無くてはならない存在になりました。これも、日本塗装技術協会はじめ各方面のお力添えのたまものと感謝して止みません。

塗料を含めた化学的進化論やそれを具現化する機器の技術開発は、日本の塗装生産力を高める上で無くてはならない議論かと思います。ロボットを始め乾燥技術、塗料混合技術、インクジェット塗装技術、システム技術などの開発を進め、これからも引き続き日本塗装技術協会さんに負けない様、塗装技術の技術開発に邁進してゆきたいと思っております。ありがとうございました。

タクボエンジニアリング株式会社

代表取締役　佐々木　栄治

この度は，日本塗装技術協会賞　論文賞という大変栄誉ある賞をいただき，誠に光栄に存じます。本論文を評価いただいた選考委員の方々をはじめ協会関係者の皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。 　今回ご報告させていただいた「薄膜旋回分散法を用いた新規生漆の開発」は，生漆中に含まれる水に着目したものになります。薄膜旋回分散法を用いることで，水のサイズを小さくし，且つ，高分散状態にすることができました。その結果，これまでにない高い透明度・光沢を有する漆塗膜が得られております。 　古来より使われてきた漆ですが，昨今では，使用量は減少の一途をたどるばかりです。今後，新たな漆の活用法を見出すことで，漆の良さに着目して頂けるよう頑張っていきたいと思います。

　最後に，本研究は，京都市産業技術研究所の先輩方が長年積み重ねてきた成果になります。この場を借りて深く感謝いたします。この度は、誠にありがとうございました。

地方独立行政法人　京都市産業技術研究所

橘　洋一

この度は日本塗装技術協会賞 技能賞という大変名誉ある賞を頂くことができ、誠にありがとうございます。選考委員の皆様はじめ協会関係者、ご推薦いただいた皆様にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。 　私は、厚生労働省所管の省庁大学校である職業訓練大学校（現 職業能力開発総合大学校）の化学系塗装科で塗料、塗装に関する知識、技術・技能を学び、卒業後は約2年間の職業訓練校での指導員の職を経て、現在の職場で中小企業の皆様への塗装に関する技術支援を業務として20年以上行ってきました。この度は、これまで行ってきた塗装技能・技術に関わる産業支援活動、特にその間に行ってきたハンドガンによるスプレー塗装と漆工における焼き付け（熱硬化）技法に関する調査解析から、スプレー塗装に関しては工程改善によるVOC削減の普及・啓蒙活動、漆工に関しては焼き付け技法およびその応用技術について開発・普及を図ってきたことを、技術・技能の発展、後進技術者の指導・育成に寄与したとして評価をいただき、身に余る光栄に存じます。

技能を対象とする職業訓練を学び、基礎としてきた自身にとって、これほどうれしいことはありません。
　今回の受賞を励みとし、自身もですが、中小企業の皆様の支援機関である当センターの塗装部門がこれからも塗装関連の産業界に貢献できるよう努力していきたいと考えておりますので、今後とも宜しくお願い致します。

地方独立行政法人　東京都立産業技術研究センター

木下 稔夫

この度は、平成29年度塗装工学編集委員長賞をという大変栄誉ある賞を頂き誠にありがとうございます。選考委員会の皆様ならびに協会関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。 　一般的に、高い機械的強度などの実用的な諸物性を有する高分子材料はリサイクル性が低い場合が多く、その一方で高いリサイクル性を有する高分子材料は実用的な物性値を示すものが極めて少ないというトレードオフが存在します。私達の研究グループでは、このようなトレードオフの克服を目指し研究に取り組んで参りました。今回、総説として発表させて頂きました「ケミカルリサイクルを指向した環境高分子材料の開発」では、「マイクロ波を利用した重合／解重合系の構築」、「ヘキサアリールビスイミダゾール骨格を利用した架橋／解架橋性高分子の合成」、「分子レゴブロックを利用した重合／解重合性高分子の合成」の研究成果について解説させて頂きました。まだまだ、トレードオフの克服は困難ではありますが、今回の受賞を励みとし、より環境負荷を低減できるよう一層研究活動に邁進したいと思います。この度は誠にありがとうございました。

東京都市大学

工学部 エネルギー化学科

岩村　武

この度は、研究発表優秀賞という栄誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。本発表をご評価いただいた選考委員の方々をはじめ、協会関係者の皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。 　今回発表させて頂いた「シャシ部品用高防錆粉体塗料の開発」ですが、お客様の防錆性に対する高い要望に応える為、新規に粉体塗料を開発した内容となっております。粉体塗料の防錆性を向上する為、疎水性無機フィラーを添加し、塗膜内への水の浸透を抑制しました。シャシ部品用塗料は、防錆性だけでなく様々な性能を両立する必要があり、多くの課題に直面しました。その課題1つ1つをチーム一丸となって克服し、昨年、弊社新型トラックへの導入が実現しました。

　本発表会では、塗装に関わる様々な分野の方々と交流する機会があり、大変有意義な時間を持つことができました。今回の受賞を励みとし、日々の技術開発を通して、塗料・塗装技術の発展に少しでも貢献できるよう努力していく所存です。
　最後に、本発表に多大なるご尽力とご協力を頂いた関係者の皆様には深く感謝致します。誠にありがとうございました。

日野自動車株式会社 材料開発部

柴野 赳雄

この度は、研究発表優秀賞をいう栄えある賞を頂き、誠にありがとうございます。 本発表をご評価頂きました、協会関係者の皆様、選考委員の方々に厚く御礼を申し上げます。 　今回の発表ではロボットティーチングの簡易化を目指して、モーションキャプチャー技術を応用したティーチング作成方法についてご報告させて頂きました。 この技術は、塗装現場の省人化を図りたいという現場の思いに対して、ロボットティーチングの難易度の高さから導入に難色を示されているお客様が多くいらっしゃった事から開発が始まりました。開発当初はロボットが思った通りに動かず修正を重ねましたが、無事に披露出来るレベルまで至る事が出来ました。

　今後はロボットの動きの再現性を高めるだけでなく、手吹きの塗装条件データを自動的に反映させる事で付加価値を高めていき、実際にお客様に触れて頂きながら使い勝手の良いシステムの開発を進めてまいります。
　今回の受賞を励みに、今後も塗装技術の発展に役立てる技術の開発に取り組んで参ります。この度は誠にありがとうございました。

