プログラム

2025年度 第2回講演会 実施報告

塗装欠陥対策に今すぐ役立つ実践技術
〜 現場で活かす見える化とトラブル未然防止のアプローチ 〜

2025年10月10日(金)に、「塗装欠陥対策に今すぐ役立つ実践技術 〜現場で活かす見える化とトラブル未然防止のアプローチ〜」と題した講演会を、ZOOMによるオンラインのウェビナー形式にて開催いたしました。当日は25名の皆様にご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回の講演会では、塗装現場で日々直面する「塗装欠陥」に焦点を当て、実務に即した対策技術や改善事例を中心に、現場で活かせる知見の共有を目的として企画いたしました。講師の皆様には、実際の現場経験に基づいた貴重なご講演をいただき、質疑応答にも丁寧にご対応いただきましたこと、心より御礼申し上げます。
各講演の概要をご紹介しますと、

第1講は「塗装ブース及び関連設備の清掃解体撤去」と題して、株式会社サンケイ 営業部 係長 森 龍汰 様より塗装ブースの清掃・解体・撤去工事に関する実務的な内容を、豊富な施工実績をもとにご紹介いただきました。特に塗装ブースや付帯設備の清掃、産業廃棄物の適正処理に関する説明は、普段じっくりと触れる機会のない内容として新鮮さもあり、コスト・環境対応の観点からも非常に有意義な内容で、清掃の重要性を再認識できました。

第2講演では「重防食塗料の欠陥と対策」と題して、関西ペイントマリン株式会社 技術本部 本部長 末廣 明 様より重防食塗料の変遷や、代表的な欠陥とその対策について、実際の施工環境や塗料の変遷を踏まえた実例を交えてご講演いただきました。保温材下の腐食などインフラ分野で重要な実例なども踏まえた評価法や腐食メカニズムの解説、対策案をご教示いただくなど、実務面で非常に有益なご講演をいただけました。

第3講演では「表面欠陥検査装置による塗装欠陥検出の高精度化・自動化に関する取り組みについて」と題して、バイスリープロジェクツ株式会社 SDI技術部 サブマネージャ 鈴木 淳 様より画像処理技術・機器による表面欠陥検出の取り組みについてご講演いただきました。特に、独自の撮像手法により光沢や鏡面仕上げといった従来の検査が困難だった対象にも対応可能である点が注目されました。実ラインでの自動化に至るまでの試行錯誤や、AIを活用した画像解析による検出精度の向上について紹介いただけました。動画もご用意いただき、多様なワークへの適用事例を通じて、運用における柔軟性と実効性が良く理解できました。今後の検査工程における自動化・デジタル化の進展を感じさせるご講演でした。

第4講演では、「塗膜欠陥不良の現象と対策」と題して、ブライトン塗料塗装研究所 特別顧問 赤堀 雅彦 様より塗膜の外観不良に関する現象とその対策について、塗料・塗装・塗膜の各工程に分けて体系的にご解説いただきました。現場で頻発する欠陥について、用語の定義から始まり、それら欠陥の原因が塗料の性状や塗装環境、被塗物の前処理に起因することを丁寧に説明され、対策についても詳細にお答えいただけました。さらに、表面張力などの物理的視点からのメカニズム解説や、実際の化学分析事例として、SEMなどの機器を用いた異物特定の方法も紹介され、分析技術について非常に具体的な内容となりました。塗装欠陥防止のため、機器分析に基づく理解と対策の重要性を再認識させていただきました。

第5講演では、「外観品質最大の敵を『見える化』で撃退! コストを掛けずに現場改善 塗装工程の異物対策」と題して、平田技術士事務所 平田 政司 様より「見える化」をキーワードに、現場で即活用できる実践的な手法をご紹介いただきました。講演では、まず始めに改善活動の推進力となる「会社の痛みの見える化」との連動を強調されていました。対策例では、浮遊塵や落下異物、塗料中の異物など、異物の種類ごとに発生源を特定するための観察技術や測定ツールの活用方法が現場目線で示されました。特に、LEDライトやレーザーなどによる可視化技術は、低コストで導入可能な手法も含まれており、さらにクリーンスーツや床面清掃の運用など泥臭い改善事例も紹介され、異物対策を網羅的にご解説いただけました。実務にすぐに役立つことが実感できる講演でした。

