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 第39回塗料・塗装研究発表会レポート

第39回塗料・塗装研究発表会レポート
 第39回塗料・塗装研究発表会が2024年3月8日に開催されました。今回もZOOMを使用したオンラインでの開催となりましたが、100名を超える方々にご参加いただき盛会となりました。
 当日は、日本塗装技術協会 工藤会長の開会挨拶に続き、午前の部6件、午後の部6件の、計12件の一般講演が行われました。
 新たな塗料、材料の開発、応用に関して、「新規モノマーを用いたUV硬化塗料の溶剤削減・無溶剤化への貢献」、「熱輸送時のエネルギーロスを防ぐ塗布式断熱材」、「省工程型建築外装用塗料「NADポリマSi」の開発」、「自動車産業におけるカーボンニュートラル実現に向けてウレタン技術を活用したソリューション」、「自動車塗装ラインの 80℃硬化への挑戦 〜新規硬化剤の開発〜」の発表が行われました。塗料、塗装方法、塗装条件が塗膜に与える影響に関して、「燃焼ガス成分が電着塗膜に及ぼす劣化メカニズム解明」、「粉体塗料物性評価に基づく塗装条件最適化へのアプローチ」の発表が行われました。形成された塗膜の評価、分析とその影響に関して、「プレコートアルミニウム材の放熱特性と加工性に及ぼす塗膜中の含有成分の影響」、「軟X線分光によるりん酸鉄化成皮膜の組成および構造解析」、「電着塗装の欠陥見本の製作」、「質感と質感ワードによる塗色分類法の研究」の発表が行われました。耐候性試験方法に関して、「市場再現性の高い促進耐候性試験方法の開発」の発表が行われました。各研究が、様々な視座、視野、視点の下で行われていて、カーボンニュートラル、環境を念頭においた、非常に多種多様な内容の発表がなされ、非常に興味深いものでした。
 今回も塗料・塗装に関連する非常に広範囲の分野について、先進的な研究から実用性の高い技術まで、様々な切り口の研究成果が紹介されました。継続的に本発表会で発表いただいている企業、団体に加えて、今回初めて発表いただいた企業、団体がいらっしゃり、塗料・塗装の研究・技術の領域の広さと、さらなる発展の可能性を感じることが出来る研究発表会となりました。今回の研究発表会でも、前回に続き、音声での対話形式で質疑応答を行い、参加者の皆様から発表者に声で直接質問していただき、発表者とのやり取りの中で、活発でより中身の濃い質疑応答を行うことが出来たと思います。
 今回は、特別講演として、武蔵野大学客員教授・環境エコノミストの西脇文男様に、「カーボンニュートラル実現の鍵握る水素エネルギー −世界の最新動向と普及への課題−」 と題して、ご講演を行っていただきました。
 参加者からは、「世界の水素エネルギーの開発状況、問題点、展望を知ることが出来て良かったです」、「カーボンニュートラル達成に向けての水素の可能性と課題がよく理解出来ました」、「普段の業務では直接関連はないが、世界のトレンドついて知ることが出来ました」などといった感想が寄せられ、大変ご好評をいただきました。
 研究発表終了後、研究発表委員による審査が行われ、予稿集の内容と当日の発表内容を総合的に判断し、「市場再現性の高い促進耐候性試験方法の開発」を発表された関西ペイント 松田健様の研究発表に研究発表優秀賞を贈ることが決定されました。
 第39回の研究発表会が盛会のうちに終えることが出来ましたことを、発表者および共同研究者の皆様、参加者の皆様に心より御礼申し上げます。また、発表会の運営にご尽力いただきました、日本塗装技術協会、研究発表委員の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。今回は、コロナ禍後では最多の12件という沢山の一般講演の申し込みをいただき、1日開催とすることが出来ました。2025年3月に開催予定の次回の研究発表会は、第40回の節目の研究発表会となります。ぜひとも数多くの一般講演の申し込みをいただいて、さらに活気のある研究発表会として発展させ、塗料、塗装業界を盛り立てていきたいと思いますので、皆様の積極的なご参加をお願いいたします。