旭サナック株式会社

岩田 裕大

加藤 瑞樹

この度は、塗装工学編集委員長賞という大変栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。本内容を高くご評価いただき、選出いただきました協会関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。 　今回、投稿した「二層分離形粉体塗料の開発」の内容は「一粒中にふっ素樹脂とポリエステルから構成される粉体塗料が塗膜形成時に塗膜上層にふっ素樹脂、基材側へポリエステルが配向する挙動が樹脂物性値と塗膜硬化速度に起因していること」および「塗膜の耐候性がふっ素樹脂塗料と同等であり、基材への付着力はポリエステル相当とそれぞれの樹脂の長所のみを塗膜物性へ反映させた」というものです。 　この塗料を使用する高層ビルの外壁に使用する金属外装分野には、溶剤系ふっ素樹脂塗料が適用されてきました。近年は関連業界が環境負荷低減の観点から、粉体塗料の適用を拡大しており、本塗料の市場実績も着実に増加しています。

　授賞式では塗装に関わる様々な分野の皆様と交流することができ、大変多くの方から貴重なご意見やご指摘を受け賜わり、ありがとうございました。今回の受賞を励みとし、更に開発活動に邁進したいと思います。
　最後に、本開発に多大なるご尽力とご協力をいただいた、大日本塗料株式会社の関係各位に深く感謝いたします。

大日本塗料株式会社

木口 忠広

この度は日本塗装技術協会賞 技術賞というたいへん名誉な賞を頂くことができ、誠に光栄に存じます。本開発技術を高くご評価頂いた選考委員の皆様、ならびに協会関係者の方々にこの場をお借りして深く御礼申し上げる次第です。また、本開発の推進に当たり、実務設計を担当し、実用化に結びつけた弊社技術スタッフの櫻井宣文、鈴木善貴両名に感謝の意を表します。 　今回ご評価頂いた「デュアル電界方式」を適用した粉体静電塗装機は、デュアル（二重）電界を形成することにより、従来技術では実現できなかった塗料使用量削減につながる塗着効率の向上と塗膜面を平滑に保つ静電反発抑制の両立を可能としています。本技術が環境対応型塗装手段として、粉体塗装の普及に少しでも貢献できればと願っております。

　今回の受賞を励みに、今後も塗装技術の発展に微力ながらお役に立てるよう新技術の開発に取り組んでまいります。今回は誠にありがとうございました。

旭サナック株式会社　塗装機械事業部 技術開発部

柳田　建三

この度は、研究発表優秀賞という栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。本発表をご評価いただいた選考委員の方々はじめ協会関係者の皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。 　さて、今回発表させて頂いた『漆喰塗料の機能性』については、漆喰塗料が従来の塗料では成し得ない高機能性を有していることとそのメカニズムについて報告しました。このような大舞台での発表によって、多くの方々に漆喰塗料の良さを知って頂き、一人でも多くの方々の住環境改善に役立てることができれば幸いです。 　皆様ご存知のとおり、漆喰は古来より伝わる日本の伝統です。漆喰塗料は古来よりある材料を現代の塗装方法で塗装できるようにアレンジしたものです。

また、慶応義塾大学白鳥先生の特別公演にありましたように自然界の技術にもまた驚嘆した次第です。古来の技術や自然界の技術には本当に驚かされます。今後も古来技術と自然界に対する敬意を忘れずに真摯な技術開発を心がけて生きたいと思っています。
　最後になりましたが、本発表にあたり多大なるご尽力とご協力を頂いた関係者の皆様にはこの場を借りて深く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

関西ペイント株式会社

沼澤　昭

この度は、日本塗装技術協会賞 論文賞という栄誉ある賞を頂くことができ、大変光栄に思っております。本論文を評価いただいた選考委員の方々をはじめ協会関係者の皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。 　さて、今回対象といたしました耐傷付き性は、塗膜分野のみならず様々な分野で重要な課題となっておりますが、損傷形態、形成様式が複雑であり、傷発生機構についてはまだまだ不明な点がたくさんあります。本発表「複層塗装鋼板の耐傷付き性に関する研究」は、ASTMおよびISOにおいて標準化された「荷重増分法」を用いることにより、複層塗膜の傷のつきにくさと目立ちやすさを定量的に切り分けて解析し考察した結果をまとめたものになります。 　本内容を進めるにあたって、京都工芸繊維大学の方々とも定期的に活発な議論をさせていただき、多数の方々から有益なご意見、ご指導を賜りました。今後は今回の受賞を励みとし、日々の技術開発を通じて、塗料・塗装技術の発展に少しでも貢献できるよう努力していく所存です。誠にありがとうございました。

関西ペイント株式会社

葛西　伶美

この度は、塗装工学編集委員長賞という大変栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。本発表をご評価いただき、選出いただきました協会関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。 　今回、発表させていただいた「立体感を向上させた磁性模様塗装の開発」ですが、従来からある塗装ではありますが、二輪車外装用途に対してより立体的にみえるように改良した内容となっております。なぜ立体に見えるのかについて検証し、光輝剤の動きをコントロールする塗料配合と塗装条件を見出しました。また、立体感レベルを数値化することで従来塗装との対比を定量的に行うことができるようになりました。通常の塗装では用いることのない磁力をどのように使うかを様々な手法を用いて検証を行い、新しい外観意匠を提示できたと考えております。

　授賞式では塗装に関わる様々な分野の皆様と交流することができ、大変貴重なご意見をいただくことが出来ました。今後は、より一層技術開発に励むと共に、本技術を新規性のある意匠として広く展開し魅力向上に貢献していきたいと考えております。最後に、本開発に際しては、塗料メーカー様始め多くの皆様のご協力をいただき量産機種へ適用することができました。大変感謝しております。誠にありがとうございました。

株式会社 本田技術研究所

佐藤　育恵

この度は、研究発表優秀賞という栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。多数の協会関係者ならびに選考委員の方々から、本発表に関して高く評価して頂いたことを嬉しく思います。この場をお借りし厚く御礼申し上げます。 　さて今回発表させて頂いた「塗装ブース “新集塵方式の開発”」ですが、自動車やバンパーを塗装する際に発生する未付着塗料ミストを回収するための集塵装置を、低圧力損失で省エネなサイクロン集塵装置を開発し量産ラインへ導入した内容について報告しました。自動車製造工程において塗装工程が占めるエネルギー使用量の割合は高く、塗装設備の省エネ化は重要課題の一つとして挙げられます。様々な集塵装置をベンチマークしましたがそのまま利用できるものは無く、その中でも遠心力を利用した低圧力損失を実現できるサイクロン集塵装置に着目し、シミュレーションや小型試験機で評価を行いながら設備要件を決めてまいりました。たくさんの課題に直面しながらもメンバー一丸となって克服し、昨年量産ラインへの導入が実現しました。

