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<講演会報告> 平成28年度アンコール 大阪講演会を終えて

 日本塗装技術協会では、年3回の講演を実施しております。より多くの皆さまに、より良い技術情報をいち早く得ていただくために、その年のベストの講演を選定し、アンコール講演会を開催してきました。一昨年と昨年は福岡にて開催し、今年度は、場所を再び大阪として、「進化する 塗装・塗料技術」のテーマにて、8月26日にエル・大阪(大阪府立労働センター)にて行われました。
 近年めざましいグローバル化の波が押し寄せ、塗装・塗料の技術分野においても、これまでにないコスト削減、新しい工程や工法、環境対応であるCO2削減に取り組まれています。今回は、塗料・塗装現場において頭を悩ませ続けるゴミブツへの新たな切り口、新しい発想で設計された環境対応した船底用塗料、塗装技術動向からみる自動車加飾トレンド、そしてDress-Formation〈新型コペン塗装について〉、各講師のご協力により昨年の講演をバージョンアップさせて、幅広い最新の技術情報を講演会の開催ができました・講師の皆さまには、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
 第1講演は、「静電気対策による異物低減」について原田産業株式会社の豊田博講師より、見えない静電気への取組を、従来とは違った観点から対策方法や見方についてわかりやすくご説明いただき、皆さまの新しい技術になったことと思います。
 第2講演では、「お金をかけずに現場改善! 知恵と工夫のゴミブツ対策」にて、平田技術士事務所の平田政司講師より、本当に知恵と工夫があふれた内容であり、経験・アイデア・現場主義から塗装現場で役立つ情報が満載であり、すばらしいプレゼンテーション(本協会合計6回目)をいただきました。
 第3講演では、「船底防汚塗料における環境対応への取り組み」について、中国塗料株式会社の横田浩二講師より、船底塗料の役割であるフジツボなどの海中生物付着防止機能から最新の動向である燃費改善である塗膜の摩擦抵抗と表面形状解析そして環境対応について、わかりやすく技術情報を説明していただきました。
 第4講演は、関西ペイント 株式会社の吉田耕講師より、「モーターショー調査及び塗装技術動向からみる自動車加飾トレンド」というタイトルで、グローバル視野での調査結果と現在の主流、そして次世代の意匠の可能性について、デザイナーサイドの意匠という観点および設計技術である工法という観点から、塗料という観点だけでなく幅広い加飾トレンドについて、ご講演いただきました。
 第5講演では、ダイハツ工業 株式会社の長野 真二郎より、「「Dress-Formation〈新型コペン塗装について〉」とテーマで、あたらしい発想の自動車の創り方ついて、製作工程、強度設計、塗装設計、塗料設計などその技術・ノウハウについて、自分達が設計製作してきた意気込みもあり、すばらしい講演をいただきました。
 講演会に参加いただいた皆様、ゴミブツ対策、塗料、意匠、自動車と広い分野での講演となりましたがご質問やご意見、アンケートにご協力いただき誠にありがとうございました。本講演会の内容が少しでも、皆様のお役に立てば幸いに存じます。
 次の講演会は、平成28年度第2回講演会は、”塗装をどこまで予測できるか Part1”〜塗装と数字、シミュレーション〜の講演会を開催予定ですので、奮ってご参加いただけると幸いです。
 日本塗装技術協会は、創立53年目を迎え、あらゆる分野の塗料・塗装に携わる技術者、研究者を対象に情報交換の場を設けております。当セミナーも「技術の交流、伝承および発展へ貢献する」ことを目標に活動を続けています。ぜひ講演に参加して最新の情報に直接肌で感じていただき、今後の活動の一助になればと思います。

アンコール大阪講演会 実行委員長 中岡 豊人(関西ペイント株式会社)


講演会風景

主催日本塗装技術協会
協賛日本化学会色材協会日本塗装工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
日本塗料検査協会高分子学会自動車技術会
材料技術研究協会静電気学会土木学会
日本印刷学会粉体工学会日本金属学会
日本建築学会日本建築仕上学会日本鉄鋼協会
日本粉体工業技術協会日本レオロジー学会腐食防食協会
日本油化学会国際工業塗装高度化推進会議( 順不同 )

期日平成28年8月26日(金)
会場エル・おおさか(大阪府立労働センター) 南館 1023室  大阪市中央区北浜東3-14

参加登録費日本塗装技術協会 及び協賛学協会 会員16,200円
非会員21,600円
学生参加者3,240円

プログラム

10:20〜10:30  開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 セミナー委員会
講演1 「静電気対策による異物低減」
10:30〜11:25 原田産業株式会社
アドバンストツールチーム 豊田 博
塗装工程における塗膜欠陥やゴミ欠陥の原因となる異物対策の基本原則は、以下の4点です。@異物を持ち込まない。A発生させない。B蓄積させない。C排除する。 方策に関して、静電気対策の観点からご提案させて頂きます。

講演2 「お金をかけずに現場改善! 知恵と工夫のゴミブツ対策」
11:30〜12:25 平田技術士事務所
平田 政司
改善に携われる人や予算が限られている塗装現場で、低予算で実施できるゴミブツ対策について紹介する。安価で簡単なツールを用いた不良発生メカニズムの見える化の方法と、具体的な泥臭い対策事例について解説する。

昼食休憩(75分間)
講演3 「船底防汚塗料における環境対応への取り組み」
13:40〜14:35 中国塗料株式会社
技術生産本部 防汚技術部 主務 横田 浩二
近年、船底防汚塗料には本来の海中生物付着抑制機能に加えて環境規制や燃費性能の向上によるGHG削減など、環境問題に対応するための技術が導入されている。船底防汚塗料による環境対応や開発動向を紹介する。


講演4 「モーターショー調査及び塗装技術動向からみる自動車加飾トレンド」
14:40〜15:35 関西ペイント 株式会社
R&D本部 CD研究所第2部 部長 吉田 耕
各国のモーターショーにおける独自の意匠表現は自動車における塗色開発のトレンドを先取りしたものが多く見受けられる。今回その経年動向から新規意匠の方向性を調査した結果および昨今の塗装技術における意匠開発について報告する。


休憩(10分間)
講演5 「Dress-Formation〈新型コペン塗装について〉」
15:45〜16:40 ダイハツ工業 株式会社
生産技術部 車両生技室 副主任 長野 真二郎
2014年6月に発売致しました新型「コペン」は骨格に樹脂外板を取り付けるという構造で、意匠に自由度をもつ仕様となっております。これを実現する為の生産工程、設備、品質造り込みについてご紹介いたします。




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