研究発表委員会委員長 畠隆行

主催一般社団法人日本塗装技術協会
協賛日本化学会色材協会日本塗料工業会
日本塗装工業会表面技術協会日本塗装機械工業会
高分子学会日本工業塗装協同組合連合会日本自動車車体工業会
日本防錆技術協会材料技術研究協会日本レオロジー学会
日本印刷学会日本建築仕上学会日本塗料検査協会
日本油化学会腐食防食協会自動車技術会
静電気学会粉体工学会日本粉体工業技術協会
国際工業塗装高度化推進会議エポキシ樹脂技術協会(順不同)

期日2024年 3月 8日(金) 9:20 〜 17:00
会場オンライン開催(「Zoomビデオウェビナー」)

  一般発表12件
参加登録費当協会会員・協賛学協会会員8,800円
同35歳以下6,600円
学生会員・研究室学生会員1,100円
非会員11,00円

プログラム

[開会挨拶]
09:20〜09:30
一般社団法人日本塗装技術協会 会長 東京大学 生産技術研究所 教授 工藤 一秋

[一般講演]  (○印: 講演者)
09:30〜10:40
座長:蜩c 建三(旭サナック)/宮崎 奎祐(日本ペイントホールディングス)
1)
プレコートアルミニウム材の放熱特性と加工性に及ぼす塗膜中の含有成分の影響
 (UACJ)〇渡邉 博紀、加藤 治、京 良彦
2)
新規モノマーを用いたUV硬化塗料の溶剤削減・無溶剤化への貢献
 (クラレ)〇佐々木 佑希、加藤 直也
3)
熱輸送時のエネルギーロスを防ぐ塗布式断熱材
 (レゾナック)〇泉 寛之、丸山 直樹
10:40〜10:50
休 憩 
10:50〜12:00
座長:光ア 守(トヨタ自動車)/長野 千尋(関西ペイント)
4)
省工程型建築外装用塗料 「NADポリマSi」の開発
 (水谷ペイント)〇山本 哲史、水谷 勉
5)
自動車産業におけるカーボンニュートラル実現に向けてウレタン技術を活用したソリューション
 (住化コベストロウレタン)〇宗像 和紀、森田 寛
6)
自動車塗装ラインの 80℃硬化への挑戦 〜新規硬化剤の開発〜
 (旭化成)〇井上 佳彦、東 孝一郎、高瀬 俊介、山内 理計
12:00〜13:00
昼 休 憩 
13:00〜14:10
座長:倉田 亮(BASFジャパン)/佐藤 世一(日本パーカライジング)
7)
燃焼ガス成分が電着塗膜に及ぼす劣化メカニズム解明
 (日産自動車)〇栗山 直樹、饗庭 健
8)
粉体塗料物性評価に基づく塗装条件最適化へのアプローチ
 (旭サナック)〇服部 竜樹、本山 祐、川合 伶奈
9)
質感と質感ワードによる塗色分類法の研究
 (関西ペイント)〇前田 賢司、藤枝 宗、権谷 晴之
14:10〜14:20
休 憩 
14:20〜15:30
座長:藤井 隆志(日本製鉄)/畠 隆行(アネスト岩田)
10)
軟X線分光によるりん酸鉄化成皮膜の組成および構造解析
 (日本パーカライジング)〇宮澤 悠介、中島 圭一、福島 颯太、内山 瑛
  安藤 美来、田口 秀之、福士 英一
 (東北大学)板本 航輝、二宮 翔、西堀 麻衣子
11)
電着塗装の欠陥見本の製作
 (コニカミノルタ)〇吉田 龍一
12)
市場再現性の高い促進耐候性試験方法の開発
 (関西ペイント)〇松田 健
15:30〜15:40
休 憩 

[特別講演]
15:40〜16:50
座長:佐藤 世一(日本パーカライジング)/長野 千尋(関西ペイント)
 
演題
カーボンニュートラル実現の鍵握る水素エネルギー
− 世界の最新動向と普及への課題 −

 武蔵野大学客員教授・環境エコノミスト 西脇 文男 氏


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