　本発表会では、塗装に関わる様々な分野の方々と交流する機会があり、たいへん有意義な時間を持つことができました。これからの塗装技術の発展に向けて少しでも貢献できるよう頑張りたいと思います。
　最後に、本発表に多大なるご尽力とご協力を頂いた関係者の皆様には深く感謝いたします。誠にありがとうございました。

トヨタ自動車株式会社　塗装生技部　技術管理室

飯田　達也

この度は、塗装工学編集委員長賞という栄誉ある賞をいだきまして誠にありがとうございます。会長をはじめ、協会関係者の方々に厚く御礼申し上げます。 　さて、今回の賞の対象となる報文は、「塗膜下腐食に関する研究の変遷と表面処理の効果」と「シラン化合物を利用したクロムフリー表面処理　−Bis-シラン化合物を中心として−」という二つが対象となっています。前者は、塗膜下腐食に関する電気化学的な研究の歴史と塗膜下腐食抑制に対しての表面処理の効果について記したものです。また、後者は、近年注目されつつあるシランカップリング剤の開発の経緯やそれを利用した表面処理の効果について記したものです。この二つの報文を記載して感じたことは、現在までの研究や技術の進歩は、先人のたちの並々ならぬ努力や先見の明に負うところが大きいということ、さらに温故知新は科学や技術の進歩にとって非常に大切だということを再認識できたことです。

筆者は表面処理に携わるようになり30年以上になりますが、塗装や表面処理の分野では、技術やノウハウをサイエンスに転化することがますます重要になってきていると感じています。今回の受賞式の後の懇親会では、諸先輩方の貴重なご意見をいただくこともできました。今後も、より一層皆様のご指導をいただきながら、塗装や表面処理技術の進歩に貢献できればと思います。最後になりましたが、本協会のますますのご発展を祈念して、御礼の言葉とさせていただきます。

日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社

島倉　俊明

この度は、栄誉ある第30回研究発表優秀賞を頂き、大変光栄に存じます。また、ご支持を頂きました選考委員の皆様、協会関係者の皆様および立派な会場をご提供していただきました東京大学の皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。 　今回発表させていただきました「静電粉体塗装による機能性塗膜内粒子構造の制御」は被塗物の保護および美観の維持・向上のみならず、塗膜に新たな機能を付与させることを目的として実験およびDEM-LESハイブリッドシミュレーションの双方から検討したものです。 　静電粉体塗装は粒子、流体、電場などの様々な因子が存在し、いまだ十分に理解が進んでいない塗装技術だといえます。したがって、我々が得た知見が少しでもお役にたてれば幸いに存じます。

我々が提案する粒子構造制御による複層塗膜形成技術が実用化されれば、機能、環境、コストなどのあらゆる側面から多くの分野に貢献できると考えられます。今回の受賞を励みとし、より一層研究に邁進するとともに、塗装分野の発展に微力ながらお力添えできればと思いますので今後ともよろしくお願い申し上げます。

同志社大学大学院　粉体工学研究室

光永　拓也

この度は、日本塗装技術協会論文賞を戴き誠にありがとうございました。本発表を御評価いただいた協会、選考委員の方々に厚く御礼申し上げます。 　本発表「位相シフトディジタルホログラフィと重量法による塗料乾燥評価とクリア塗料に対する減少体積の計算による蒸発溶剤の推定」は非接触測定法である、位相シフトディジタルホログラフィと重量法を併用することにより定量的な評価方法を提案しました。　実験の結果塗装面の乾燥状態の評価・塗膜中の状態の変化が推定することができました。また、クリア塗料に対しては溶剤の揮発に伴う塗膜の体積減少が推定できました。本手法は光学分野では既に数々の応用例が発表されておりますが、塗料分野への応用は少なく今後の応用展開が期待されます。

　現在、本測定方法を装置として開発中であり、測定時間の短縮・ノイズ成分の除去といった問題点を改良しより幅広い応用へ発展させて行きたいと考えております。
　懇親会では、皆様親切に接していただき有意義なディスカッションができ大変満足しております。今回の受賞をいっそうの励みとし、塗装業界への発展に少なからず貢献できるよう、塗装技術のご専門の方々のご指導・ご意見をいただき技術を発展させていきたいと考えております。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

株式会社 東洋精機製作所

小林　幸一

この度は、歴史と伝統のある日本塗装技術協会より、塗装工学編集委員長賞という、すばらしい賞を戴いたこと、誠に光栄に存じます。この場をお借りして、会長はじめ、編集委員長、協会関係者の方々に厚くお礼を申し上げます。 　無機系ハードコートは、プラスチックを基材とした場合、その熱膨張係数等の違いにより、コート膜厚には、かなり厳しい制限がありますが、有機高分子を、水素結合等の分子間相互作用によって、分子レベルでナノ分散した、有機無機ナノハイブリッド体を、プラスチック上にコートしたハードコートは、高い柔軟性やプラスチック基材への強い密着性を有しているので、進展著しい有機系ハードコートに対しても、もう一段のブレークスルーを追求していけば、充分に、その地歩を築いていけるポテンシャルを秘めているように思われます。また、最近の趨勢として、ガスバリアー性、帯電防止性、防汚性等を具備したハードコートへの要求は高いものがありますが、当該ハードコートは、そうした局面においても、新たな展開に貢献できるのではないかと思われます。

　最後になりましたが、この度は、本当にありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

兵庫県立大学大学院工学研究科

矢澤　哲夫

この度は「希釈溶剤の代替として高圧CO2を用いた低環境負荷型噴霧塗装技術開発の展開」のタイトルで栄誉ある研究発表優秀賞を頂き、ありがとうございました。また、発表の機会を頂きました協会関係者の皆様には、改めてお礼申し上げます。 　我々は、CO2塗装技術の開発を2007年に産総研、宮城県産業技術総合センター、宮城県の民間企業である加美電子工業株式会社とともに研究を開始したのが始まりで、足掛け7年研究開発を進めてきました。もともとユニオンカーバイドが1980年代に開発した技術であり、希釈溶剤を削減して高圧CO2に代替する環境にやさしいコンセプトには注目しておりましたが、実用化できなかったことが気になっておりました。そこで、改めてCO2塗装技術を実用化するための技術開発をNEDOプロジェクトとして研究する機会を得ました。

開発当初は泡かみ状態のひどい塗膜ばかりで最適条件を見出すのに苦労したことが思い出されます。お陰様でなんとか、プロセス開発はある程度のレベルまで達することができましたが、これからは希釈溶剤ゼロを目指すべく、塗料設計の重要性が大きくなっております。具体的には、CO2は低沸点溶剤の代替しかできないため、レベリング効果を維持できる塗料開発が求められます。今後ともCO2塗装の特徴であるVOC削減、省エネに加えて、高い塗膜性能を目指して研究開発を継続したいと思います。関係各位のご協力をお願いし、受賞のお礼とさせて頂きます。