本講演会が、塗装欠陥対策に取り組む皆様の一助となりましたら幸いです。アンケートにも多数のご協力をいただき、誠にありがとうございました。皆様からのご意見は、今後の講演会の企画・運営に活かしてまいります。
次回の講演会は、2025年度 第3回講演会として、自動車塗装工程のデジタル化やAI活用に関するテーマを予定しております。詳細は決まり次第、改めてご案内いたします。
日本塗装技術協会セミナー委員会一同、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

2025年度 第2回講演会 実行委員長
河野 友浩(日本ペイントコーポレートソリューションズ梶j

主催一般社団法人
日本塗装技術協会
  
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本塗装機械工業会高分子学会日本工業塗装協同組合連合会
日本自動車車体工業会日本防錆技術協会材料技術研究協会
日本レオロジー学会日本印刷学会日本建築仕上学会
日本塗料検査協会日本油化学会腐食防食学会
自動車技術会静電気学会日本粉体工業技術協会
国際工業塗装高度化推進会議エポキシ樹脂技術協会 

 
期日2025年 10月 10日(金) 09:45〜16:35
会場オンライン(ZOOMウェビナー)

参加費日本塗装技術協会及び協賛学協会会員22,000円
非会員29,700円
学生参加者3,300円

プログラム
講師の方の敬称は略させていただきます。

09:45
開会の挨拶とガイダンス  日本塗装技術協会 第2回講演会実行委員長
09:55

10:55
(Q&A含む)
塗装ブース及び関連設備の清掃解体撤去
No.1 株式会社サンケイ
営業部
係長 森 龍汰
概要:
塗装ブースの清掃・解体・撤去工事については、スクラバー等の除害設備の清掃・解体・撤去も含めて、当社の施工実績をもとに説明する。
また、清掃作業の必要性や、解体・撤去によって生じる産業廃棄物の適切な処分についても触れる予定である。

休憩(5分間)
11:00

12:00
(Q&A含む) 
重防食塗料の欠陥と対策
No.2 関西ペイントマリン株式会社
技術本部
本部長 末廣 明
概要:
重防食塗料における代表的な欠陥(長油性フタル酸樹脂塗料の黄変、ジンク/塩化ゴムプライマーの層間剥離、塩化ゴム塗膜の割れ、CUIなど)の発生メカニズムと対策事例を、施工環境や塗料の変遷を踏まえて実例とともに詳しく講演する。

昼食休憩(60分間)
13:00

14:00
(Q&A含む)
表面欠陥検査装置による塗装欠陥検出の高精度化・自動化に関する取り組みについて
No.3 バイスリープロジェクツ株式会社
SDI技術部
サブマネージャ 鈴木 淳
概要:
艶のある塗装表面のブツやヘコミ、キズの外観検査について、どのように欠陥の特徴をカメラで撮影し自動検査を行うのか、当社の「表面欠陥検査ユニット」製品開発で行った高精度化・自動化に関する取り組みについて、原理や手法など技術的な側面も含め報告する。また導入事例や最近の技術開発状況についても簡単に紹介する。

休憩(5分間)
14:05

15:05
(Q&A含む)
塗膜欠陥不良の現象と対策
No.4 ブライトン塗料塗装研究所
特別顧問 赤堀 雅彦
概要:
塗膜の外観不良の発生時には、ライン補修対応だけで済まされることが多い。生産計画に基づき、製造現場では稼働率が最優先だからである。しかし、塗膜欠陥が生じた際に、現場ラインで補修が行なわれるとともに、発生原因を特定することは、今後の再発防止にも繋がる。今回、主な塗膜欠陥の現象と対策について、概説する。

休憩(5分間)
15:10

16:30
(Q&A含む)
外観品質最大の敵を「見える化」で撃退!
コストを掛けずに現場改善 塗装工程の異物対策
No.5 平田技術士事務所
平田 政司
概要:
塗装工程で発生する異物不良は、コスト悪化の主要因となっている。対策しても効果が出ないのは、自分の想定以外に答えがあるということである。そこで不良発生原因を現場で可視化すると、メカニズムが把握できて対策が取りやすくなる。これらの環境や塗料中の異物の「見える化」手法を解説し、具体的な対策事例を紹介する。

16:30

16:35
閉会の挨拶と今後のご連絡


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