（独）産業技術総合研究所

川�ｱ　慎一朗

この度，塗装工学編集委員長賞を頂き，誠にありがとうございました。協会関係者の方々，本発表を評価頂いた選考委員の方々に厚く御礼申し上げます。 　本発表「テラヘルツ波を用いたガスタービン用遮熱コーティングの非破壊検査技術」は，火力発電用ガスタービンの高温部品に施工されている遮熱コーティングのうち，セラミック製のトップコートの膜厚を測定し，トップコート下の欠陥を検出する技術を開発したものです。

従来，膜厚測定や欠陥検出は使用済み部品の切断面の顕微鏡観察に頼っていましたが，電磁波を用いた非破壊検査が可能となったことから，再び供用される部品も検査でき，定期点検等での活用が期待できます。本発表で用いたテラヘルツ波は光波と電波の間の周波数領域の電磁波で，近年その発生器と検出器が商品化されたことから，コーティング・塗装膜・複合材料・文化財などの非破壊検査，隠匿危険物・薬物の検出などの安全・セキュリティへの応用が進んでいます。トップコートは光波を強く散乱するため，膜厚を高精度で測れる光学干渉法が使えず，一方でトップコートをよく透過する電波は測定精度が低い問題点がありましたが，本発表ではテラヘルツ波を用いて，十分な透過率を確保しつつ，顕微鏡観察と同等の測定精度を得ることが出来ました。
　テラヘルツ波は塗装膜下の錆検出・塗装膜厚測定など，塗装技術への応用が期待できると思われます。新たな応用や技術を開拓するために，塗装技術の専門家各位からのご指導，ご意見を頂ければ幸いです。今後ともよろしくお願い申し上げます。

電力中央研究所

福地哲生，布施則一，岡田満利，藤井智晴

情報通信研究機構

水野麻弥，福永　香

この度は、平成２４年度の塗装工学編集委員長賞をいただき誠にありがとうございました。拙い報文を選考いただいた選考委員会の皆様はじめ協会関係者の皆様、ご推薦いただいた方々にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。 　環境問題への関心から分解性界面活性剤の合成を手掛け、その機能性材料への応用を目的として着目したのが今回執筆しました総説「加水分解性乳化剤含有ラテックス塗料の開発」の内容です。突飛なアイデアでかつ十分な成果も得られていない現状で専門協会誌に投稿することに躊躇しましたが、専門家の方々にご批判いただければと思い、思い切って執筆させていただきました。従って、今回の思いがけない出来事は、専門の方に研究を多少なりとも評価いただいたことになりますので、受賞以上の喜びを感じております。また、受賞後の懇親会では、多くの方から貴重なご意見と共に私共の研究に興味を持っていただけたことをお伺いでき、大変有意義な時間となりました。ありがとうございました。

　本研究が今後の発展が期待されています速乾性水性塗料の開発研究の一助になれば幸いに存じます。この受賞を励みとして、塗装技術の発展に寄与できるような研究成果を上げられるように努力したいと思っております。この度はまことにありがとうございました。

信州大学繊維学部

伊藤　恵啓

論文賞を受賞し、この賞の名誉の重みに緊張しています。過去に２回、技術賞を受賞させて頂きましたが、その時の嬉しさとはまた別の喜びを感じます。 　受賞させて頂いた論文「非導電性被塗物の静電塗装システム」はそもそも、論文とは言い難い側面を持っておりました。それは、一般的に論文は最新の研究成果をいち早く発表するものであるのに対し、本論文は企画・研究・開発・実験・採用・効果確認の一連の起承転結プロセスを、一気にまとめて報告した内容となっているからです。企業活動として行う技術開発は関連特許出願を完了させるべく、特許が公開になるまで発表を控えざるを得ない‥という背景があります。そのような論文であったため「論文」として塗装工学に掲載して頂いただけでも感謝しておりました。本論文の「新規性」と「進歩性」を評価頂き、望外の結果を賜ったと深謝する次第です。

　本論文の技術は私が長年、その実現を夢見て来たもので、絶縁体である樹脂部品にダイレクトに静電塗装を行うシステムです。この発明の核心を成すのはコロナ放電ピンを廃した静電エアスプレーガンの内部で低抵抗（通常塗料抵抗値の１００〜２００分の１）塗料に高電圧を直接印加して塗料粒子に帯電させることです。この詳細は受賞論文を御一読頂ければと思います。
　この発明の起承転結の各局面において、多くの方々の助言や助力を頂きました。本受賞は本当に皆様の御支援の賜物であったと実感する次第です。今後はこの受賞を励みに、更なる塗装技術の発展に貢献すべく努力する所存です。本当にありがとうございました。

２０１３年５月２８日

いすゞ自動車株式会社

塗装技術グループ

田村　吉宣

この度は栄えある研究発表優秀賞を頂くこととなり、大変有難く思っております。また、本発表に対して選考委員の皆様から多数のご支持を頂けたことを光栄に存じます。併せて、発表会参加者、協会関係者の皆様にもこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。 　発表いたしました「塗膜の雨スジ汚染性と雨滴挙動の関係」は、建材壁面上の雨滴流下を詳細に観察して、雨スジ汚染性との関係を考察したものです。この雨スジ汚染は比較的身近に起こりうる現象ですが、意外にもメカニズムの全容までは明らかにされていません。そこで今回は、塗膜上の水滴流下挙動について、単独の滴から複数の滴の合体に至るまで、高速度カメラを使用して詳細に記録、観察し、耐汚染性に有利な親水性表面の特徴を動画形式でご紹介させて頂きました。これを元に考察、議論させていただき、多数の方から有益なご意見、ご指導を賜りました。発表メンバー一同感謝しております。

　今後も、日々の研究・開発を通じて塗料・塗装技術の発展に尽力する所存ですので、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

関西ペイント株式会社

Ｒ＆Ｄ本部　ＣＭ研究所

宇留嶋　秀人

このたびは平成23年度塗装工学編集委員長賞をいただき、誠にありがとうございました。本技術資料を高く評価していただいた選考委員の皆様をはじめ、協会に関係する多くの方々へ深く感謝いたします。 　本技術資料は、常温では不活性であるのにもかかわらず、ある温度以上に加熱されると活性化し反応触媒として機能する熱潜在性触媒に注目し、これまでに提案されてきた各種技術について私なりにまとめさせていただいたものであります。この熱潜在性触媒技術は、まだまだ開発に余地があり、一液型熱硬化系おいて要求される熱硬化性と貯蔵安定性というふたつの相反する性能を両立させるための重要な技術のひとつとなる可能性を秘めていると考えております。これより、本技術資料を読んでいただいた方の中から、次世代を担う塗料の開発における何らかのヒントを見出す方が出ることを大いに期待しております。

　今回の受賞を励みとし、今後とも塗装工学誌を通して塗装・塗料業界を盛り上げ、その発展に少しでも貢献できるよう努力していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

BASFコーティングスジャパン株式会社

研究開発部　レジンラボ

中根喜則

この度は、名誉ある日本塗装技術協会賞塗装工学編集委員長賞を戴き、大変光栄に思っております。この場をお借りして、今まで支えてくださった方々、共に研究を行った学生諸君に感謝の意を表したいと思います。また、これらの成果を評価して頂きました編集委員長、協会関係者の方々に厚くお礼を申し上げます。 　「自己修復性コーティング」の研究は、人間や動物、植物などの生物が生まれながらに持っているダイナミックな生命活動である自然治癒力・自己修復能力を、建物や自動車などの人工的で無機的な構造物にも与えることができれば、どんなに素晴らしいことだろう、と思ったことがきっかけでした。『塗装工学誌（第46巻, 第8号）』に掲載された本論文では、環境の問題から金属材料の表面処理において近年重要なテーマとなっている自己修復性防食コーティングについて、腐食の基礎理論、人体の自然治癒力に対比した塗膜設計思想、電気化学測定を用いた評価方法、最近の研究事例について解説しています。

　本研究の成果は多くの材料の腐食による多大な損失を防ぐだけでなく、環境負荷を小さくすることができます。この技術が実用化されれば、産業界にとって非常に有用な技術となると確信しています。環境、性能、コストを十分に考慮した自己修復性防食コーティングの研究開発をこれからも進め、塗装技術の発展に寄与したいと思っております。この度は、本当にありがとうございました。

広島大学大学院工学研究院

矢吹　彰広

この度はこのような名誉ある賞を頂き，誠にありがとうございます．また，協会関係者の皆様には発表の機会を賜りましたことを，この場を借りて厚く御礼申し上げます． 　今回発表させて頂きました微小液滴の誘電飛翔制御法は電場と誘電分極の相互作用を利用することによって液滴を帯電させずに制御する手法です．この手法を用いることによって既存の手法では不可能であった油性液体を連続吐出型インクジェットで吐出し制御することが可能となるため，印刷・塗装等に用いられるインクの種類が格段に広がる他，マイクロカプセルの連続生成などの利用に期待できます． 　このような手法を開発するきっかけとなったのは上記のような連続吐出型インクジェットの高性能化といった目的があったこともさることながら，蛇口から流れる水道水に帯電した定規を近づけると水道水の進行方向が変化するという，

よく知られた現象をミクロのスケールでも見てみたいといった知的好奇心によって研究を行っておりました．私が所属している研究室では電場・誘電分極相互作用を用いて液体の表面張力や粘度を測定する手法が既に開発されていたため，ノウハウ等をうまく活用することができこのような結果に結びつけることができました．その過程においてはその都度研究室の先生方，先輩方には様々な点において大変お世話になりました．深く感謝いたします．
　今後はこの技術を用いた新たな装置の開発を考えており，今回の受賞を励みとして，さらに精進させて頂く所存ですので今後ともよろしくお願いいたします．

東京大学生産技術研究所

石綿友樹

この度は、平成２２年度の塗装工学編集委員長賞をいただき誠にありがとうございました。編集委員長の先生を始め、選考委員会の皆様、協会の関係者の皆様、ならびにご推薦いただきました方々に厚く御礼申し上げます。私はこれまで、さまざまな形態や方法を利用した高分子の自己組織化による高次構造の形成について研究を行って参りました。今回受賞の総説「超臨界二酸化炭素中での高分子の自己組織化を利用した機能性高分子微粒子の開発」は、長鎖フッ化アルキル基含有の高分子を超臨界二酸化炭素中で自己組織化させることにより、微粒子の球状化と機能化を同時に行うという独自な考案に基づいております。超臨界二酸化炭素中では、高分子中のフッ化アルキル基が微粒子の外殻を形成するように自己組織化するため、表面撥水機能をもつナノメートルサイズの球状微粒子を製造することができます。この微粒子をガラス表面に塗布した結果、フッ化アルキル基の撥水性と微粒子の球状構造の相乗効果によって、水に対する接触角が170°以上の超撥水表面を構築することができました。さらに、この自己組織化の方法を撥水コーティングに応用し、タンパク質や酵素の表面撥水処理に利用できることを実証致しました。

　本研究が、今後の新規な撥水処理や塗装技術の開拓の一助になれば幸いに存じます。今後も日本塗装技術協会の発展に寄与できるよう微力ながら努力して参りたいと思いますのでよろしくお願い致します。

豊橋技術科学大学

吉田絵里

この度は、平成２３年度　編集委員長賞を戴き大変有難う御座いました。小職の拙い報文を選考戴いた選考委員会の皆様はじめ、執筆の機会を与えて戴いた当時副編集委員長でいらっしゃった金井洋様（現日鉄住金鋼板�且ｷ行役員）に深くお礼申し上げます。 　2008年から2009年にかけて、『塗装工学』に「UV硬化型コーティング材の硬化挙動、付着性付与技術と最近の技術動向」（第43巻6、8、10号、第44巻2号掲載）を４回に分けて書かせて戴きました。今回の報文は、入社以来３５年に渡ってラジエーション硬化技術（UV/EB）に関わる中で、近年著しい発展を遂げた同技術の各種報告を小職なりにまとめさせて戴いたものです。受賞講演では、「ラジエーション硬化技術の過去-現在-未来(夢）」という演題で話をさせて戴きました。入社当時と携帯電話、弱電製品へと様々に使われるようになった近年を比べると、"隔世の感"があるというのが正直な実感です。入社当時の1970年代のUV硬化塗料は、硬化が遅く、塗膜は黄色く変色、そして塗膜は脆いものでした。

「これでは、木工の目止めくらいにしか使用できず、到底、将来有望な技術とならないのではないか?」と疑問を抱きましたし、当時の社内外の大方の見方もそうだったと思います。
　しかし、80年代に入ると、ハードコート材のキーマテリアルとなるDPHAにみられる樹脂や光開始剤、照射装置の開発が急速に進み、今日の発展の礎が築かれました。塗料技術者ばかりでなく、樹脂・開始剤・装置メーカーの多くの技術者の努力の成果だと思います。
　そして、今、LED‐UV光源、3次元形状物への硬化に有効な３Dイナートシステム、複雑な形状でも硬化できるプラズマUVキュアなどの技術が紹介されており、20-30年後を展望すると、ラジエーション硬化技術は、より高い技術ステージに進むと予感しています。今、同技術に取り組み始めた若き技術者が、小職が思ったように２０-３０年後に隔世の感を持って語るような発展がなされると確信しています。若き技術者にこの夢多き技術をおおいに楽しみ、頑張っていただきたいと思っております。

２０１１年６月１６日

カシュー株式会社

技術開発部　技術顧問

阿久津　幹夫

このたびは、栄えある論文賞をいただくことができ，大変光栄に思いますとともに，これまで多くの助言をいただいた先生方、研究に協力していただいた皆様にこの場をお借りして深くお礼を申し上げます。 　本論文は、粉体工学的観点から，これまで十分に理解が進んでいないと思われる静電粉体塗装法の基礎的知見を得ることを目的に粉体塗装特性と操作条件の関係を検討したものです．特に、塗料の塗着挙動と塗料粒子の特性、帯電量と電界強度の影響に関する詳細な検討をDEM-LESハイブリットシミュレーションを用いて解析いたしました。いまだ多くの課題を抱えている静電粉体塗装法ですが、これらの知見が少しでも役に立ち、環境対応型塗装法として今後普及していくきっかけとなればと思っております。 　また、受賞後の懇親会では、数多くの方から貴重なご意見、ご指摘をいただき、大変有意義な時間となりました。　ありがとうございました。

自分の未熟さを痛感いたしましたが、この受賞を励みとして、今後も研究活動に精進し、塗装技術の発展に寄与できればと思っております。この度は、誠にありがとうございました。

同志社大学大学院

粉体工学研究室

有吉大輔

この度は第26回研究発表会優秀賞という栄誉ある賞を頂き、大変うれしく思っております。この研究を進めるにあたり、ご協力頂いた関係者の方々に心よりお礼申し上げます。 　発表会当日には東日本大震災の発生により混乱していた私達に、安全を第一とした迅速な対応と、交通機関が使えず帰る当てのない中、宿泊の場まで提供して頂きました。協会関係者、並びに工学院大学の皆様には心より感謝申し上げます。また、この東日本大震災により被災された皆様にお見舞い申し上げるとともに、皆様の安全と一日も早い復興をお祈り申し上げます。 　この度の発表では、スプレー塗装における塗料使用量削減という課題に対し、部品塗装分野での被塗物の多様さに焦点を絞り、パターン幅や微粒化の適正化、塗り込み性向上の観点より開発した、ベル型塗装機エアキャップに関して報告致しました。

　この開発は複雑形状の被塗物に対しても、一つの塗装機で常に最適な塗装をしたいという、お客さまから頂いた貴重なご意見からスタートしています。
　今後もお客さまの声を少しでも多く製品に反映できるよう、より一層研究活動に邁進したいと思います。この度は、まことにありがとうございました。

旭サナック株式会社

技術開発部ユニット技術2課

白松憲一郎

このたび、伝統ある第26回研究発表優秀賞をいただくことができ、大変光栄に思います。とくに、発表当日には東日本大震災が発生し、発表会が行われた東京でも大きな揺れに襲われました。この大震災で被災された多くの方々に心からお見舞い申し上げます。 　大地震に襲われた学会でしたが、協会の方々は冷静なご判断で発表会を実行され、また工学院大学の関係者の方々は大変迅速な対応で行動され、我々の安全を確保され、さらには交通機関がマヒし、帰る手段のない私たちに宿泊の場を提供していただきました。協会関係者ならびに大学関係の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 　発表させていただいた高分子物質の接触帯電機構に関する研究は静電粉体塗装において塗着効率や高品質塗膜の形成に大変重要ですが、まだまだそのメカニズムは解明されていません。

　修士研究により一層研究を発展させて帯電機構のメカニズムの解明に少しでも貢献できればと思っております。研究過程では、高分子粒子と異種物質間を移動する微小な電荷量の測定値の再現性を得るのに頭を悩ませ、悶々とする日も過ごしましたが、今回の受賞によりすべてが楽しい日々に変わりました。研究過程で、多くの助言と指導をしていただいた日高重助教授をはじめとする先生方、帯電実験に協力をいただいた研究室の皆様に深く感謝したします。今回の受賞を励みとし、より一層研究活動に邁進していきたいと思っております。ありがとうございました。

同志社大学大学院工学研究科工業化学専攻

東浦　大史

この度は平成２１年度の塗装工学編集委員長賞をいただき大変ありがとうございました。選考委員会の皆様はじめ協会関係者の皆様、ご推薦いただいた方々にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。私は数年にわたりメタリック塗膜外観の数値化の課題に取り組んで参りました。今回受賞の「メタリック塗膜外観についての数値解析」は２次元フーリエ変換法を基礎技術とした解析法が適する対象「メタリック塗膜の粒子感の数値化」と、むしろ適さないという立場で述べた「メタリック塗装ムラの数値化」の２つの課題を対比する形で述べさせていただきました。後者が独自の考案による新規な評価技術を述べたものです。

　メタリック塗装ムラの評価は非常に高度な熟練を要する官能評価によって実施されているのが現状ですが、比較的簡単な解析手段でありながら官能評価と非常に相関の高い結果が得られることを見出したものです。測定した数値のバラツキを解析するものですが偶然によって左右される成分をむしろ撹乱要素として排除したことが大きな特徴で、この新しい評価方法を塗装の分野の皆様に広く知って頂きたく塗装工学誌に投稿（Vol.43　No.2）致しました。さらに、本稿の続編も塗装工学に掲載（Vol.45　No.3）していますので併せてご一読頂ければ幸いです。
　今後とも当協会の発展に寄与できるように皆様と共に努力して参りたいと思いますので宜しくお願い致します。

東洋アルミニウム株式会社

コアテクノロジーセンター　研究開発室

瀬戸口俊一

この度は過分な技術賞を賜り誠にありがとうございます。発表の機会を与え選考に係わられた協会関係者の方々に厚くお礼申しあげます。さらに、この成果は今までの多く方々との係わりの結果として生み出すことができました。個々のお名前は上げませんが、ご協力を頂いた皆様に深く感謝致します。 　電解槽の電流分布解析を開始し、早や20年を経過しました。NECのパソコンPC-9801を使用して電気めっきのハルセルの二次元解析から始め、現在は電着塗装槽の自動車ボディーの解析が可能になりました。電着塗装の解析は、2000年より自動車メーカーとの共同で開始しました。

独自の塗料パラメータの取得方法と膜厚の計算方法を考案し、市場展開を計りましたが競合他社の先行を許してしまいました。しかし、最近電着塗膜の計算方法の特許もやっと成立し、(株)大気社殿と共同で考案した「仮想表面を使用したボディー全体解析」も技術賞を受賞しましたので、市場での巻き返しを心に誓っております。CAE関連のソフトは、欧米で開発されたものが市場を席巻していますが、今後数少ない日本発のCAEソフトとして世界で使用されるソフトに育てて行きたいと考えております。
　この受賞を糧に一層の前進を計りますので、皆様のご協力とご指導をお願い申しあげます。

平成22年6月10日

上村工業株式会社　中央研究所

小原勝彦

この度は、平成20年度編集委員長賞に選出いただき、有難うございます。『塗装工学』のテラヘルツ波技術特集号（平成20年11月号）において我々に研究紹介の機会を与えていただいた編集委員の方々を始め、今回の選考に携わった選考委員会、そして所属研究室の関係者諸氏に深く感謝しております。 　テラヘルツ波（周波数0.1〜10THz、波長30〜3,000μm）を用いた関連技術『テラヘルツ・テクノロジー』は、国家基幹技術10大戦略の1つに選定されると同時に、10年後の市場規模は2兆円に達すると予測され、現在、世界中のテラヘルツ研究者がキラーアプリケーションを探して活発な研究開発を行っております。我々も2000年よりテラヘルツ技術に関する研究を開始し、特に新規テラヘルツ計測技術の開発と応用計測への展開という観点から研究を行ってきました。今回、塗装という極めて産業応用に近いフィールドで『使えそうな技術』として評価された事は、テラヘルツの歴史を知る我々にとって極めて感慨深いものであります。

　今回の受賞にあたっては、テラヘルツ波の『目新しさ』が少なからず貢献したと思いますが、今後は『真に使える技術』として塗装関係者から評価されるよう、研究を継続していきたいと考えております。

大阪大学大学院基礎工学研究科機能創成専攻

安井　武史

この度は、第25回研究発表優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。多くの研究発表会参加者の皆様、また発表会の進行・準備をしてくださった協会関係者の皆様、東京大学の学生の皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。そして、多くの助言をしていただいた日高重助教授をはじめとする先生方、旭サナック�鰍ﾌ伊藤春揮さん、柳田建三さん、同じ研究室の先輩、同期の皆様に深く感謝しております。 　私が静電粉体塗装の研究を始めたきっかけですが、静電粉体塗装という技術を知ったのは、ちょうど1年前、4回生になり粉体工学研究室に配属された時でした。私の研究室では、卒論テーマは、1時間程度の短い時間でざっと説明を受け、その場で決めるという方法をとっています。

　正直、各テーマの説明を聞いてもよくわからなかったので、最終決定するまでの休憩時間に最初に声をかけてくれた先輩のテーマに近いものを選ぶと決め、現在に至っています。研究を進めていくうちに、この塗装法は多くの課題を抱えていますが、環境問題の解決に対する大きな可能性があることがわかり、粉体塗装技術の向上に少しでも貢献できればと考えるようになりました。そこでまず、未だ十分に解明されていない塗料の塗着挙動と塗膜品質に関する基礎的知見の集積を行い、今後普及していくきっかけになればと思い、本研究発表を行いました。実験では、なかなか再現性を得られず苦しい時もありましたが、本賞を受賞することができ、大変うれしく思っております。これを励みとして、今後も研究活動に精進したいと思います。ありがとうございました。

同志社大学大学院工学研究科工業化学専攻

粉体工学研究室　有吉大輔

この度は、栄えある第24回研究発表優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。発表会参加者の皆様、多数の協会関係者および選考委員の皆様には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。 　さて、今回発表させていただきました「自動車用遮熱塗料の開発」は、日射による車体温度上昇を抑制し、エアコン負荷低減による燃費向上（CO2低減）及び車室内環境快適性向上を目的に開発したものです。現在、お客さまの車選びは、高品質と低価格はもちろん、低燃費・エコ技術を重視する傾向が大きくなっています。その中で塗料も、自動車の濃彩色塗膜の美しい意匠・品質を損なわず、遮熱機能を追加することでお客様の満足を得たいと考えております。開発では、難易度の高い沢山の課題があり、その度に頭を悩ませてきましたが、ご協力を頂いた多くの皆様のおかげで解決することができました。その結果、本賞を受賞でき、成果を高くご評価いただけたことを大変うれしく思っております。

　今後も様々な技術開発を行い、開発成果を通じて塗装技術の発展に貢献できれば幸いです。本当にありがとうございました。

富士重工業�潟Xバル技術本部

材料研究部　山中正枝

この度は研究発表優秀賞を頂き有難うございます。本発表に対し選考委員の皆様からご支持頂いたことを極めて光栄に思っております。また協会関係者を始め多くの方々にご尽力頂きましたことを、この場を借りて厚くお礼申し上げます。 　さてこの度の研究発表では、水性塗料に対する仕上がり肌・タレの空調変動が塗着後の固形分に関連していることを見出し、異なる空調条件でも塗着後の固形分が同一となる様、塗装前の固形分を変化させて調整する手法を報告しました。自動車製造に係る全エネルギーの内、塗装ブースの空調は主たる部分を占めています。省エネルギーの気運が今以上に高まることは必至であり、今後塗装時の空調を考え直す可能性も極めて高いと感じています。

　我々が提案するシステムの成否はメリットの及ぶ範囲、つまりカバーできる空調範囲が広いことに係っています。しかし現状の塗料製品に適用するには課題も多く、商業価値の点では未だ実力不足である事は否めません。塗料と装置の両面からより魅力的なシステムに磨き上げていきたいと思います。 　本研究発表会の様な情報交換の場は非常に有益で、多くの方から貴重なご意見やご指摘を受け賜わりました。有難うございました。今回の受賞を励みとし、より一層研究活動に邁進したいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

関西ペイント株式会社　ＣＭ研究所

檜原　篤尚

この度は、栄誉ある日本塗装技術協会技能賞を頂き、ありがとうございます。 　これも、多数の協会関係者および選考委員の皆様のおかげと感謝しております。この場を、借りて厚く御礼申し上げます。 　私は、塗料を通じて塗装の仕事に30数年間携わって来ました。 　建築塗装では、建屋の外装や内装に使用する刷毛やローラーの開発にも従事しました。刷毛塗りの分野では、大塚刷毛と共同でアスカ刷毛という真ん中が空洞の刷毛を開発しました。これにより、刷毛が固まってしまうのを防ぐことが出来ました。ローラーでは、落書き防止塗料（弊社製品"ザクロン"）用ローラーの検討を行ない製品化することができました。工業塗装では、電化製品や自動車のドアミラー等のプラスチック部材に静電塗装が出来るように、塗料と導電材に工夫を加えたもので静電塗装に成功しました。

　また、建設機械の塗装や自動車部品の塗装などにも従事してきました。自動車塗装においては、自動静電塗装機を利用しての塗装に従事しました。特にトヨタ自動車のセンチュリーの仕上げでは日本で最高レベルの要求に応えるために非常に苦労しました。現在は、自動車補修分野で、エアースプレーによる補修塗装に従事しています。
　塗装という仕事はどんな分野であっても、最終仕上げになります。製品そのものの仕上がりによって　製品の品質が決まってしまいますので責任重大です。非常に苦労することも多く、仕上がり不良でNGなることも、しばしばありました。塗料の特徴を活かして塗装機にあわせることは、非常に苦労しますが、塗装できたときの喜びはまた格別のものがあります。
　塗装は職人技と言われる通り、一人前に塗装できるためには、長年にわたり培った技能が必要になります。　今回、日本塗装技術協会の技能賞を頂き大変感謝しております。これを励みとして、今後一層、後輩の育成に努めていきたいと思います。
　本当にありがとうございました。

関西ペイント販売株式会社

大木　洋三

この度は、第23回研究発表優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。多くの参加者の皆様、発表会の準備や進行にご尽力いただきました協会関係者の皆様、また、立派な会場を提供していただきました芝浦工業大学の皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。 　さて、この度発表させていただきました「塗膜のSEM解析における加速電圧の効果」の研究内容は、近年のSEMの高分解能化に伴い、低加速電圧条件での観察が可能になり、我々が日常的に取り扱う塗膜や各種材料の微細構造解析に大きく貢献し始めていることが背景になっています。これまで観察が困難であった最表面の形状や組成像などが当たり前のように観察されるようになった一方、我々

が見ている像は真実の姿であるといえるのか？という思いは常につきまとうものですが、得られた像をしっかり見極める目を養う必要性の高さを本研究を通じて、また、参加者の皆様のご意見、ご指導からも、強く実感いたしました。 　今後ともどうぞご指導よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

日本ペイント�鰍q＆Ｄ本部　技術センター

柴原　孝子

この度は栄えある塗装技術協会 技術賞を頂き、誠にありがとうございます。これも多数の協会関係者および選考委員のご支持の賜物であると存じます。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。 　今回受賞した技術内容は、自動車用シルバー塗装の意匠向上を目的として、金属表面同等の金属感を、通常の自動車ラインの塗装工程で達成する塗装材料および工法の確立を実施したものです。昨今では、自動車の「走る」、「曲がる」、「止まる」といった基本的な性能向上が各社で拮抗しており、さらにお客様の自動車に求める嗜好も多様化していることを背景に、自動車のカラーが商品力の重要な位置づけを占めるようになってきました。その中で、シルバー塗装は需要も多く意匠に対する要求も高いことから、本開発に取り組みました。技術的難易度も高

かったですが、材料開発・生産技術が一体となり課題を解決することで、本受賞をいただけるような成果が出せたと思います。今後も、新技術の開発を継続し、その結果研究発表会等を通じて塗装技術の発展の一助となれば幸いです。
　最後に、本開発に多大なるご尽力とご協力をいただいた、日産自動車株式会社の関係各位に深く感謝いたします。

日産自動車�� 材料技術部 高分子・機能表面材料グループ

渡邉　健太郎

この度は栄誉ある論文賞を頂き、誠にありがとうございます。日頃の協会関係者および編集委員の方々のご苦労を思うと、賞の重みと感謝を心から感じております。この場を借りて皆様方に厚く御礼申し上げます。 　本論文は私の研究室の中で６年前から取り上げてきたものです。研究の動機は、私の住んでいた学内職員宿舎の北側部屋の壁が結露でカビが繁殖し、湿気でボロボロになっている箇所もありました。毎年、梅雨入り前にこの壁を修復するのが私の役目になっており、学生を騙して手伝わせていました。カビを取るにはキッチンハイターが良いとか、その後に化学実験で合成した硫酸銅水溶液を塗っておくと当分カビは生えてこないと言って、乾燥させてから、さあ壁塗り実習だと。要は、家具や机などを移動させるのに人手が必要だったのです。そのうち誰かが、塗装の先生なのに何で毎年、同じことをやるのと言われてハッとさせられました。

そうだ、何とかしようと皆で相談した結果が、わずかに発熱させれば結露しないと言う結論です。その時に、楠本化成の長沼桂氏が研究室で実験をしており、「お前も仲間だ」と引っ張り込みました。それで発熱塗料を作ろうと言うことになり、皆で右往左往しながら、今日はうまくいったと言っては夕刻になると、酒盛りの準備をするという生活が始まりました。この１年前に、松浦史明氏（現、アトミクス株式会社）が卒研で断熱塗料を作っており、断熱塗料だけでも結露防止ができるかと孤軍奮闘していました。シラスバルーンが良く吸湿するので、これはいけると言いながら、でも発熱塗料だと言って楽しい日々が続いておりました。その時の卒研生が今回、一緒に賞をいただいた樋口大介氏（現、山口刑務所技官）と中島宏氏（現、アーキヤマデ株式会社）です。両名には、実験ばかりの毎日に不満も大きかったことだと思いますが、それは過ぎ去った１ページである。この思い出をよみがえらせてくれた記念すべき受賞に対し、感謝感激です。有り難うございました。

職業能力開発総合大学校

坪田　実

この度は、研究発表会優秀賞をいただきありがとうございます。多くの社外の方々にも、本研究の成果を高くご評価いただいた事を大変嬉しく思います。 　おかげさまで世界初低汚染粉体塗料も１年半の市場実績が出来、発売当初から様々な業界のお客様より多くの引き合いをいただいております。 　日本において、代表的な低環境負荷塗料である粉体塗料の普及率が低いのが非常に残念ですが、今後も付加価値をつけ、さらに環境に配慮した、お客様に魅力有る商品を開発していきたいと考えています。 　また本研究発表会のような社外交流の場に積極参加し、多くの皆様と情報交換をさせていただき、研究発表会や塗料・塗装業界を皆様と共に盛り上げていきたいと思います。今後もどうぞよろしくお願い致します。